家に太陽光発電を設置したいけれど、費用がどのくらいかかるのか、蓄電池も同時に購入したほうがいいのか気になっていませんか?太陽光発電と蓄電池はセットで購入するのがおすすめですが、一緒に購入すると初期費用が高くなるため迷う人も多いでしょう。
そこで本記事では太陽光発電と蓄電池の価格について詳しく紹介するとともに、初期費用を抑える方法、セット購入と個別購入の違いについて解説します。今後、太陽光発電や蓄電池の設置をする際の参考にしてください。
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太陽光発電と家庭用蓄電池の価格相場
まず太陽光発電と蓄電池の、それぞれ単体で設置する場合とセットで設置する場合の価格相場を見ていきましょう。
太陽光発電のみを購入する場合
資源エネルギー庁の調べによると、2020年度の住宅用太陽光発電システムの設置費用は、新築時28.6円/kW、既存の家に後付け時32.7万円/kWでした。
設置のタイミング | 1kW当たりのシステム費 | 4kW当たりのシステム費 |
新築 | 28.6万円/kW | 114.4万円 |
既設(後付け) | 32.7万円/kW | 130.8万円 |
全体 | 29.8万円/kW | 119.2万円 |
“出典:資源エネルギー庁「太陽光発電について 2020年11月」(一部加工)”
住宅用の太陽光発電システムは、システム容量(積載量)が4kW台のものが普及していることが多いため、一般的な家庭で太陽光発電を設置する場合は115~130万円程度かかると考えておくとよいでしょう。
また、太陽光発電システム費(初期費用)は、設備費と工事費で構成されます。
設備費は「太陽光パネル」、太陽光パネルで発電した電力を変換したり出力を整えたりするための「パワーコンディショナ(パワコン)」、太陽光パネルを設置する「架台」などの費用で、全体の約8割を占めます。
一方、工事費は太陽光パネルなどの「設置工事」や「配線工事」などの費用から成り、全体の2割程度です。
太陽光発電の価格推移
次のグラフは、住宅用太陽光発電システムの設置費用と、国による電力買取価格の推移を表したものです。
“出典:資源エネルギー庁「太陽光発電について 2020年11月」「固定価格買取制度 買取価格・期間等(2012年度~2020年度)」”
システム導入費用と電力買取価格は同時に年々下降しており、2012年度から2020年度の間に4割近くも安くなっています。
理由としては、太陽光パネルの大量生産ができるようになり価格が世界的に安くなったことや、技術の向上により太陽光パネルを効率良く設置できるようになり、設置工事費が安くなったことなどがあげられます。
家庭用蓄電池のみを購入する場合
次の表は、2019年度の蓄電システムの価格相場を表したものです。
容量 | 蓄電システム価格 | 工事費 |
5kWh未満 | 14.9万円/kWh | 33.5万円/件 |
5~10kWh未満 | 14.0万円/kWh | 33.8万円/件 |
10kWh以上 | 13.1万円/kWh | 32.7万円/件 |
平均 | 14.0万円/kWh | 33.6万円/件 |
“出典:株式会社三菱総合研究所「蓄電システムをめぐる現状認識 2020年11月19日」(経済産業省定置用蓄電システム普及拡大検討会資料)”
一般的な家庭用蓄電池の容量は7kWhで十分といわれているため、上記の表から計算すると、家庭用蓄電池はおよそ130万円で購入できることがわかります。
4kWの太陽光パネルの場合、1日の発電量は12.5kWh程度。そこから夜間使用分や非常用として5~7kWhを蓄電池に充電できれば、電力会社から電気を購入することなく自家発電分でまかなえるでしょう。
また蓄電システムは、蓄電池本体をはじめ、パワーコンディショナー、DC/DCコンバータ、電力コントローラー、モニター、ケーブルなどで構成されています。
家庭用蓄電池の価格推移
“出典:資源エネルギー庁「更なる再エネ拡大を実現するためのエネルギー需給革新の推進~需給一体型モデルの活用~ 2019年7月5日」(再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会資料)
