トイレの排水管の役割
トイレの排水管には以下のような役割があります。
- 汚水を下水道に流す
- 封水で悪臭と害虫を防ぐ
汚水を下水道に流す
トイレの排水管は、文字通り便器から出た汚水を下水道へと流すための通路です。
排泄物やトイレットペーパーといった大きな汚物をスムーズに運搬できるよう、他のキッチンや浴室の排水管に比べて直径が大きく設計されています。
この太い管を通じて、トイレで流した汚水は家屋内の配管から公共の下水道管へと一直線に送り出され、停滞することなく処理施設へ向かいます(浄化槽の場合は敷地内の浄化槽へ)。
もし排水管がなければ汚水は適切に流れず衛生的にも大問題ですから、トイレの排水管は家庭の衛生環境を支える重要な役割を担っているのです。
また、トイレの排水管は構造上傾斜(勾配)がつけられており、重力によって汚水が下流へ流れやすい仕組みになっています。
適切な勾配があることで、配管内に汚物が溜まらず自然に流下しやすく、詰まりが起こりにくくなる効果もあります。
逆に勾配が不適切だと汚物が滞留しやすくトラブルにつながるため、排水管は家の設計段階から慎重に角度が設定されています。
こうした工夫により、日々の排泄物を安全に下水道へ送り出すことがトイレ排水管の大切な役割です。
封水で悪臭と害虫を防ぐ
トイレの排水管にはもう一つ重要な役割があります。それは「封水(ふうすい)」によって下水からの悪臭や害虫の侵入を防ぐことです。
封水とは、排水管の途中に常に溜めておく水のことで、水のフタのような役割を果たします。
トイレの場合、便器内部にいつも溜まっている水がこの封水にあたります。

排水管内に水で蓋をすることで、下水道側から上ってくる臭い臭気やゴキブリなどの害虫が室内に入ってくるのを遮っているのです。
具体的には、トイレの排水口付近にS字やP字のカーブを描いた「排水トラップ」と呼ばれる構造部分があります。
トラップの曲線部分に封水として水が溜まる設計になっており、この水がバリアとなって下水道の臭気の逆流を防いでいるわけです。
さらに害虫についても、水の壁があることで下水道側から配管を伝って上がってくるのを阻止できます。
これにより、私たちは普段トイレ使用中に不快な臭いや虫に悩まされずに済んでいるのです。
ただし、何らかの原因で封水が失われると臭いや害虫が上がってきてしまう可能性があります。
例えば長期間トイレを使用せず放置すると、封水が蒸発して乾いてしまい、下水道と空気が直通になって悪臭が発生することがあります。
また、封水が充分でも配管の接続部に隙間や劣化があると、そこから臭気が漏れてくるケースもあります。
封水はトイレ快適性の守護者ともいえる存在ですので、常に正常に保たれていることが重要です。
トイレの排水管の種類
トイレの排水管は大きく分けて、その形状と排水方式に違いがあります。
形状や排水方式が違うことでどのような違いが生まれるのかをご紹介します。
トラップの形状
トイレの排水管にはいくつか種類がありますが、中でも重要なのが排水トラップの形状による違いです。
トラップとは前述の通り排水管内の臭いを防ぐための湾曲部分で、トイレでは主に「S字トラップ」か「P字トラップ」のどちらかが採用されています。

トラップ部分の形状が異なると、排水管の取り付け方向や便器の構造も変わってきます。
それぞれの特徴を見てみましょう。
S字トラップ
S字トラップは、その名の通りアルファベットの「S」を横倒しにしたような形状のトラップです。
便器から伸びる排水管が滑らかな二つの曲線を描いて床下に向かって伸びていく構造で、曲がりくねった部分に封水(水の溜まり)ができます。
排水管の先端(出口)が床下の排水口に繋がるタイプで、戸建住宅や古くからある一般的な和式・洋式トイレで広く採用されてきました。
便器の底から床へ向かって排水が真下に抜けるため、トイレを設置した際に便器の直下に排水管の配管穴(フランジ)があるのが特徴です。
S字トラップの利点は、重力に従って真下に流す構造ゆえに排水効率が高いことです。
また便器の下に配管スペースが確保できる場合が多いので、トラップ部を大きくして十分な封水を確保しやすいというメリットもあります。
一方で床下に配管を通す必要があるため、階下への貫通孔が必要になり、集合住宅の構造によっては使用できないケースもあります。
P字トラップ
P字トラップは最近普及してきているトラップ形状で、アルファベットの「P」を横倒しにしたような形をしています。
S字トラップ同様に曲線部分に封水を溜めますが、排水管の先端が横方向(壁方向)に向かって伸びているのが特徴です。
