ランボルギーニ「レブエルト」で300km/hを体験するため富士スピードウェイへ、新型になったホンダ「フリード」に乗るため宇都宮へ、おいしいお酒を手に入れるため福生の「石川酒造」へと、順調にオドメーターの数値を増やしていた愛車「ゴルフⅡ」。2024年7月のある暑い日、換気しようとパワーウインドー(PW)のスイッチを押してみると、全く反応がない。
ここの故障はゴルフⅡあるある?
「ああ、来たな」とすぐに思ったのは、ゴルフⅡのオーナーさんなら一度は体験しているハズの定番「ウインドーレギュレーター関連」の故障だったからだ。
いつもメンテナンスをお願いしている「スピニングガレージ」に持ち込んでみると、スイッチ内部の接点が黒く焦げていた。バッテリーからの電流が直接流れるこの部分は、何かの理由で抵抗が増え始めると接点から火花が飛んで、こうなってしまうらしい。その場では焦げた部分を清掃しただけでとりあえず復活したのだが、やっぱり根本的な対策が必要との診断。具体的にはスイッチにリレーをかますことと、レギュレーター自体の交換だ。
それでもしばらく乗っていると、「バキバキッ」という音と共に左側のウインドーが途中でストップ。さらに右側も不動という予想通りの状態に。メカニックの小磯さんの手によってドアパネルを外してみると、左側のレギュレーターはワイヤーを巻き取るためのプーリーがパックリと割れてしまっていて、右側はモーター自体がご臨終となっていた。
割れたプーリーは樹脂でできている。作ったメーカーとしても、まさか30年以上使われるとは思っていなかったのかも。本体には、純正部品である証のVW/アウディのロゴと「GERMANY」の刻印が刻まれていた。
交換したレギュレーターは台湾製。いろいろ試してきたけれども(取り付け後、すぐに壊れたものもあったらしい)、現状ではこれが一番ということだ。
左右のスイッチに取り付けたリレーは、それぞれ2個ずつで合計4個。2個ずつとなる理由は、スイッチの電流に上りと下りがあるためだ。リレーはエナメル線を巻いた磁石(コイル)と接点機構(スイッチ)を組み合わせたシンプルなメカニカルの有接点型で、見ていると、アナログ感満載の配線をまとめる作業がなかなか大変そう。「配線地獄だ……」と小磯メカがつぶやいていた。
レギュレーター交換が3万1,900円、リレー取り付けが2万2,000円。左右あるので合計は10万円を超えるという結構な出費となってしまったが、直後に予定していたロングドライブに対する安心料だと思うことにした。
ロングドライブの燃費は?
2024年8月初旬に中部地方に向けてロングドライブを敢行したのは、1970年代のS・B(バンドの頭文字です)時代から聴き続けてきたT・Yさんの名古屋でのライブチケットが奇跡的に当たったから。せっかくなので、岐阜方面で前泊して向かう計画を立てていたのだ。
ところが、自宅を出発して間もなくの八王子ICを過ぎたあたりで、カミさんが何気なくスマホを開くと衝撃的な連絡が。T・Yさんが風邪をひいたため、ライブ開催を見送るという内容のメールだったのだ。まぁ、それでも仕方ないかと、そのまま旅を続けたのが今回のドライブだ。
中央道を松本で降り、158号で上高地の横を通り抜けて岐阜県高山市へ。七夕飾りで賑やかな上三之町を散策したり、馬頭観音「山桜神社」で目の前で描いていただけるこの時期だけの夏の風物詩「紙絵馬」を2千万両(名馬の値になぞらえた“松倉相場”という取引の値段)支払って入手したりしたあと、東海北陸自動車道(E41)で郡上八幡へ。吉田川沿いの旅館「三冨久」で川の音を聞きながら涼しい朝晩を堪能したり、夜の郡上踊りを満喫したりすることができた。
翌日は256号線を通って不思議な「モネの池」を見たり、美濃市の「うだつの上がる町並み」を見学したりして、気温39℃の灼熱の名古屋入り。30数年前に長男が生まれた瞬間に、プロ野球中日戦を取材中だったナゴヤ球場(名古屋ドームではない)を訪れたり、熱田神宮にお参りしたり、朝から並んだ蓬莱軒本店の「ひつまぶし」でお腹も味覚も満たしたりして帰路についた。
3日間の走行距離は863km(そのうち下道は215km)。給油したハイオクガソリンは80.66L。満タン法での燃費は10.7km/Lという結果だった。2名乗車、3速ATで、新東名の120km/h区間を制限速度いっぱいで走った時のエンジン回転数は4,000rpm。絶えずエアコン全開で、アップダウンの多かった長野・岐阜県内の下道の割合は全体の25%だった。これらの条件を考えたら、リッターあたり10kmを超える燃費は許せるところか。何より、34年前のゴルフⅡが、炎天下のロングドライブを故障なしで走り切ってくれたのが一番嬉しい。
と安心していたら、後日、ホンダの試乗会で訪れた宇都宮のガソリンスタンドで新たなトラブルが。エンジンを再スタートしようとキーを回しても、セルモーターが全く反応しないではないか。原因とその処置は……。