上のグラフは2016年度から2020年度までの蓄電システムの目標価格を示したものです。国では耐用年数10年タイプの場合、4年間で7割も安くする目標を立てており、実際安くなっています。
グラフや過去の傾向を見て、時期を待てば安くで購入できると考える人もいますが、同時に費用対効果も上がるわけではありません。というのも、機器費用が下がるに連れて売電価格も下がってきているからです。
つまり、どのタイミングで購入しても、設置費用を回収できる年数に大きな差は生まれないということです。費用対効果が変わらないことを考慮すると、できるだけ早めに設置したほうが、収益の享受を受ける時期も早くなり、経済的なメリットは大きくなるでしょう。
太陽光発電と蓄電池をセットで購入する場合
標準的な家庭用の太陽光発電と蓄電池をセットで購入する場合は、合計で250~280万円を見込んでおくとよいでしょう。
対象設備 | 設備費+工事費の相場 |
太陽光発電(4kW) | 120~150万円 |
蓄電池(7kWh) | 130万円 |
合計 | 250~280万円 |
この金額は、メーカー、販売・施工業者、足場の設置、工法の違いなどによって変わってくるため、複数の業者や製品を比較することが大切です。

売電価格も下がってきていますが、システム費も下がってきており、どのタイミングで設置しても概ね10年ほどで設置費用を回収できるように調整されているといえます。
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家庭用蓄電池のおすすめメーカー比較
蓄電池は、パワーコンディショナー(パワコン)という機械の種類で比較できます。パワコンは電流を変換するための設備で、ハイブリッド式と単機能式に分類でき、最近では機器の組み合わせでどちらの使い方もできるマルチタイプも登場しています。
蓄電池の性質上、通常は太陽光発電システム用と蓄電池用に2つのパワコンを設置する必要があります。この蓄電池用の機能だけを持つのが単機能式パワコンです。取り付けしやすいので、蓄電池だけ後付けしたい人に向いています。
一方ハイブリッド式パワコンなら、交流電流の変換と直流電流への変換どちらもできるので設置は1台で済みます。電力ロスが少なく、効率的に発電・消費ができることがメリットです。
次の表は、主流メーカーのおすすめ蓄電池をタイプ別にまとめたので参考にしてください。
パワコンの種類 | ハイブリッド式 | 単機能式 | マルチ式 | ||||
メーカー | シャープ | パナソニック | ニチコン | 京セラ | 株式会社NFブロッサムテクノロジーズ (伊藤忠商事) |
オムロン | 長州産業 |
製品名 | クラウド蓄電池システム | 創蓄連携システムS+ | トライブリッド蓄電システム | Enerezza (エネレッツァ) |
スマートスター | マルチ蓄電プラットフォーム | スマートPVマルチ |
蓄電容量 | 4.2kWh、 6.5kWh、 8.1kWh、 9.5kWh |
3.5kWh、 5.6kWh、 6.3kWh |
4.9kWh、 7.4kWh、 9.9kWh、 14.9kWh |
5.0kWh、 10.0kWh、 15.0kWh |
9.8kWh、 13.16kWh |
6.5kWh、 9.8kWh、 16.4kWh |
6.5kWh、 9.8kWh、 16.4kWh |
保証年数 | 15年 | 15年 | 15年 | 15年 | 15年 | 15年 | 15年 |
希望小売価格 | 2,688,980円~ | 2,245,100円~ | 1,200,000円~ | 2,310,000円~ | 3,630,000円~ | 2,660,000円~ | 3,137,200円~ |
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※2023年3月に編集部で調査