つまり、便器から出た排水管が床ではなく壁の排水口に接続されるタイプになります。
このP字トラップは、主にマンションやアパートなど集合住宅で採用されることが多い方式です。
壁の中に縦型の排水管(スタック)が通っている建物では、便器から横引きして壁の中の配管に接続するP字トラップ式が有効です。
利点として、床を貫通させずに済むため下階への防水上の安心感があり、床面のレイアウト自由度も高まります。
また近年はリフォームなどで戸建てでも壁排水式の便器が選ばれる場合もあります。
P字トラップのトイレでは、便器背面から壁へ短い排水管が露出してつながっていることがあります(露出していない機種もあります)。
トイレ周辺にパイプが見当たらないものが床排水、逆に壁や床に向かって太い排水管が伸びているのが壁排水(P字トラップ)と判断することもできます。
排水方式
トイレの排水管は、その接続方式の違いによって「床排水」と「壁排水」の2種類に大別されます。
これは上記トラップ形状とも深く関係しています。
簡単に言えば、排水管が床に向かっているトイレが床排水、壁に向かっているトイレが壁排水です。
それぞれの方式について、特徴を押さえておきましょう。
床排水
床排水とは、トイレの排水口が床についており、汚水が床下へ垂直に排出される方式です。

多くの戸建住宅や古い集合住宅で採用されており、便器直下に排水管の継ぎ目(フランジ)が存在します。
先ほどのS字トラップ式トイレはこの床排水方式に該当します。
床排水トイレでは、便器を設置した際に排水管との接続部が便器の真下に隠れるため、外から排水管が露出して見えないのが一般的です。
床排水方式のメリットは、排水効率が良く配管構造が安定していることです。
排水が真下に落ちるので流れが直線的で詰まりにくく、また床下にある程度スペースが取れるため配管工事の自由度も高いです。
ただし、マンションの中層階以上では床下に排水管を通せない構造の場合もあり、その場合は壁排水を選択せざるを得ません。
自宅のトイレが床排水かどうか確認するには、便器の後ろから床に向けて太い配管が見えるかどうかをチェックすると良いでしょう。
特に見当たらなければ床排水である可能性が高いです。
壁排水
壁排水とは、トイレの排水口が壁面についており、汚水が壁の中へ水平方向に排出される方式です。

こちらは主にマンションやアパートなどの集合住宅で見られるタイプで、建物の壁内部に縦に配管スペース(PS:パイプスペース)が確保されている場合に採用されます。
P字トラップ式のトイレはこの壁排水方式になります。
壁排水トイレでは、便器背面から横向きに伸びる排水管で壁中の排水管に接続します。
そのため便器を床に設置した状態で、後方または側方に短いパイプが露出して見えることがあります(そのパイプをカバーで隠している機種もあります)。
壁排水はマンションや団地で採用されることが多く、床排水は戸建住宅や一部マンションで採用される傾向があります。
壁排水方式の利点は、階下への貫通が不要なので下の階への漏水リスクが低減できる点です。
また床下に排水管を通す必要がないため、リフォーム時に配管経路の制約が少なく自由なレイアウトが可能になるメリットもあります。
一方、排水が一度横方向に流れるぶん流下パワーが落ちやすく、勾配確保が難しいため、施工不良だと詰まりやすいケースもあります。
そのため壁排水トイレでは特に配管勾配や取り付け施工の確実さが重要です。
自宅のトイレが壁排水か調べるには、便器後ろに太いパイプが露出して壁につながっていないか確認してみましょう。
明らかに見える配管があれば壁排水式の可能性が高いです。
トイレの排水管に起こる主なトラブル
トイレの排水管で起こりがちな代表的なトラブルには以下のようなものがあります。
- 詰まり
- 水漏れ
- 悪臭・異音
- 逆流・戻り水
それぞれどのような現象で、どんな原因が考えられるのか見ていきましょう。
詰まり
詰まりはトイレトラブルの中でも最も頻繁に発生するものです。便器の水を流してもスムーズに流れず、水位が上がってきてしまう状態が詰まりのサインです。
主な原因としては、大量のトイレットペーパーや排泄物を一度に流した場合や、流してはいけない異物を流してしまった場合などが挙げられます。
例えば「水に流せる」と市販されているお掃除シートや猫砂、ティッシュペーパーなども、実際には溶けにくく排水管内に残って詰まりの原因になります。
その他にも子供がおもちゃを落とした、誤って携帯電話やオムツを流してしまった、経年で管内に汚れ(尿石や紙カス)が蓄積した等、原因は様々です。
