「ユーザー革命」とは「ITの専任担当者の協力がなくても、現場の営業要員などが自分で、データにアクセス、分析し、有効に利用できること」(同)だ。BI2.0の世界では「構造化、非構造化を問わず、社内だけでなく社外のデータを分析し、デスクトップ以外のデバイスにも分析結果を表示させることができる」(同)。「企業の要員は、移動しながら仕事をしていることが多い。Brackberryのような端末に、BIの環境が延長され、時間、場所、アプリケーションを問わず、データにアクセス、検索、活用ができること」(同)が重要になる。

米国の農業の現場では、牛乳の品質検査が厳格化され、農場、乳牛が特定されなければならない。問題が起こった場合、供給を即時停止させるためだ。そこで、そのようなデータは集約化されたうえ、農家にも開示されており、生産管理にも活用される。ここでは「各農家同士は直接連絡を取り合っているわけではないが、システムを通じて、コミュニティが形成されている」(同)という。

アプリケーション革命は、「マッシュアップ」により起きている。たとえば、グーグルアースと米セールスフォースドットコムのCRMとの組み合わせで、国ごとの実績、コスト計算などを総合的に分析、組織全体の最適化を図れるシステムが実現している。「アプリケーションのまったく新しい使い方が、業務状態を"見える化"している」(同)わけだ。

同社のBIプラットフォームである「BusinessObjects XI」は「データベースから表計算ソフトまで、また言語、仕様にかかわらず対応できる。オラクル、SAPなどの独自システムでもOKだ。オープンであることが特徴であり、幅広い情報を集めることができ、統合化が可能だ。ここが競合とは異なる点だ」(同)

シュワルツCEOは「BIは、次の主要なIT投資の主眼点となる。市場は大きく、200億ドル規模のビジネスチャンスがある」と話す。ただ、日本ではBIの導入が遅れているといわれるが、この点については次のように語る。「日本のCIOたちのプライオリティは、欧米のそれとは同様ではない。乗り越えなければならない障壁もある。個人情報保護法、日本版SOX法への対応に追われ、他に手が回らないところがある。しかし、これは一時的なことだ。またERPの実装が進んでおらず、手組みのシステムが多いこともBI導入を難しくしている。だが、これも一時的なものだ。日本企業もグローバルな競争力を強化するには、BIが重要になる」

BIは、シュワルツ氏の指摘するように「IT投資の焦点」として浮上している。とすれば、有力なITベンダも手を拱いているはずはない。シュワルツ氏は、こうした状況を踏まえたうえで「需要が高まれば、競合も取り組んでくる。大手も着手するかもしれない。しかし、現時点では、BIの分野で、Web2.0を用いて、ソリューションを活用しようというところは出てきていない。我々は何歩も先を行っている」と強調、「BI2.0」に強い自信を示した。