保証期間は15年のものが多く、一方で同じメーカーであっても、電気容量が異なる製品を提供しているところもあります。実際に貯めた電気を使用する際には、容量の大きさが使用時間となるため、値段を比較して、電気容量を決めるとよいでしょう。
信頼できるメーカーを選ぶポイント
太陽光発電や蓄電池は毎日、長期間使用するため、販売・施工業者とは設置後も日常的で長い付き合いになります。
金額だけでなく、サービス内容や営業担当者との相性なども見定めて選びましょう。ポイントは次の6つです。
- 工事後のイメージを見せてくれるか
- 自分の家に合ったメーカー・機種を提案してくれるか
- 自分の家に合った工法・工事部材を提案してくれるか
- 正確な見積内容やシミュレーション結果を出してくれるか
- 保証・メンテナンスは充実しているか
- 廃業・倒産の可能性が高くないか
太陽光発電と蓄電池を安く購入するコツ
太陽光発電と蓄電池の導入費用は安くなってきていますが、それでも初期費用が100万円単位で必要になるため、そう簡単に導入を決断することはできません。
ここでは、太陽光発電と蓄電池をよりお得に導入する方法を紹介します。
国・自治体の補助金を活用
国や自治体が補助金を出している場合があり、それを活用すれば初期費用を抑えることができます。その際、自治体の補助金は都道府県によるものと、市区町村によるものの2種類があります。
補助金の内容は、都道府県庁と市区町村の役所・役場のそれぞれの環境担当課のサイトをチェックしたり、「太陽光 補助金(都道府県名/市区町村名)」や「蓄電 補助金(都道府県名/市区町村名)」などのキーワードで検索してみてください。
一般的に補助金は年度ごとに先着順で、予算枠に達すると締め切られることが多いため、早めに手続きをしましょう。目安としては年度始めの4~6月頃に受付が開始され、秋口には終了することが多いようです。
DR対応蓄電池補助金
国の団体である一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)が実施する電力需給ひっ迫等に活用可能な家庭・業務産業用蓄電システム導入支援事業では、DR対応蓄電池の導入に補助が受けられます。
DRとは、この事業の要件を満たしたエネルギーサービス事業者(蓄電池アグリゲーター)と結ぶ契約のことです。蓄電池アグリゲーターを介して蓄電池を導入し、DR契約を結ぶと、電力需要がひっ迫した際に遠隔で電力の制御や放出がおこなわれます。補助金を得られる代わりに、契約期間中は社会の電気需要抑制への貢献義務が課せられる仕組みです。
補助金額は蓄電池の容量によって異なります。1kWhあたり32,000円~52,000円で、1台あたり60万円が上限額です。令和4年度の交付申請は、執筆時点では受け付けが開始されていません(2023年3月時点)。
こどもエコすまい支援事業
国土交通省は、子育て世帯・若年夫婦世帯の省エネ性能住宅の取得や改修を支援する事業として、こどもエコすまい支援事業をおこなっています。
こどもエコすまい支援事業は、環境にやさしい注文住宅や新築分譲住宅の購入を支援する制度です。太陽光発電システムや蓄電池の導入を直接的に補助しているわけではありませんが、それらの導入で省エネ性能の高いZEH住宅と認められれば、1戸あたり最大100万円の補助が受けられます。

同支援では住宅のリフォームについての助成もおこなわれていますが、残念ながら改修の場合は太陽光発電システムの導入は補助対象外です。
交付申請期間は、2023年3月下旬の開始を予定しています。2023年12月31日が期日ですが、予算上限に達すると締め切ってしまうので早めの申請がおすすめです。
各自治体の補助金|東京都の事例
独自に太陽光発電装置や蓄電池の導入を推進する事業をおこなう自治体もあります。住んでいる地域や、家の購入を検討している地域の自治体で補助金がないかチェックしてみてください。
例として、東京都の一部の補助金事例を紹介します。
補助金・事業名 | 補助内容 | 金額 |
東京ゼロエミ住宅 | 新築住宅に太陽光パネルを設置する際の 費用の一部を補助 |
・太陽光発電設備:10~13万円/kWh ・太陽光パネルの架台:20万円/kWh ・蓄電池機器:費用の3/4 |