詰まりが発生すると、無理に流そうとしてさらに水を流し続けると汚水が逆流してあふれ出す恐れがあります。
便器から水が溢れると床が水浸しになるだけでなく、不衛生な汚物を撒き散らすことにもなりかねません。
まずは焦らずに使用を中止し、原因に応じた対処が必要です。
軽微な詰まりなら自分で解消できる場合もありますが、無理な処置はさらなる悪化につながることもあるので注意しましょう。
水漏れ
水漏れは、トイレの排水管やその接続部分から汚水がにじみ出たり垂れてきたりするトラブルです。
もしトイレの床にいつも水たまりができる、便器と床の境目から水が染み出す、といった症状があれば排水管からの水漏れが疑われます。
原因として考えられるのは大きく3つです。
- トイレの詰まり(汚物が詰まって逆流し、継ぎ目から水が漏れる)
- 排水管と便器の接続部分の緩み・劣化(パッキンや封水槽の隙間から漏れる
- 排水管そのものの損傷・劣化(経年劣化や腐食によるひび割れ等)
詰まりが原因の場合、排水が行き場を失い継ぎ目など弱い部分から水が漏れ出すことがあります。
また、便器と排水管の接合部には封水を保持するゴムパッキンやワックスリング(輪状のシール材)が使われていますが、これが古くなって硬化・ひび割れしたり、便器の固定ボルトが緩んで接合部に隙間ができたりすると、そこから少しずつ水が漏れてくることがあります。
排水管自体の劣化では、特に古い金属製の配管(鋳鉄や鋼管など)だと錆びによる穴開きや振動による継ぎ手の破損が起き、そこから汚水が滴るケースもあります。
排水管からの水漏れは、漏れているのが汚水であるため放置すると衛生的にも悪く、また床や壁を腐らせる原因にもなる厄介な問題です。
木造住宅では水漏れが原因で床板が腐食したり、湿気でシロアリが発生するリスクもあります。水漏れに気づいたら早急な対応が必要です。
悪臭・異音
トイレの排水管まわりで悪臭がする、あるいは使用時に異音(ボコボコ・ゴボゴボといった音や振動音)が発生するケースもあります。
まず悪臭については、トイレ自体を掃除しても下水のような臭いが消えない場合、排水管に原因があるかもしれません。
考えられるのは、排水管内のどこかに汚物が引っかかって腐敗しているか、何らかの理由で下水からの臭気がトイレ内に漏れてきている場合です。
前者は例えば流し切れなかった紙や汚物が管内に溜まっていると発酵臭が上がってくることがあります。後者は封水切れや配管の隙間などで下水の臭気が逆流してくるケースです。
特に長期間不在で封水が蒸発してしまった後などは顕著で、トイレに入ると下水臭が充満していることがあります。
次に異音についてですが、トイレを流した際や、他の水回りを使ったときにトイレから「ゴボゴボ…」という気泡音が聞こえることがあります。
これは排水管内の空気の動きが原因で起こる現象です。
具体的には、排水管の途中に部分的な詰まりがあって空気の通り道が狭まっていたり、あるいは家の排水システムの通気(ベンチレーション)不足で空気圧の変動が大きくなったりすると、水が流れる際に管内の空気が押し出されてゴボゴボと音を立てるのです。
特に2階以上の高所にあるトイレで異音がしやすい傾向があります。
また「カンカン」「コンコン」といった音がする場合は、配管が温度変化で膨張・収縮して壁に当たっていたり、配管支持金具が緩んで振動している可能性もあります。
悪臭や異音自体は直接大きな被害を及ぼすものではありませんが、放っておくと詰まりなど重大なトラブルの前兆であることも少なくありません。
異音は排水の通りが悪くなってきたサインであり、悪臭も配管トラブルの初期症状として現れることがあります。
これらの症状が出たら早めに原因を探って対処しておくことが大切です。
逆流・戻り水
逆流(戻り水)とは、トイレに流した汚水が下水道に流れ切らずに逆方向に押し戻されてくる現象です。
通常、トイレの水を流すと勢いよく下へ流れていきますが、何らかの理由で配管の先で詰まりや閉塞が起きていると、行き場を失った汚水が押し返されて便器内に戻ってきます。
極端な場合、汚水が便器から溢れて床一面に広がることもあり、非常に深刻なトラブルです。
逆流の主な原因はトイレや排水管のどこかに発生した詰まりです。
例えば便器の奥や排水管の途中に大量のトイレットペーパー・異物が詰まっていると、水が流れずに逆流します。
他にも、屋外の排水マス(汚水桝)や下水本管に問題が生じて逆流するケースもあります。
台所からの油汚れや浴室の髪の毛などが集合住宅の排水管で蓄積し、屋外マス自体や配管のどこかに詰まりを起こしてトイレまで逆流することもあるのです。
