中国の就職市場を長年みてきた業界筋は、新卒者が仕事に不満を持つのは至極当然だという。新入社員にとって最も重要なのは、言うまでもなく経験を積むことと能力を高めること。若者の最大の武器は、学習能力の高さと思惟が活発であることだ。焦らず、あわてず、こうした優勢をうまく活かすことができれば比較的速く成長することができ、企業でもいち早く生存空間を獲得することができると言うのだ。

就職後に、いまの仕事を続けられそうかとの問いに対しては、65%の新卒者が現職に留まるとしているが、新卒者の2割は企業の試用期間が終わると自発的あるいは「仕方なく」職場を離れることになる。大幅な買い手市場という、いまの中国の大卒者求職市場を反映しているといえそうだ。

もっとも、受け入れ側である企業のほうにも問題はありそうだ。多くの企業が、大卒者を採用しても、彼らのためにハイレベルの職業訓練や研修をおこなっていないからだ。

新卒者を大量雇用しても、その流動性が高いため、、企業は新人養成を慎重にせざるを得ない。この「慎重さ」が、結果として若者自身が抱くキャリアパスへの不安を掻き立て、さらにその流動性を高くする──そんな悪循環がここにみられる。

企業側にも、採用理念をより明確にし、長期的なスパンで人材を育て、企業文化を育むという視点が求められている。