災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業 | 新築住宅や既存住宅に太陽光パネルを設置する際の 費用の一部を補助 |
・太陽光発電設備:10~15万円/kWh ・蓄電池:15万円/kWh(蓄電池容量)か 30万円/kWh(太陽光発電設備容量)のいずれか小さい額 ・パワーコンディショナー:10万円/台 |
港区地球温暖化対策助成制度 | 区内の住宅に居住し、対象機器を導入する際の 費用の一部を助成 |
・太陽光発電システム:最大出力に応じて20万円/kWh ・蓄電システム:4万円/kWh |
練馬区再生可能エネルギー・省エネルギー設備設置補助制度 | 温室効果ガス排出量削減対策として、 省エネ設備を導入した練馬区民等に 設置費用の一部を助成 |
・太陽光発電設備:5万円(区民の場合) ・蓄電システム:6万円(区民の場合) |
※2023年3月に編集部で調査
このように、自治体独自の補助金事業でも導入費用が節約できます。
旧型のモデルを選ぶ
最新より少し前の旧型モデルを購入すると、性能はそれほど劣っていないのに価格が安いため、太陽光発電や蓄電池がお得に購入できます。
特に毎年1~3月頃は各メーカーから最新モデルが発売され、旧型モデルの価格が見直されるため機能や容量に大きなこだわりがないのであればこの時期に購入するのが狙い目です。
ソーラーローンを活用する
銀行などの金融機関や信販会社が提供するソーラーローンを活用すると、手元の自己資金からの負担を軽くしてくれます。ソーラーローンとは、太陽光発電を導入するときに利用できるローンのことです。蓄電池も融資の対象になっているところも多くあります。
また、ソーラーローンを利用して太陽光発電と蓄電池を設置すると、月々の光熱費の支出(電力会社への電気使用料)と収入(電力会社からの売電収入)が相殺できるようになります。しかもローン完済後もこのような経済効果が持続するため、ソーラーローンの負担を実質ゼロにすることができるというメリットがあるのです。
ソーラーローンの条件も2021年8月現在で金利年2.50%と低金利で、返済期間も1~15年と長期間のローンが組めるところが一般的です。住宅ローンほどではありませんが通常のローンより有利といえるでしょう。
販売方法による傾向を知る
太陽光発電システムや家庭用蓄電池は、販売会社によっても価格が異なる場合があります。特に量販店や訪問販売など、販売方法による価格差は大きいです。販売方法により傾向を知っておくと、不当な金額の提示や契約後の後悔を防ぐことができます。
太陽光発電システムや蓄電池の主な販売方法は、訪問販売・量販店販売・インターネット販売・新築工務店の4つです。それぞれの価格やメリット・デメリットをまとめました。
販売方法 | 訪問販売 | 量販店販売 | インターネット販売 | 新築工務店 |
価格傾向 | 人件費分高くなりやすい | 工事費が抑えられるためやや低価格 | 人件費・店舗費用がかからないため低価格 | 提携業者の価格に準じて標準的な価格になることが多い |
メリット | 保証が充実しており導入後も安心 | 高品質な大手メーカーの製品を取り扱う | 導入費用が抑えられ、見積もりもWebで簡単に比較できる | 建築と太陽光発電システムの導入を一度に依頼できる |
デメリット | 価格が高くなりやすい | 工事費を節約する傾向があり工事品質に懸念 | 製品品質や保証内容に懸念 | 建設費用に含まれるため単価がわかりにくい |
価格を抑えることを重視したいならインターネット販売、サポートや品質にこだわりたいなら訪問販売など、重視したいポイントによって向いている販売方法も異なります。一括比較サイトなどを利用して、複数のメーカーを比較するとよいでしょう。

同じ太陽光発電でも販売・施工業社よっては販売価格が何十万円も違ってくることは珍しくありません。いかに設置の際に良心的な設置業者に巡り逢えるかが購入費を抑える鍵となります。
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太陽光発電・蓄電池はセット/個別購入どちらがいい?