大雨や台風で下水道が容量オーバーになった際に、下水管から汚水が逆流してくるケースもごく稀にあります。
逆流が起きると、汚水が溢れるだけでなく、室内の衛生環境が著しく悪化します。
雑菌だらけの汚水によって床材が汚染されたり、臭気が強烈に残ったり、電化製品に水がかかって漏電の危険すら生じます。
特に階下への水漏れ被害が及ぶと重大な損害にもなりかねません。逆流はトイレトラブルの中でも最も注意すべき緊急事態と言えます。
トイレの排水管トラブルの解決方法
ここまで見てきたようなトラブルが起きてしまった場合、それぞれに応じた対処法があります。
DIY初心者の方でも落ち着いて順番に試せる解決方法を、トラブルの種類ごとに解説します。
ただし無理は禁物で、手に負えないと感じたら早めに専門業者に相談することも大切です。
詰まり
トイレが詰まってしまったら、まず絶対に無理に何度も水を流さないでください。
溢れ出すリスクが高まるためです。
軽度の詰まりであれば以下のような方法で自分で解消を試みることができます。
- 60℃前後のぬるま湯を注ぐ:トイレットペーパーなど紙詰まりの場合、有効です。バケツ一杯のお湯(※沸騰水は不可)を便器に静かに注ぎ、紙をふやかして溶かします。
- ラバーカップ(スッポン)を使う:いわゆるプランジャーを排水口に密着させ、ゆっくり押してから勢いよく引く動作を繰り返します。真空状態と圧力変化で詰まりの塊を押し流す定番方法です。
- 真空式パイプクリーナーを使う:ラバーカップより強力なポンプ式の吸引器具です。ハンドル操作で真空圧をかけて詰まりを吸引除去します。ホームセンター等で購入可能で、頑固な詰まりに有効です。
- ワイヤーブラシ(排水管用トーラー)を使う:長いワイヤーの先端にブラシやコイルが付いた器具で、配管内に突っ込んで異物を絡め取ったり砕いたりできます。深い位置の詰まりや固形物に効果的ですが、初心者にはやや扱いが難しい道具です。
- 市販のパイプ洗浄剤を使う:液体パイプクリーナー(苛性ソーダ系など)はトイレ詰まりには基本的に効果が限定的です。トイレットペーパー程度なら分解しますが、固形物や大量の紙には効きません。むしろ詰まって水位が上がった便器に薬剤を入れると溢れて危険なので、軽い詰まり以外では使用しない方が無難です。
ぬるま湯でトイレつまりを解消する際に、熱湯を使ってしまうと便器自体がひび割れてしまう可能性がありますので、かならずぬるま湯を使用してください。
またラバーカップを使う際は、押し込んでつまりの原因を除去するのではなく、引き抜いてつまりの原因を除去するようなイメージを持つのがポイントです。

以上を試しても改善しない場合、無理に続けると状況が悪化する恐れがあります。その際は業者を呼ぶことを検討しましょう。
特に異物を落として詰まらせた場合、自力では困難なことが多いです。
なお、「詰まり解消グッズ」を使う際は必ずゴム手袋や汚れても良い服装で行い、汚水が飛び散ったら消毒清掃するようにしてください。
作業後にしばらくトイレを観察し、再度流して正常に排水できれば完了です。
ちなみにトイレの詰まりに関してはこちらの記事でご紹介していますので参考にしてください。

水漏れ
排水管からの水漏れが疑われる場合、まず最初にどこから水が漏れているか特定することが大切です。
タンクや給水管からの漏れではなく本当に排水管なのか確認しましょう。次の手順でチェックできます。
- 止水栓を閉める:トイレタンク横の止水栓(ハンドル)を回して給水を止めます。こうすると新たな水が供給されなくなります。
- 漏れている箇所を拭いて乾かす:床や壁に付いた水をタオルで拭き取り、一旦きれいに乾いた状態にします。
- 再度水を流す:止水栓を開けて試しに1回だけトイレを流してみます。そしてどの部分から水がにじむか観察します。
この手順で、漏れ箇所が便器と床の境目なのか壁の中(排水管の継手付近)なのかなどをある程度絞り込めます。
排水管からの漏れと判明したら、以下の対処を行いましょう。
- 便器と床の隙間からの漏れ:便器下のパッキン(ガスケット)劣化が疑われます。応急処置として隙間に防水パテを詰めたり、便器周囲をコーキングでシールする方法があります。ただ根本解決には便器を取り外してパッキン交換・再設置が必要です。難しければ業者依頼を検討してください。
- 排水管の継ぎ目からの漏れ:露出している排水パイプの継手部(例えば壁排水で見えるエルボ部分など)から滴る場合、接合部のパッキン緩みやひび割れが考えられます。レンチで軽く締め直せる構造なら締めてみます。それでも漏れる場合はパッキン交換が必要なので、専門業者に修理を依頼したほうが確実です。
