James Gosling氏。「オープンソースJavaのライセンスにGPLv2を選んだ理由は?」との質問には「OSSコミュニティで最も幅広く使われているライセンスだから。いまだに不満をぶつけてくる人々がいるが、すべての人の需要を満たすことはできない。こちらは別にケンカを売っているつもりはないんだけどね」と回答した

9日(現地時間)、サンフランシスコで開催中のJavaOne 2007において、Sun Microsystemsのバイスプレジデント兼フェロー James Gosling氏によるInternational Press Round Tableが行われた。Javaテクノロジのアイコンとして、世界中のデベロッパから尊敬をこめて"Father of Java(Javaの父)"と呼ばれるGosling氏、新技術"JavaFX"についても相当の自信を覗かせる。

Gosling氏によれば、JavaFXの開発において同氏が直接に関わった部分はほとんどなく、実際の開発作業は8日(現地時間)に行われたGeneral Sessionで同氏と共に登壇したChris Oliver氏らによって行われた。Gosling氏の主な仕事は彼らが動きやすい環境を整えることだったという。

JavaFXはRIA(Rich Internet Application)を作成するテクノロジで、競合製品としてはAdobe Flexなどが挙げられる。Adobeは企業向けアプリケーション構築環境としてFlex、そしてこの夏に発表予定のアプリケーションサーバ"Apollo"の組み合わせを、現在、強力に推進中だ。

そういう意味でJavaFXはAdobeの後塵を拝することになる。だがGosling氏は「たしかにJavaFXとAdobeのRIA技術は重なる部分は多い」としながらも、JavaFXの優位性に関して自信を隠さない。「JavaFXを使えばありとあらゆるコンテンツ、あらゆるシステム上で動く("Run Anyhere")アプリケーションを作ることが可能になる。(JavaFXの優位性に関して)ひとつ言えるのは、JavaFXで作るアプリケーションは"信じられないくらいリッチ"だということ。デザイン、操作性、データベースへのアクセス、ローカルネットワークへのアクセス、すべての面でJavaFXがすぐれていると信じている」(Gosling氏)

「より多くの人に、よりリッチな体験を」‐ 8日に行われたプレスカンファレンスでJonathan Schwartz氏はJavaFXのコンセプトをこう語った。1995年に誕生したJavaは2007年の現在、「今ではJVM(JavaVM)の載っていないマシンを探すほうが難しい」(Gosling氏)と生みの親に言わしめるほど普及した。圧倒的な知名度とユーザ数を誇るJavaが、次に挑むリッチインターネットアプリケーションの世界。次回のJavaOne開催時、JavaFXはどこまで広く、あるいは深く浸透しているのだろうか。同社の開発体制、そしてビジネスの行方が注目される。