太陽光発電と蓄電池をセットで購入するか、個別に購入するかで悩む人も多いでしょう。
ここからは、セット購入と個別購入どちらがよいか比較するためのポイントを3つ紹介します。
【比較1】変換ロス
変換ロスとは、太陽光パネルで発電した電気を直流・交流変換する際に生じる電力のロスのことです。変換ロスは変換回数が増えるほど多く発生します。
太陽光発電と蓄電池を個別に購入し後付けした場合は、太陽光発電と蓄電池とそれぞれ1台ずつ計2台のパワコンを設置する必要があるためどうしても変換ロスは多く発生します。
一方、太陽光発電と蓄電池をセットで購入した場合は、太陽光発電と蓄電池のそれぞれのパワコンの機能を1台にまとめたハイブリッド型のパワコンを導入します。そのため、変換回数が少なく変換ロスを最小限に抑えることが可能です。したがってセット購入をしたほうが有利といえます。
【比較2】設置費用
設置費用は太陽光パネルや蓄電池の設置工事や配線工事などにかかる費用でその多くは人件費です。
この際、個別購入の場合は太陽光発電と蓄電池とそれぞれに機器・機材の調達や作業員の稼働などがかかるため費用は割高になります。また蓄電池を後付けすると既設の太陽光発電のパワコンは撤去しなければならないため、パワコン1台分の費用がムダになってしまいます。
一方、セット購入の場合は、太陽光発電と蓄電池の設置作業を一体的に進めることができるため費用は割安です。販売・施工業者にもよりますがセット購入の人件費は後付けの場合の半分で済むというところもあります。したがってセット購入をしたほうが有利です。
【比較3】互換性
互換性とは太陽光発電と蓄電池のいわば相性です。特にメーカーが異なる場合、それぞれの製品で使用する電子部品やプログラムなどが異なるため挙動に小さなズレが発生し、最適な動作ができないばかりでなく発電量や売電収入にも影響を与える可能性があります。
個別購入の場合は、太陽光発電と蓄電池は別々に設計・設置されるため、うまく連携が取れないことが起こり得ます。
一方、セット購入の場合は太陽光発電と蓄電池の互換性が最適な組み合わせで設計・設置できるため、連携面での心配はありません。したがってセット購入をしたほうが有利です。
以上のように、変換ロス、設置費用、互換性のすべての面で比較するとセット購入のほうがおすすめと言えます。

太陽光発電のみの設置の場合、余剰電力を貯めることができず全て売電する必要があります。固定価格買取期間終了後に売電価格が低下したり、災害時に使用できないなどのデメリットが大きいためセットでの購入を強くオススメします。
太陽光発電と蓄電池をセットで購入するメリット
費用面や動作上のことを鑑みると、太陽光発電と蓄電池はセットで購入したほうがよいことがわかりました。
それでも本当にセット購入したほうがよいのか疑問に思う人のため、太陽光発電・蓄電池のセット購入のメリットを詳しく説明します。
電気代を節約できる
電力会社に支払う電気代を節約できることは、太陽光発電と蓄電池導入の最大のメリットといえます。
日中に太陽光発電で発電した電気を蓄電池に貯めておき、それを夜間に使うことでトータルの電気代を減らすことができるため、大幅な節電に役立てることができます。
売電量を増やせる
通常は日中に太陽光発電で発電した電気を蓄電池に貯めておき、それを夜間で使うという運用方法が一般的です。
しかし蓄電池をセット購入すれば、料金が安い夜間に電気を電力会社から買って蓄電池に貯め、通常はそれを使用し、日中は太陽光発電で発電した料金が高い電気を電力会社に売るという運用方法も可能です。この方法により売電量・売電収入をアップさせることができます。
売電収入が減っても自家消費に回せる
「卒FIT」という国による10年間の固定買取期間(FIT期間)が終了すると、地域の電力会社(小売電気事業者)などと契約することにより売電自体は続けられますが、FIT期間中のような安定的な売電収入は望めません。卒FIT後は太陽光発電した電気はまず自分の家で使い、それでも余った電気を売るという運用方法が基本になります。
そのために蓄電池をセット購入しておき日中は太陽光発電で発電した電気を使用するとともに、夜間の使用分を蓄電池に貯めておけば発電した電気の多くを自家消費に回すことができます。