- 排水管自体や床下で漏れ:床下や壁内で配管が破損している可能性があります。この場合、個人での修理は困難です。バケツ等で漏水を受けつつ、早急に水道修理業者に連絡しましょう。放置すると建物へのダメージが広範囲になり危険です。
いずれの場合も、水漏れ修理の間は便器の使用を控えることが重要です。
止水栓を閉め、可能ならトイレの使用を中止して、他のトイレがあればそちらを使いましょう。
止水栓の閉め方などはこちらの記事に記載していますので参考にしてください。

悪臭
トイレの排水管からの悪臭を感じる場合、まずは封水がしっかり確保されているか確認しましょう。便器の水位が極端に下がっていたら、水を足して通常水位に戻します。
長期間使っていなかったトイレなら一度しっかり水を流して封水を入れ替えます。次に、排水口周りを掃除します。
便器内の汚れや尿石が臭うこともあるので、ブラシで念入りにこすり洗いしましょう。
それでも臭う場合は排水管内に汚れが蓄積しているかもしれません。
市販のパイプ用洗浄剤を規定量流し込んで一晩置き、その後大量の水で流すといったお手入れを試してみてください。
重曹とクエン酸(または酢)を併用して発泡洗浄する手作り洗浄も効果があります。
さらに、便器と排水管の接続部(床との境目)から臭いが漏れているケースもあります。
その場合、便器周囲のシーリングが切れていないかチェックし、必要に応じて防臭パテやコーキングで隙間を埋めると臭気漏れが改善することがあります。
以上の対策でも臭い改善しない場合、それは見えない部分で大きなトラブルが進行している兆候かもしれません。
例えば排水管の勾配不良や破損が原因で常に臭気が上がってきている、下水道側の問題で空気圧が乱れている等、専門知識が必要なケースもあります。
長引く異臭は放置せず、水道修理のプロに点検を依頼して原因を突き止めてもらうことをおすすめします。
異音
「ゴボゴボ」という音がする場合、排水管の部分詰まりを疑って一度パイプクリーナーなどで掃除してみましょう。
台所や浴室の排水も含め、家全体の排水経路に汚れが溜まっていると空気の流れが悪くなり音が出るため、排水管の高圧洗浄を業者に依頼して解消する手もあります。
また通気管(ベン管)の詰まりも異音の原因です。
屋根裏や屋上にある通気パイプが塞がっていないか確認し、落ち葉や巣などの詰まりがあれば除去します。
自分で難しければ業者に頼みましょう。
その他、配管支持金具が緩んで振動して音を出している場合は締め直し、配管が壁に当たっている音なら発泡スチロールやゴムシートを挟んで衝撃音を和らげるなどの工夫も有効です。
逆流・戻り水
トイレの逆流が発生したら、一刻も早く適切な対応をする必要があります。以下の手順で被害を最小限に抑えましょう。
- 絶対に使用をやめる:まずトイレの使用を即座に中止します。他の水回り(洗濯機や浴槽など)も連動して逆流する可能性があるので、一時的に家中の水道の使用を控えてください。
- 止水栓を閉める:トイレタンクの給水を止め、必要なら家全体の水道元栓も閉めます。これ以上水が供給されなければ、汚水の量が増えるのを防げます。
- 便器や床の汚水を除去:ゴム手袋・マスクを着用し、バケツやポンプで便器内の溢れそうな汚水を可能な限り汲み出します。床に溢れた水も雑巾やモップで拭き取りましょう。
- 排水マスの確認:もし敷地内に汚水マス(点検口)があれば開けてみます。満水状態で詰まっていればそこが原因かもしれません。マス内のゴミを取り除ける範囲で取り除きます。ただし無理は禁物です。
- 業者へ緊急連絡:応急処置が済んだら、速やかに水道修理業者か下水道局に連絡しましょう。逆流の原因が宅内の場合は修理業者、公共下水側のトラブルなら自治体の下水道担当課が対応します。
逆流へのDIY対処は非常に限られます。詰まりが明らかにトイレ内にある場合は、前述のラバーカップなどでつまりを解消すれば逆流も止まることがあります。
しかし原因が屋外や下水本管に及ぶケースでは個人ではどうにもなりません。
無理に何とかしようと排水管をいじると、さらに大量の汚水が噴出する危険もあります。
専門業者は高圧洗浄やポンプ車などプロ用機材で根本解決してくれるので、逆流が起きたら迷わず早急にプロに任せるのが賢明です。
なお、逆流が起きた後の室内清掃も重要です。
汚水が付着した床や壁は塩素系漂白剤等でしっかり消毒しましょう。
カーペットや木材に染み込んだ場合は乾燥させた上で消毒し、臭いが残るようなら消臭剤を使います。
家財への被害が大きい場合は火災保険の水濡れ特約などで補償が下りることもありますので、写真を撮るなど記録しておくと後々役立つことがあります。
