「コーヒーを飲む人は認知症になりにくい」という話を聞いたことがある人もいるかもしれません。しかし、コーヒーなら何でもよいわけではありません。飲み方によっては、せっかくのメリットを打ち消してしまうどころか、認知症予防の観点からは逆効果になることもあります。

本記事では、認知症予防のために知っておきたい「避けたいコーヒー習慣」と「おすすめの飲み方」について解説します。

甘いコーヒー習慣が脳に与える影響

コーヒーに含まれるカフェインやクロロゲン酸などのポリフェノールは、抗酸化作用や抗炎症作用があり、脳の老化予防に役立ちます。一方で問題になるのが、砂糖をたっぷり加えたコーヒーです。

例えば、砂糖入り缶コーヒーや甘いカフェオレなど、コンビニの加糖コーヒー飲料などは、1本で角砂糖5~10個分に相当する糖質を含むことがあります。

認知症予防を目的にコーヒーを飲んでいるつもりでも、毎日大量の糖分を摂取していては本末転倒です。

近年、アルツハイマー病は「脳の糖尿病」と呼ばれ、脳内でのインスリンの働きが低下すると、認知機能低下につながると考えられています。実際に2型糖尿病の人では、認知症のリスクが約1.5~2倍高くなることが報告されています。(※1)

つまり、「コーヒーを飲んでいるから安心」ではなく、「どのようなコーヒーを飲んでいるか」が重要なのです。

(※1)Geert Jan Biessels Lancet Neurol. 2006 Jan;5(1):64-74.

血糖値スパイクが脳を老化させる

甘いコーヒーなどの飲み物は急速に吸収されやすく、血糖値を急上昇させます。これを「血糖値スパイク」と呼びます。

血糖値スパイクが繰り返されると、活性酸素の増加、血管内皮の障害、インスリン抵抗性の悪化が起こることで、脳の細い血管がダメージを受け、脳への酸素や栄養供給が低下、認知機能低下の原因になるのです。

さらに高血糖状態では「AGEs(終末糖化産物)」と呼ばれる超悪玉老化物質も増加します。AGEsは脳内の炎症やアミロイドβの蓄積を促進することが知られており、アルツハイマー病との関連も指摘されています。(※2)

つまり、毎日の甘いコーヒーが、知らないうちに脳の老化を進めている可能性があるのです。

(※2)JAIME URIBARRI J Am Diet Assoc. 2010 Jun;110(6):911–16

飲みすぎも要注意 カフェインと睡眠の関係

さらに、コーヒーは飲み過ぎにも注意が必要です。

特に認知症予防の観点では、睡眠中には脳内に蓄積した老廃物やアミロイドβを排出する「グリンパティックシステム」が活発に働くことが分かっています。(※3)

つまり、十分な睡眠は認知症予防に欠かせないのですが、カフェインを夕方以降に摂取すると、寝つきが悪くなる、睡眠が浅くなる、睡眠時間が短くなる、といった影響が生じてきます。

「昼間の眠気対策」として飲んでいるコーヒーが、結果的に睡眠の質を下げ、脳の老廃物処理を妨げている可能性もあるのです。

(※3) Maiken Nedergaard Science. 2020 Oct 2;370(6512):50-56

認知症予防におすすめのコーヒーの飲み方

認知症予防を意識したコーヒー習慣としておすすめなのは次のような方法です。

ブラックコーヒーを基本にする

砂糖やシロップをできるだけ控え、コーヒー本来のポリフェノールを活かしましょう。

どうしても苦味が苦手な場合は、少量の無糖豆乳を加える程度がおすすめです。

1日2~4杯を目安にする

複数の疫学研究では、1日2~4杯程度のコーヒー摂取で認知機能低下リスクが低い傾向が報告されています。

午前中から昼過ぎまでに飲む

睡眠への影響を考えると、夕方以降のコーヒーは控えるのが理想です。

特に睡眠の質が低下している人は、午後2時以降のカフェイン摂取を減らしてみる価値があります。

飲み方次第でプラスにもマイナスにもなる

コーヒーには、ポリフェノールが多く含まれているため、脳の健康にとって有益な可能性があります。

しかしその一方で、砂糖たっぷりのコーヒーや睡眠を妨げる飲み過ぎは、認知症予防の効果を打ち消してしまう恐れがあります。

認知症予防において大切なのは、「コーヒーを飲むこと」そのものではなく、「どのように飲むか」なのです。

毎日の一杯を見直すことは、将来の脳の健康を守るための小さくても大きな一歩になるかもしれません。