災害時も電気が使える
災害などの停電時でも太陽光発電で発電した蓄電池に貯めた電気を使用できることも、大きなメリットといえます。
太陽光発電のみを購入した場合は、夜間や曇天・雨天時などには発電できないことに加え、コンセントが使えるのは発電時のみになってしまうのが弱点です。仮に蓄電池をセット購入すれば、あらかじめ貯めておいた電力を約1~5日ほど供給することができるようになるため、発電できない夜間や雨天時でも使用することができます。

地震や台風などの災害によって電力会社からの電力供給が止まった時に、太陽光発電システムだけだと日常生活に支障をきたす可能性があります。災害面からみても太陽光発電と蓄電池のセットで購入しておくと安心ですね。
太陽光発電と蓄電池をセットで購入するデメリット・注意点
太陽光発電と蓄電池をセットで購入する場合、数々のメリットがある反面、デメリットもあります。詳しく見ていきましょう。
初期費用が高額になる
昔よりは安くなったとはいえ、太陽光発電も蓄電池もそれぞれ100万円以上、あわせて200万円以上はかかります。
そのため初期投資がムダにならないように、太陽光発電や蓄電池を導入する目的や予算に合った運用方法ができるメーカー・機種を選定することが大切です。
漠然とした理由で大規模な太陽光発電を導入するのではなく、しっかりと目的と予算を明確にして計画を進めることで負担を減らすことができるでしょう。
蓄電池の設置スペースが必要
蓄電池には屋内型と屋外型がありますが、いずれの場合でも生活動線の邪魔にならないところに設置スペースを確保する必要があります。
屋内型はエアコンの室外機1台分程度の大きさです。分電盤や使用したい機器の近くに設置するのが理想的ですが、条件が合えば階段下やクローゼットの中に置くこともできます。蓄電池から出る音はそれほど大きくありませんが、寝室や書斎など音が気になる場所は避けるのがおすすめ。また、重さの目安は約60~170kg程です。
一方、屋外型はエアコンの室外機を縦に重ねて1~2台分の大きさです。小型化が進んでいるため、ベランダなどに設置できる機種も増えていますが、基本的には直射日光や風が当たらず、積雪・結露・ほこりが少ない場所を選びましょう。屋外型の重さは約120~250kgです。
将来買い替えや処分費用がかかる
蓄電池は消耗品の一つでもあるため、長く使えば劣化や破損が考えられ、将来買い替えや処分が必要になります。その際にはまた費用がかさむことも考慮しなくてはなりません。
メーカーにより違いますが、各設備の保証期間は一般的に次のようなものが多く、業者によっては有償で保証期間を延長できる場合もあります。
- 太陽光パネル:25年
- パワコン:15年
- 蓄電池:10年
あらかじめ販売・施工業者から、機器の買い替えや保証期間の延長を想定した長期的な設置・運用計画を提案してもらいましょう。
定期的なメンテナンスが必要
安全・効率よく発電をおこなうため、太陽光発電システムだけでなく蓄電池も定期的なメンテナンスが必要です。必須ではありませんが、導入後1年以内と、それ以降は4年に1度はメンテナンスを受けたほうがよいとされています。
作業内容は専門的な知識が必要なため、業者に依頼するのが一般的です。太陽光発電と併用することで、蓄電池と両方のメンテナンス費用がかかることも念頭に置いておきましょう。
太陽光発電と併せてできる節電対策
2022年夏季、厳しい暑さの影響などで東京電力と東北電力、北海道電力は大規模な電力不足の予測を立て、初めて「電力需給ひっ迫準備情報」を発表しました。
温暖化の影響も深刻化している近年、今後は一般家庭や企業でもさらに節電を意識していく必要があります。この章では、太陽光パネル設置と、太陽光発電だけに頼らず自身でも手軽にできる節電方法を紹介します。
太陽光発電で節電・停電対策
太陽光発電システムを設置しておくことで自宅で使用する電力をまかなえるので、節電に貢献できます。初期費用はかかりますが、設置前よりも電気を購入しなくてよくなるため、電気代の節約も可能です。
また、電力がひっ迫してくると起きる恐れがあるのが「計画停電」です。計画停電が起きると、冷蔵庫やエアコンも使用できません。しかしそのような場合でも、太陽光発電システムに蓄電池も併せて導入しておけば家電を使用できます。