業者にトイレ修理を依頼すべきケース
トイレの排水管トラブルは、自分である程度対処できる場合もありますが、状況によっては最初からプロの業者に任せた方が良いケースもあります。
無理をして事態を悪化させないために、以下のような場合は業者への依頼を検討しましょう。
- トラブルが頻発する
- トラブルの原因がわからない
- 自分で対処しても改善しない
トラブルが頻発する
一度直したはずのトイレトラブルが何度も繰り返し発生する場合は、根本的な原因が解決できていない可能性があります。
例えば「何度も詰まる」「何度修理してもまた水漏れする」など頻発する場合です。
これは排水管の構造的な問題(勾配不良や配管径の不足)、経年劣化による内部の損傷、または使用方法に起因する蓄積された汚れなど、素人には特定しづらい要因が潜んでいることがあります。
頻発するトラブルに対しては、業者が専門的な機器を使って配管内部を調査し、原因箇所を特定してくれるでしょう。
再発防止のためのアドバイスや、必要なら古い配管の交換提案なども受けられます。
同じトラブルが続く場合は、早めにプロの点検・修理を依頼して根治を図ることをおすすめします。
トラブルの原因がわからない
目に見える部分を色々確認してみたものの、「どこで何が起きているのか見当がつかない」という場合も業者に頼るべきです。
例えば水漏れひとつ取っても、原因箇所が排水管なのかタンクなのか、床下なのか壁の中なのか、判断が難しいことがあります。
下手に素人判断で誤った箇所をいじってしまうと、かえって被害が拡大するリスクもあります。
水道業者は経験上、症状からある程度原因の目星をつけるプロですし、必要に応じて内視鏡カメラや漏水探知機などで見えない部分も調査してくれます。
「悪臭がするけど場所が特定できない」「音はするが原因が分からない」等も、プロならではの知見で総合的に判断してもらえます。
原因不明の不安を抱えたまま生活するより、専門家の診断を仰いで早期に安心を得ましょう。
自分で対処しても改善しない
思いつく限りのDIY対処法を試したのに状況が良くならない場合も、無理せずプロにバトンタッチしましょう。
ラバーカップで詰まりが抜けない、水漏れ箇所をシールしても止まらない、掃除しても臭いが取れない等、「もうお手上げ!」という状態になったら、これ以上は自力で頑張らなくても大丈夫です。
むしろそれ以上悪化させてしまう前に、業者に相談するのが得策です。
プロの業者であれば、より強力な機材(高圧ポンプ、ロッドドレインクリーナー等)や専門技術(配管の分解・組み直しなど)で対応してくれます。
自分で処置しようとして配管を破損させたり、誤った薬品で便器を痛めたりすると余計な出費にもつながりますから、「これは難しい」と感じたら速やかにプロに頼る決断も必要です。
特に、汚水が溢れる逆流や、大量の水漏れなど緊急度が高いケースでは、最初から水道修理業者に電話してしまった方が被害は少なくて済みます。
深夜や早朝でも対応可能な24時間業者もありますので、状況に応じて無理をせずプロの力を借りましょう。
トイレ修理業者を選ぶポイント
いざトラブル発生で業者を呼ぼうと思ったとき、「どの業者に依頼すれば安心なの?」と迷う方も多いでしょう。
そこで、信頼できる水道修理業者を選ぶ際のチェックポイントを押さえておきましょう。
- 水道局指定業者
- かかる費用
- 施工実績
- 口コミ・評判
- 相見積もり
水道局指定業者
まず確認したいのが、その業者がお住まいの自治体の「水道局指定工事店」かどうかです。
水道局指定工事店とは、各市町村の水道局(または水道課)が認定した信頼の置ける業者のことです。
指定工事店になるには、国家資格である給水装置工事主任技術者を持つスタッフがいることなど厳しい条件をクリアする必要があり、技術力や信頼性が一定以上保証されています。

指定業者に依頼すれば施工レベルや信頼性が担保され、料金面も比較的安心といわれます。
逆に無指定の業者は、法的に扱えない工事があったり、トラブル時に行政から指導を受けていなかったりする場合もあるため注意が必要です。
もちろん指定業者なら100%安心というわけではありませんが、少なくとも基準を満たした業者であるという一つの目安にはなります。
インターネットで業者を探す際は、公式サイトなどに「○○市指定第〇〇号」などと記載があるかチェックしてみましょう。
不明な場合は電話で「指定店ですか?」と確認しても良いでしょう。
水道局指定業者であれば、施工後に何か問題が起きても市町村から指導が入る仕組みになっており比較的トラブル対応も安心です。
