台湾TrendForceの半導体メモリ調査部門であるDRAMeXchangeは、サーバDRAMモジュールの平均契約価格が、2017年第3四半期(7-9月期)も、第1四半期の前四半期比40%上昇、第2四半期の同10%上昇に続き、3%~8%の範囲で上昇する見通しを発表した。
この結果、一次(first-tier)顧客向けの32GBサーバDRAMモジュールの平均契約価格は約260ドルに達すると予測され、2次顧客向けの価格はそれよりも高くなる可能性がでてきた。業界内には、DRAM価格の上昇は2017年の上半期までで、下半期には収まるとも見方をする向きもあったが、第3四半期も緩やかになったとはいえ、価格上昇が続く可能性が出てきた。
DRAMeXchangeのアナリストを務めるMark Liu氏によると、サーバDRAMモジュールの容量は、メインストリームモジュールで32GBまで拡張されており、「2017年の後半には、サーバ1台当たりのメモリ容量の増加と32GB製品ラインの市場浸透率の増加が主な需要喚起の原動力になる」と予想している。そのため、DRAMeXchangeも、2017年末までにサーバDRAMモジュールの出荷シェアのうち32GB製品が占める割合が60%を超すものと予測している。
2017年中はサーバDRAMモジュール不足は解消されず
サーバ市場を見ると、2017年下半期の製品受注は、大部分がデータセンター運営者、企業、政府機関による上半期の調達契約に基づいたものとなっている。さらに、この需要のかなりの部分は、Intelの最新世代のXeonプラットフォーム「Purley(開発コード名)」をベースとしたサーバであり、この初期出荷分のほとんどが旧式のハードウェアを置き換えるデータセンター向けであると予想されている。また、Purley搭載のエンタープライズサーバの市場提供は、主に2018年の第1四半期に予定されており、これにより32GB RDIMMや64GB LRDIMMなどの大容量モジュールの市場浸透がさらに加速するものと見込まれている。
サーバDRAMの供給状況は、現在のメモリサプライヤの出荷実績と比べると、需要に対して年初から約60%から70%程度で推移しており、依然として供給不足が続いている。同時に、今年上半期の調達契約に基づいてPurleyベースサーバが納入されるようになれば、DRAM製品、特に高容量モジュールの需要が年末に向かって押し上げられることが想定される。また、技術面を見ると、サーバDRAMの大半は20nm以上の古いプロセスが用いられている。DRAM業界全体として、1Xnm世代への移行が進められているが、サーバDRAMのサプライヤは、製品の信頼性を確実に担保する必要があるため、微細化されたプロセスへの移行にかなり難色を示しているという。そのため、DRAMeXchangeでは、1Xnmノードを用いたサーバDRAMの量産が主流になるのは、2018年後半まで待つ必要があると予測している。
なお、DRAMeXchangeでは、2017年後半のサーバー出荷台数が上半期と比較して約10%増加すると予測している。 2017年の出荷額上位3社のサーバベンダーは相変わらずHPE、Dell、Lenovoであり、この3社で世界シェアの約40%を占めると見られている。また、Huaweiは、2017年の出荷台数が前年比で約30%増加すると同社では見込んでいる。