今回のテーマは、「富裕層の住宅事情」です。
日本では「純金融資産保有額」が1億円以上5億円未満を富裕層、5億円以上を超富裕層と定義しています。純金融資産とは預貯金や株式、債券などの金融資産の合計から借り入れなどの負債を差し引いたもの。
富裕層は単なるスペックだけでなく、資産価値や柔軟なライフスタイルにあわせた住まい選びをしている傾向があります。
「都心のタワーマンション」派
六本木や麻布など、都心に立地する超高級タワーマンションは、富裕層が選ぶ王道の住まいと言えそうです。富裕層が都心のタワーマンションを購入する背景には、居住用としての快適性の他に、資産の保護や節税といった戦略的な理由も関係しています。
都心の駅直結マンションは希少性が高く、価格が安定しています。国内外の富裕層からの需要があり、現金化も容易です。富裕層は現金を現物資産に換えることで資産を守っています。
また、高級タワーマンションには「相続税」の節税効果も。2024年の税制改正で規制が強化されたものの、依然として現金で相続するよりも、不動産として資産を相続した方が相続税評価額を圧縮できるのです。
加えて、オートロック、24時間有人管理などにより高度なセキュリティーとプライバシーが保たれているのもタワーマンションの魅力です。
都心のタワーマンションならビジネス街や都内の繁華街へのアクセスも良好ですよね。「都心のタワマン暮らし」は誰もが1度は憧れたことがあるのではないでしょうか。
ただし、
- エレベーター待ちのストレス
- 窓が開けられない
- 自然災害時のリスク
- 維持コストの高さ
などのデメリットを考慮し、あえてタワーマンションを選択肢に入れないお金持ちもいます。
「閑静な高級住宅街の戸建て」派
一方、都心のタワーマンションではなく、都内の閑静な高級住宅街の戸建てを選ぶお金持ちも珍しくありません。例えば、東京都渋谷区にある日本屈指の高級住宅街「松濤」は、元内閣総理大臣・麻生太郎さんのお宅があることでも有名ですよね。
その他、同じく東京都渋谷区の「広尾」や、世田谷区の「田園調布」も国内有数の高級住宅街として知られています。
富裕層が都心の高級タワーマンションではなく、閑静な高級住宅街の一軒家を選ぶ背景には、その独立性と高い資産価値、ステータス性にあります。
戸建て住宅の魅力のひとつは、タワーマンションなどと異なり、エレベーターやロビーで他の住民と顔を合わせるストレスがないことです。また、「セコム」などによる24時間警備システムや防犯カメラ、シャッター付きガレージなどにより、強固な要塞のようなプライベート空間を築けます。
また、マンションは築年数の経過とともに建物の価値が大きく下がりますが、戸建ては「一等地の土地そのもの」を単独所有できるため、世代を超えて資産を受け継ぐことができます。
さらに、松濤や広尾、田園調布といったエリアには新興の高級住宅街にはないステータス性がありますよね。これらのエリアは行政の厳しい規制により、将来にわたって静かな環境が保たれる可能性が高いです。
ただし、
- セキュリティーと防犯上の懸念
- 維持管理費の手間と膨大なコスト
- 利便性の低さ
- 地域特有の人間関係
などのデメリット面が気になるお金持ちも。
ベッドタウンに居住地を構える派
あえて東京都内ではなく、埼玉(さいたま市浦和区、大宮区など)や、千葉(市川、浦安など)など、都心のベッドタウンに居住地を構えるお金持ちもいます。この背景には費用対効果や実利、そして家族の生活環境の質を優先する明確な戦略があります。
東京都内では2億円も出しても狭い部屋しか買えませんよね。しかし、埼玉や千葉なら3LDK・4LDK以上のマンションや広大な敷地の豪邸を購入できます。
しかも東京都心のベッドタウンなら、都内のビジネス街へのアクセスも良いため、通勤ストレスもさほどありません。
また、埼玉「浦和」周辺や、千葉の「市川」などは、全国的にも有名な県立・私立の進学校がある「文教地区」です。このようなエリアは、子どもたちには落ち着いた環境で質の高い教育を受けさせたいという富裕層のニーズを満たしています。
週末は別宅で過ごす「二拠点生活」派
平日は都心のオフィス街に近い高級タワーマンションに暮らし、週末は軽井沢や熱海の別荘で家族と静かに過ごす、という生活スタイルを選ぶお金持ちも。
そこには「究極のオン・オフの切り替え」「心身のヘルスケア」だけでなく、「実利的な資産防衛」といった合理的な理由があります。
軽井沢や熱海は都心から1時間前後でアクセスできるリゾート都市です。都心のタワーマンションなど、人工的な高層空間から、自然豊かなリゾート地へ気軽に移動できるのは嬉しいですよね。また、企業経営者や投資家、クリエーターにとっては、静かな環境で心身を休めることも“仕事のうち”です。
さらに、一定の要件を満たしたセカンドハウスは、固定資産税などの大幅な減税措置を受ける対象でもあり、税制メリットとしての実利もあります。
加えて、首都直下型地震などの災害に備え「避難先・生活拠点」を分散させておきたいと考える富裕層も少なくありません。
最良の選択を
今回は、「富裕層の住宅事情」について解説しました。
資産価値の高さから「高級タワーマンション」「高級住宅街の戸建て」を選ぶ派、あえて「ベッドタウン」に居住地を構える派など、お金持ちの住宅に関するこだわりは様々です。また、週末はリゾート地で過ごす「二拠点生活」派も。
事業環境や生活の変化、または災害リスクに備えて拠点を分散させておきたいと考える富裕層は少なくありません。メリット・デメリットを照らし合わせ、最良の選択をしたいものですね。


