今回Blackboxを案内してくれたMaurice Cloutier氏

データセンターを丸ごとコンテナに収容してしまうというBlackboxのアイデアはたしかに奇抜と言えるかもしれないが、そのスペックは十分に実用性を満たしており、データセンターを必要とするあらゆる現場がこの製品のターゲットになる。とくに巨大な建物を建築するだけのスペースが確保できないような環境や、大規模イベントなどで一時的にデータセンターを必要とするようなケース、急速な業務の拡大に対応しなければならないような現場などでは真価を発揮するだろう。また、発展途上国や紛争地域、災害発生地域など、データセンターの恒久的な施設が困難なエリアでの需要もターゲットにしているという。

そのほか、教育機関などのニーズにも応えられるのではないかとCloutier氏は話す。教育機関では予算が1年単位で決まるため、大規模な設備への投資がしにくいという事情があるからだ。実際、Blackboxの最初の購入者はスタンフォード大学に決定したという。今回展示されたのはプロトタイプ版であるが、現在製品版の開発を進めており、2007年第3四半期を目処に同大学に納入予定とのことだ。

一方で、まだプロトタイプ版であるため未確定な部分も多い。まず販売価格について、現在のところ50万ドル以下を予定しているが、さまざまな要素によるディスカウントも考えているらしい。たとえばSunのサーバ機器を同時に導入した場合などだ。

コンテナ自体は屋外での使用を想定しているが、耐用年数などについてはまだテスト段階であるという。いちおう10年程度を想定しているが、いざとなればコンテナごと取り換えることが容易な点はBlackboxの強みかもしれない。

自然災害への耐性も現在テスト中だが、そのままの状態でマグニチュード4程度の揺れには対応できることを確認しているという。また悪環境用には、耐震性や耐熱性の強化などを施したカスタマイズ版のBlackboxが提供されることもあるかもしれない。

今回、パビリオンにはトラクターに載せられた状態のままのBlackboxが展示されている。このトラクターには専属のドライバーが2名つき、まさしくこのままの状態でハイウェイを走り、約40都市をまわってきたという。電車やトラックに載せられたコンテナにSunのロゴが描かれているのを目にしたら、もしかしたらそれはBlackboxかもしれない。

Blackboxを載せたトラクター - 運転席とコンテナの間には発電装置が積まれている