かかる費用
次に大事なのは費用(料金体系)です。
トイレ修理の費用相場は内容によって様々ですが、信頼できる業者は概ね料金の内訳が明確で、事前に見積もりをきちんと提示してくれます。
例えば「基本料金○○円+作業料金○○円+部品代」といった形で、何にいくらかかるのか説明があるでしょう。
依頼する前にホームページで料金例を掲載している業者だと安心材料になります。
また、深夜・早朝の割増や出張費の有無などもチェックポイントです。
一方で注意すべきは、極端に安すぎる謳い文句です。
「基本料金0円」「他社より○○%安い!」などと安さばかり強調する業者は、いざ依頼すると想定外の追加料金を請求してくるケースもあります。
例えば「調査費」「部品代」「高圧洗浄費」など、後からどんどん費用が嵩むと結局高額になることがあります。
適正価格の範囲で適切なサービスを提供している業者を選ぶには、数社の相場を比較してみるのが一番です(後述の相見積もり)。
料金が明確で説明も丁寧な業者を選びましょう。
施工実績
業者選びでは、その会社の施工実績や経験年数も重要な判断材料です。
創業から長く営業している、これまで○万件以上の修理対応実績がある等、経験豊富な業者はやはり信頼度が高まります。
公式サイトやパンフレットに過去の施工事例が載っていたり、「創業○○年」といった記載がある業者はチェックしてみましょう。
また、「トイレ修理専門」など特定分野に強みを持っている業者もあります。
トイレの排水管トラブルならトイレ修理の実績豊富な業者に依頼すれば、原因の見極めや修理もスムーズに行ってもらえるでしょう。
さらに、水道修理業界には全国チェーンの大手もあれば、地域密着の中小業者もいます。
大手は知名度や受付体制の充実がありますし、地元業者はフットワークの軽さや細かな融通が利くメリットがあります。
それぞれの良さがありますが、いずれにせよ実績豊富で評判の良いところを選ぶと失敗が少ないです。
迷ったときは、「◯◯市 トイレ 修理 評判」などでネット検索し、上位に出てくる業者の実績や口コミを調べてみるのも良いでしょう。
口コミ・評判
実際にその業者に修理を依頼した人たちの口コミや評判も、選定時にぜひ参考にしたいポイントです。
業者のホームページ上でお客様の声を掲載している場合もありますが、できれば第三者サイトの口コミを確認するのがおすすめです。
具体的には、Googleマップのレビューや、くらしのマーケット・ユアマイスター等のマッチングサイトでの評価、水道修理の比較サイトでの口コミなどです。
そこには「作業員の対応が丁寧だった」「見積もりより高額請求された」「すぐ来てくれて助かった」等、生の声が載っています。
ただし、中には悪質なネガティブキャンペーンやサクラの好評価がある可能性もありますので、その点は注意が必要です。

口コミを見る際は、「問い合わせ時の対応」「料金の妥当性」「作業の手際や仕上がり」「アフターフォロー」あたりに着目すると良いでしょう。
評価が★1つばかりの業者は避ける、★4以上が多ければ信頼できそう、などの判断材料になります。
ただし極端に評判が悪い・良い少数の声に振り回されず、全体の平均評価を参考にするようにしましょう。
相見積もり(悪徳業者を避ける)
最後に、相見積もりを取ることも賢い業者選びのポイントです。
相見積もりとは、複数の業者に同じ内容で見積もりを依頼し、価格や対応を比較検討することです。
1社だけだとその提示額が高いのか安いのか判断がつきませんが、2〜3社から話を聞けば大体の相場感が見えてきます。
万が一ボッタクリ価格を提示する悪徳業者に当たっても、他社と比較すれば不審に気づけます。

「水道局指定だからといって絶対安心ではなく、法外な料金を請求する悪徳業者も存在する」と指摘する声もあります。
ですから、最初から1社に絞らず複数に問い合わせて比較する習慣をつけましょう。
相見積もりの際には、各社に「◯◯の症状で修理を検討しているが、概算いくら位か」「出張見積もりは無料か」などを聞いてみます。
その対応の丁寧さや回答内容も、業者選びの判断材料になります。あまりに連絡が遅かったり、質問に曖昧な返答しかしない業者は避けたほうが無難です。
また見積もり金額だけでなく、内訳の説明がしっかりあるか、保証やアフターサービスについて言及があるか、といった点もチェックしましょう。
相見積もりを面倒がらずに行うことで、結果的に安心して任せられる業者に巡り会える可能性が高まります。
ちなみに悪質な業者に関してはこちらの記事で詳しくご紹介していますので参考にしてください。

