アドビシステムズ マーケティング本部 ビジネスソリューション/Acrobatマーケティング部 フィールドマーケティングマネージャー 小圷(こあくつ)義之氏

アドビシステムズは10月18日、同社の文書管理ソリューション「Adobe Acrobat」シリーズの最新版「Adobe Acrobat X (アドビアクロバットテン)」「Adobe Reader X」のリリースを発表した。同時にオンラインサービス「Acrobat.com」上でファイルのやり取りを可能にする「Adobe SendNow」の提供も開始する。アドビシステムズ マーケティング本部 ビジネスソリューション/Acrobatマーケティング部 フィールドマーケティングマネージャー 小圷義之氏は「もはやPDFは、文書の最終形態として出力するだけのものではなく、最初から業務プロセスに取り込まれてしかるべきもの。新しくなったAcrobat Xは、複数人でのプロジェクトを円滑に進めるコミュニケーションツールとしても十分に機能する。さまざまな機能が向上したAcrobat Xでもって日本企業の生産性アップに貢献したい」としている。

今回提供されるAdobe Acrobat Xは

  • Adobe Acrobat X Standard (Windows)
  • Adobe Acrobat X Pro (Windows/Mac)
  • Adobe Acrobat X Suite (Windows)

の3エディションが用意されている。このうち、Suiteは今回から新たに提供されたエディションで、Acrobat X Proに加えPhotoshop CS5やPresenter 7、Captivate 7、LiveCycle Designer ES2、Media Encoder CS5といったAdobeのクリエイティブ製品が含まれる。

アドビがAcrobat Xで目指すのは単なるPDF作成ツールではなく「次世代コミュニケーションプラットフォーム」としての役割だ

Acrobat Xは、ユーザインタフェースの大幅な改善によるユーザビリティの向上と、よりダイナミックで表現豊かなPDFファイルの作成/共有(Acrobat Dynamic PDF)が可能になった点が大きな特徴だ。頻繁に使用されるすべてのツールを1つのウィンドウ枠で表示できるようになったため、これまで以上に容易な操作性が実現している。

Acrobat Xの根幹を支えるAcrobat Reader Xも使いやすさが向上、付箋のようにコメントを記入できるノート注釈やハイライトツールの利用が可能になっているほか、サンドボックス機能によるセキュリティの強化、さまざまなWebブラウザとの親和性向上といった機能強化が図られている。さらに、Android、Windows Phone 7、BlackBerry Tablet OS向けのAdobe Reader Xも提供され、携帯端末でのPDF利用シーンがより拡大した。

Acrobat Xのその他の主な新機能は以下の通り。

  • アクションウィザード(Pro/Suite) … 頻繁に行う複数の作業を1つの作業にまとめることで効率化をアップ
  • PDFポートフォリオ機能の強化(Pro/Suite) … 複数の関連文書を1つに束ねたり、より見栄えの良い文書の作成/共有
  • Microsoft SharePointとの連携 … SharePointサーバ上で複数人によるPDF編集と管理
  • スキャンPDFの最適化、OCR処理の強化 … ファイルサイズがより減少、OCRによる文字認識率が向上
  • Microsoft Office、Firefoxへの対応 … ワンボタンクリックでPDF作成可能
  • Word/ExcelへのPDF書き出し … レイアウトや表を保持したままのPDFが作成可能
  • Acrobat.comのSendNowサービス … 大規模ファイルの送受信と受領証明による追跡が可能

小圷氏は、Acrobat Xが目指すゴールとして「文書業務の効率化と伝わる文書コミュニケーション」を掲げ、「AcrobatはPDFを作成/変換するだけのツールから、活用するコミュニケーションツールへと変貌しつつある。とくに複数人での共同作業においては、情報収集の段階からドラフト作成、レビュー、アップデート、といったさまざまな場面でプロアクティブな情報共有を可能にする」とし、今回加えられたさまざまな新機能を使うことで、紙や印刷コストの低減、迅速な意思決定、セキュアでわかりやすい文書による円滑なコラボレーションなどが実現することを強調する。「Acrobatの強みは、世界で最も普及している文書フォーマットであるPDFをベースにしていること。無償で配布されているAdobe Readerがあれば、誰もが文書を閲覧できるという点は大きい」(小圷氏)

Acrobat Xであれば、複数人で行う企画書のレビューのように変更が多い作業であっても、情報を1つのPDFファイルに集約できる。Acrobat Readerの機能向上により、ハイライトやコメントがわかりやすく表示される。決まり切ったルーチンワークは、アクションウィザード(Pro以上)にまとめて効率化を図ることも可能

Microsoft OfficeやFirefoxからもワンボタンクリックでPDF作成が可能になった

入力可能なPDFファイルの作成も簡単にできる。Pro以上であれば、Readerユーザに対して入力/保存の権限を付与することも可能

Adobe Acrobat Xファミリの価格および販売開始時期などは以下の通り。Adobe Reader XはこれまでのRederと同様、無償で提供される。

販売価格(アドビストア価格)

  • Adobe Acrobat X Standard (Windows版) … 通常版: 3万6,540円 / アップグレード版: 1万9,110円
  • Adobe Acrobat X Pro (Windows版/Mac OS版) … 通常版: 5万7,540円 / アップグレード版: 2万5,410円
  • Adobe Acrobat X Suite (Windows版) … 通常版: 15万1,200円

販売開始時期

  • Acrobat X ProおよびStandard 日本語版
    • ダウンロード版(アドビストアのみ)… 11月15日
    • ライセンス版 … 11月16日
    • パッケージ版 … 12月1日
  • Acrobat X Suite 日本語版
    • ダウンロード版(アドビストアのみ) … 11月24日
    • ライセンス版 …11月24日
    • パッケージ版 … 12月10日
  • Adobe Reader X 日本語版 … 11月15日