真空式パイプクリーナーとは
真空式パイプクリーナーは、強い吸引力で排水管のつまりを取り除くための掃除道具です。

一端にゴム製のカップが付いた筒状の本体にハンドルがあり、このハンドルを前後に動かすことで空気圧を変化させ、詰まりを引き出したり押し流したりします。
見た目は、一般的なラバーカップ(スッポン)の柄の部分がポンプ状のシリンダーになったような構造で、従来のラバーカップよりも強力につまりを吸引できるのが特徴です。
電気や電池を使わず手動で扱えるため、キッチン・洗面所・浴室・トイレなど様々な場所で活躍し、排水トラブルを素早く解決できます。
なお、市販されている真空式パイプクリーナーにはさまざまな種類があります。例えば、以下のような人気製品が挙げられます。
- SANEI 「真空式パイプクリーナー」(PR870 など):6cm径用と15cm径用の2種類の吸引カップが付属しており、排水口のサイズに応じて付け替えて使い分け可能です。トイレから洗面台まで幅広く対応できる汎用性の高さも魅力です。
- GAONA 「これカモ 真空式パイプクリーナー」:大小2種類のカップとノズルアタッチメントが付いたフルセット製品です。トイレ、浴室排水口、流し台(シンク)、エアコンのドレンホースまで1台でカバーでき、強力な吸引力と押し下げ圧で頑固な詰まりも解消します。
- カクダイ 「つまり取り真空ポンプ」:一般的なラバーカップ(スッポン)も先端アタッチメントとして取り付け可能なタイプの真空式パイプクリーナーです。洋式・和式トイレの両方に対応しており、キッチンやお風呂場の排水口など様々な場所の詰まりにも使用できます。
これらはホームセンターやAmazonなどの通販サイトで購入することができます。
真空式パイプクリーナーのメリット
真空式パイプクリーナーには以下のようなメリットがあります。
- 薬剤がいらない
- 繰り返し使える
- ランニングコストが低い
- 頑固なトイレつまりにも対応可能
薬剤がいらない
真空式パイプクリーナーは空気の力で詰まりを解消するため、市販のパイプ洗浄剤や強力な薬品を使う必要がありません。
化学薬品を使用しないので環境にやさしく、塩素系薬剤特有の刺激臭が広がる心配もないのは嬉しいポイントです。
また、強い薬剤によって配管を傷めてしまうリスクも避けられます。
繰り返し使える
一度購入すれば何度でも繰り返し使えるのも、真空式パイプクリーナーの利点です。
耐久性のある素材で作られており、使用のたびに消耗品を交換する必要もほとんどありません。
トイレ以外にもキッチンや洗面台など複数の場所で活用できるため、頻繁につまりが発生するご家庭でも1台備えておけば安心です。
ランニングコストが低い
薬剤を繰り返し購入したり、詰まるたびに業者を呼んだりすると費用がかさみますが、真空式パイプクリーナーならそうしたランニングコストを大幅に削減できます。
初期費用は数千円程度かかりますが、その後は使うたびに追加費用が発生しないため、長い目で見れば経済的です。
実際、真空式パイプクリーナーの価格相場は1,000~3,000円程度で、市販のパイプクリーナー液を何度も購入するよりお得になる場合があります。
頑固なトイレつまりにも対応可能
ラバーカップでは歯が立たなかった頑固なつまりでも、真空式パイプクリーナーなら解消できるケースがあります。
強力な吸引力でつまりの原因をしっかり引き寄せたり、奥に押し流したりできるため、迅速につまりを解消できる期待が持てます。
特にトイレットペーパーや流せるシート類など水に溶けるものが原因の軽度なつまりであれば、高い即効性を発揮するでしょう。
真空式パイプクリーナーのデメリット
一方で真空式パイプクリーナーには以下のようなデメリットがあります。
- 初期コストがかかる
- 本体が大きい
- 使い方にコツが必要
- トイレつまりの原因によっては効果がないこともある
初期コストがかかる
真空式パイプクリーナーは便利な反面、従来のラバーカップに比べて価格が高い傾向があります。
安価なラバーカップなら数百円程度で手に入るのに対し、真空式パイプクリーナーは平均して数千円の初期投資が必要です。
そのため、「手元のラバーカップで十分」と考える場合には割高に感じるかもしれません。
本体が大きい
真空式パイプクリーナーはシリンダーやハンドル部分を含めると、ラバーカップより全体的にサイズが大きくかさばります。
製品にもよりますが、長さが40cm以上になるものもあり、家庭で保管する際に場所を取る点はデメリットと言えるでしょう。
見た目も無骨な印象があるため、トイレや洗面所に常時置いておくには少し邪魔に感じるかもしれません。
使い方にコツが必要
真空式パイプクリーナーは基本的に誰でも使える道具ですが、効果的に詰まりを解消するにはいくつかコツがあります。
例えば、排水口にしっかり密着させて真空状態を作らないと十分な吸引力が発揮できないため、最初は扱いに慣れが必要かもしれません。
また、力を入れすぎて何度も強く押し引きすると配管を傷つけてしまう恐れもあるため、適度な力加減で操作することが大切です。
トイレつまりの原因によっては効果がないこともある
真空式パイプクリーナーは万能ではなく、詰まりの原因次第では効果を発揮できません。
例えばスマートフォンや子供のおもちゃなどの固形物が排水管に詰まっている場合や、おむつ・生理用品のように水を吸って膨張する物が原因の場合、いくら吸引しても取り除くことは難しいでしょう。
油脂分が冷えて固まった汚れや、大量の紙を一度に流してしまったケースでも、真空式パイプクリーナーでは解消しきれないことがあります。
こうした場合は無理に使い続けず、早めに専門業者へ依頼することを検討してください。
ラバーカップと真空式パイプクリーナーの違い
従来から家庭で使われてきたラバーカップ(スッポン)と真空式パイプクリーナーには、以下のような違いがあります。
- 吸引力:ラバーカップが人力で押し引きするシンプルな構造なのに対し、真空式パイプクリーナーはシリンダー式のポンプ機構により強力な吸引力を発生させます。その分、真空式パイプクリーナーの方が短時間でつまりを解消できる可能性が高いです。
- 使いやすさ:どちらも基本的な使い方は排水口に押し当てて押し引きする点で共通しています。しかし真空式パイプクリーナーはハンドル付きで操作しやすく、テコの原理で大きな力を入れず効率よく圧力をかけられる利点があります。
- 価格:一般的にラバーカップの方が安価で、真空式パイプクリーナーはその数倍の価格になります。初期費用はかかるものの、その分真空式パイプクリーナーは繰り返し使えて高い効果を発揮します。
- 対応範囲:ラバーカップは主に洋式トイレなど限られた用途で使われます。一方、真空式パイプクリーナーは付属カップを付け替えることで、和式トイレ・洋式トイレ(※専用カップ使用)やキッチンのシンク、浴室の排水口、エアコンのドレンホースなど様々な詰まりに対応可能です。
真空式パイプクリーナーの方がラバーカップよりも強力である分、初期費用はかかってしまいます。
ただし、トイレに限らずさまざまな水まわりのつまりを解決してくれるため、もしもの時のために真空式パイプクリーナーを持っておくのも良いでしょう。
ちなみにラバーカップに関してはこちらの記事で詳しくご紹介していますので参考にしてください。