トイレの排水管トラブルを防ぐ方法
トイレの排水管トラブルは、日頃のちょっとした心がけで未然に防げる場合も多いです。
ここでは普段から実践できる予防策を2つご紹介します。
- トイレットペーパー以外を流さない
- 定期的に掃除をする
いずれも難しいことではないので、ぜひ今日から意識してみてください。
トイレットペーパー以外は流さない
もっとも大切な予防策はシンプルですが「トイレにはトイレットペーパー以外流さない」という心得です。
トイレの排水管は汚物とトイレットペーパー(すぐ水に溶ける紙)を流すことを前提に設計されています。
それ以外の物を流すと、たとえ「流せる」と表示されていても詰まりの原因になり得ます。
具体的に流さない方が良いものの例を挙げます。
- お掃除シート・おしり拭き:「流せる」と書かれていても完全には溶けず、塊になって詰まります。
- ティッシュペーパー:紙製ですが水に溶けにくく、塊になりやすいためNGです。
- 生理用品・オムツ:吸水性が高く膨張して詰まりを引き起こします。
- 猫砂:こちらも「流せる」と謳う製品がありますが、水を含んで固まり管壁に張り付きます。
- 嘔吐物・食べ物の残飯:想定外の固形物や脂肪分を含み、排水管内で腐敗・固化して詰まりにつながります。
- タバコの吸い殻・紙くず:少量でも沈殿物となり、徐々に蓄積していきます。
上記のようなものは必ず別の方法で処理し、トイレには流さないようにしましょう。
特に家に小さなお子さんがいる場合は、誤っておもちゃなどをトイレに投入しないよう注意が必要です。
トイレのフタを普段から閉めておく、チャイルドロックを付けるなどの対策も有効でしょう。
また、トイレットペーパーであっても大量に一度に流すと詰まりの原因になります。
節水型トイレは一度に流れる水量が少ないため、古い型よりも紙詰まりが起きやすい傾向があります。
大量のペーパーを使ったときは何回かに分けて流す、また日頃から水に溶けやすい上質なトイレットペーパーを選ぶ、といった工夫も効果的です。
「流せるもの」「流せないもの」を意識することが、トラブル予防の第一歩です。
定期的に掃除をする
もう一つ重要なのは、トイレおよび排水管の定期的なお手入れ(掃除)です。
日常的に掃除をして清潔に保つことは悪臭防止になるだけでなく、配管内に汚れが蓄積するのを防ぎ詰まり予防にもつながります。
効果的な予防策として、以下のようなメンテナンス習慣を取り入れてみましょう。
- 週に1回は便器内部をブラシ洗浄:尿石や汚れをためないよう、洗剤を使ってしっかり擦りましょう。
- 月に1回は排水口まわりを点検:床との隙間や配管の露出部分に異常(水漏れ跡やヒビ)がないか確認します。
- 3ヶ月に1回は重曹+酢で配管洗浄:コップ半分ほどの重曹を便器排水口に入れ、続けて酢を注ぎます。発泡反応で配管内の汚れを落とす効果があります。
- 半年に1回は市販のパイプクリーナーを使用:洗浄剤を定期的に流しておくと、尿石や紙カスの蓄積を防げます。
上記はあくまで一例ですが、要は長期間放置せず定期的にケアすることが大切です。
掃除をするときに配管の異常も早期発見できますし、常に水がスムーズに流れる状態を保てます。
特に節水型トイレでは流す水量が少ない分、配管に汚れが残りやすいので、意識的に洗浄することを心がけましょう。
また、普段から水の流れが悪いと感じたら早めにパイプクリーナーを試すなど、小さな兆候を見逃さないことも予防につながります。
「汚れや異物を溜めない」ことがトイレ排水管を健康に保つコツと言えるでしょう。
ちなみにトイレの掃除のやり方に関してはこちらの記事でご紹介していますので参考にしてください。

まとめ
トイレの排水管は、汚水を速やかに下水道へ送り出し、封水によって悪臭や害虫を防ぐという重要な役割を担っています。
排水管には詰まり・水漏れ・悪臭/異音・逆流といったトラブルが起こり得ます。
もちろん、トイレトラブルは未然に防ぐに越したことはありません。普段からトイレットペーパー以外流さないルールを徹底し、定期的な清掃と点検で排水管を良好に保ちましょう。
ちょっとした心がけで、面倒な詰まりや嫌な臭いと無縁の快適なトイレ環境を維持できます。
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※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。あらかじめご了承ください。
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