銀座のクラブに勤務する筆者が「銀座に出没するちょっと残念なおじさん」をご紹介します。今回ご紹介するのは、「他のホステスと同伴することを『浮気』と呼んでアバンチュールな気分を楽しんでいるおじさん」です。
どなたと同伴しようとお客様の自由です
キャバクラなどと異なり、クラブは基本的には「永久指名制」です。
クラブには「つけ飲み」という制度があります。これは、その日の飲食代を後日払いにすることです。つけ飲みのお客様は、その場で料金を支払わず、1カ月後などにまとめてお支払いになります。
クラブは接待で利用されることも多いですよね。接待する相手の前でお財布を広げることを「不粋」と考える方もいらっしゃるので、このようなお支払い方法が採用されているというわけです。
「つけ飲み」は担当ホステスとお客様の間に信頼関係があってはじめて成り立つもの。
クラブに「永久指名制」という指名制度があるのはこのような事情からです。
では、一度A子さんを指名したら他の女の子と遊べないかというと、そんなことはございません。
B子さんと同伴しようと、C子さんと同伴しようとその日の飲食代、つまり売上は担当ホステスであるA子さんのもの。チャリーンチャリーンです。
よって、A子さんはお客様がどなたと同伴しようと、気にしません。
ところが、B子さんやC子さんと同伴することに後ろめたさを感じてしまう男性は案外少なくないようです。皆さん、律儀なんですね。
中には複数人の女の子たちそれぞれと同伴することを「浮気」と呼んで、後ろめたさより、むしろアバンチュールな気分を楽しんでいらっしゃる男性も。
「私のために争わないで」をおじさんに言われましても
これは銀座でのお話ではなく、私が西武池袋線沿いにあるワンセット4,000円の安キャバにいた頃のお話なのですが、ご来店のたびに違う女の子を指名するおじさんがいました。 キャバクラなので、指名嬢を変えるのは基本的にはOKです。
よほど飽きっぽいタイプ、もしくは数打ちゃ当たる的なやけっぱち根性であり、その日のうちに欲求を満たせないとヘソを曲げてしまうタイプのどちらかだろうとふんでいました。
ある日、彼が私を指名してくれたので「昨日はD子さんを指名してたよね?」とたずねてみました。
すると彼は「そうそう。気まずいでしょ? そうやって女の子同士の仲が悪くなるのがおもしろいんだよね」と答えました。おじさんの夢小説すぎる。
竹内まりやの「けんかをやめて」みたいなシチュエーションは竹内まりやだから起こりうるのであってですね……。
素飲み(お店から無料で提供されるハウスボトルの他は何も飲まないお客様)の細客に限って、こういう意味不明なことを言い出す傾向があります。
いい夢見なよ
今回は「他のホステスと同伴することを「浮気」と呼んでアバンチュールな気分を楽しんでいるおじさん」について解説しました。
おじさんの夢小説に付き合ってあげるのも我々のお仕事です。
飲み屋さんってそういうところですからね。