アイルランドの調査会社Research and Marketsは、今後のデジタルメディア業界などを展望した最新レポート「2007 Global Digital Media Report - Volume 1 - Industry Convergence Continues」の発表を行った。

同レポートでは、現在のメディア業界について、これまで独占的に市場を支配してきた大手企業の勢いが弱まり、重大な変化が生じつつある過渡期に位置していると分析。従来の放送・通信事業者は、インターネットが一時的なブームに過ぎないとみなしていたものの、今後は、音声電話/テレビ放送/ブロードバンド接続をセット提供する"トリプル・プレイ"(Triple-Play)のビジネスモデルを実現する事業者が、市場で大きな役割を果たしていくだろうとしている。

同業界における注目のキーワードとしては、検索広告およびユーザー投稿型のコンテンツ(UGC: User Generated Content)の2点が挙げられた。検索エンジンは、インターネット利用時の基本的な役割を果たしているため、すでに世界のインターネットユーザーの約6割が利用しているとされるGoogleの影響力は絶大。しかしながら、Yahoo!やMicrosoft(Live Search)などのシェアも大きく、こうした検索エンジン向けの広告市場の成長が期待されている。また、同レポートでは、AmazonのA9やWikipediaの新検索エンジンが今後の検索広告売上を伸ばしていく可能性が高いとしている。

一方、検索広告市場を上回る成長率を今年記録すると見られるのは、YouTubeやMySpaceなどのUGC向け広告市場。映画会社や放送業者が、動画コンテンツのオンライン販売へのシフトを強化しつつあるものの、それを凌ぐ勢いがUGC人気にはあるとされている。さらに、SNS向けの年間広告売上高は、2010年には米国内でUS20億ドルを突破するまでに拡大していくとの予測も出されている。