災害で停電が発生した際の非常用電源としても利用できるので、いざという時の備えとしても活躍するでしょう。
太陽光発電以外の節電対策
これからは、太陽光発電だけに頼らず自身でも少しずつ対策していく必要があります。
家庭で気軽にできる節電対策を3つ紹介します。
- エアコンの節電
- 冷蔵庫の節電
- 待機電力の削減で節電
エアコンの節電方法
エアコンは家電の中でも消費電力が高く、節電対策の効果も大きいです。また、エアコンの消費電力が一番高くなるタイミングは、エアコンをつけた時と、設定温度に近づけている時なので、エアコンは温度を設定したり、「弱」にするよりも「自動」にしたほうが節電にもなり、電気代も抑えることができます。
さらに、冷房は1時間あたり17円で595W使用するのに対して、送風は1時間あたり0,3円程度で12W(注1)しか電力を使用しないため、送風でも過ごせる日は積極的に送風を使いましょう。送風はエアコン内のファンのみを動かす扇風機のような仕組みですので、一度部屋が冷えたら送風に切り替えるといった使い方も有効でしょう。
注1)1kWhあたり27円の目安単価にて算出
冷蔵庫の節電方法
エアコンと違い、冷蔵庫は使わない時は電源をオフにするわけにもいきません。冷蔵庫は多くの食材を詰めすぎてしまうと、冷蔵庫全体を冷やすのに多くの電力を消費してしまいます。反対に、冷凍庫は中に入っているもの自体が凍っていて冷気を発するため、冷凍庫はものを詰めたほうが電力効率が上がるのです。
また、冷蔵庫の設定温度は「強」が一番電力を消費し、「弱」が一番電力消費が少ないので、冷蔵庫の中のものは詰め込みすぎず、冷凍庫はなるべく詰めた上で、夏と冬で設定温度を変えてみるだけで節電効果が見込めるでしょう。
待機電力の削減で節電
待機電力とは、使用していない時でも電力が使われている電力のことをいいます。例えば、PCを充電したまま電源を切らずにスリープ状態にしているだけでも、電力は使用されているのです。
待機電力は、年間を通じて家庭で消費される電力量のうち、約6%を占めていると言われており、これは一般的なテレビの消費電力量とほぼ同じ割合になります。

待機電力を減らすには、「こまめに主電源を切る」「スイッチ付きタップを使用する」「オートOFF機能を使用する」などが有効です。一度家の中の家電で待機電力が発生していそうなものはないか確認してみましょう。
まとめ
本記事では太陽光発電と蓄電池の価格、安く購入する方法などについて解説しました。
結論として、太陽光発電と蓄電池は個別に購入するよりもセットで購入するほうが変換ロス、設置費用、互換性の3つの面で有利です。電気代の節約ができたり、災害時に電気が使えるなどの数多くのメリットも存在します。
一方、昔よりは安くなっているとはいえ、多額の初期費用がかかることや、各機器の保証期間が異なることには注意しましょう。本記事を参考に太陽光発電と蓄電池を導入・運用をしていただければ幸いです。

昨今の国内外におけるエネルギー情勢により、今後さらに太陽光発電と蓄電池は注目度を高まってくることは間違いありません。セミナーなどを活用して太陽光発電と蓄電池に対して正しい知識をつけるようにしましょう。
監修者情報
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※「マイナビニュース太陽光発電」は以下に記載されたリンク先からの情報をもとに、制作・編集しております。
・https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/index.html
・https://kodomo-ecosumai.mlit.go.jp/
・https://www.city.katsushika.lg.jp/kurashi/1000062/1030304/1023057.html
・https://www.meti.go.jp/shingikai/santeii/pdf/20220204_1.pdf
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