真空式パイプクリーナーでトイレつまりを除去する方法
真空式パイプクリーナーを使ってトイレつまりを除去する方法についてご紹介します。
必要な道具や準備などはありますが、難しいものではありませんので、つまりを解消する際はぜひ参考にしてください。
必要な道具・準備
ここでは、実際にトイレがつまってしまった場合を想定し、真空式パイプクリーナーで詰まりを直す手順を説明します。
作業を始める前に、まず以下の道具を準備しましょう。
- 真空式パイプクリーナー本体(トイレの規格に合ったサイズのカップを装着したもの)
- ゴム手袋(汚水から手を保護するため)
- 新聞紙やビニールシート(床や壁に敷いて汚れを防止)+養生テープ
- バケツと紙コップ(便器内の水を汲み出す用)
- 雑巾や古タオル(水はねの拭き取り用)
準備ができたら、作業前にトイレの止水栓を閉めて新たな給水を止めておきます。
止水栓はトイレの壁や床などについており、ドライバーを使うことで閉めることができます。

床や壁には新聞紙やビニールシートを敷き、養生テープで固定してしっかり養生しましょう。
次にゴム手袋を着用し、必要に応じて便器内の水位を紙コップで汲み取って減らしておきます(※水位調整については手順①で詳しく説明します)。
ちなみに止水栓に関してはこちらの記事でご紹介していますので参考にしてください。

使用手順
真空式パイプクリーナーを使用してトイレつまりを除去する具体的な手順は以下になります。
- カップが水に浸るまで水位を調整する
- カップを密着させて押し込む
- ハンドルを引き上げてポンプ動作を行う
- バケツで静かに水を流して確認する
カップが水に浸るまで水位を調整する
トイレが詰まって水位が上がっている場合は、紙コップなどで便器の水を汲み出し、真空式パイプクリーナーのカップ部分がしっかり水に浸る程度まで水位を下げます。
水が多すぎると作業中に汚水が飛び散る恐れがあるため注意してください。
準備ができたら、真空式パイプクリーナーのハンドルを最後まで押し込んだ状態にして、カップ部分を便器の排水口に当てます。
カップを密着させて押し込む
カップを排水口に隙間なく密着させたら、そのままぐっと押し込んでカップをへこませます。
カップ内部の空気を押し出し、排水口に密着した真空状態を作ることで、強力な吸引の準備が完了します。
このときカップが傾いて隙間から空気が入らないよう、水平に押さえるのがポイントです。
ハンドルを引き上げてポンプ動作を行う
片手でシリンダー部分をしっかり押さえ、もう一方の手でハンドルを一気にぐっと引き上げます。
カップ内が真空状態になり、詰まりの原因を強力に引き寄せるイメージです。引き上げた後はカップが外れないよう押さえながら、ハンドルをゆっくり押し戻し、再度一気に引き上げましょう。
この「押す・引く」動作を何度か繰り返し、詰まりが吸い出されるか押し流されるまで根気よく続けます。
途中で「ゴボゴボ…」と排水管内から音がしたり、水位がスーッと下がったりすれば、つまりが動いたサインです。
バケツで静かに水を流して確認する
詰まりが解消した可能性が高い場合は、バケツに汲んだ水を便器に少しずつ注ぎ入れ、流れが改善しているか確認します。
勢いよく水を流すと、万が一まだ詰まりが直っていなかった場合に水が溢れてしまう恐れがあるため注意してください。
水がスムーズに流れるようであれば、最後に止水栓を開け(ハンドル式の場合は反時計回り)、トイレのレバーハンドル(小)で水を流して作業完了です。
それでも改善しない場合は、それ以上無理に繰り返さず、スマートフォンなど固形物が詰まっていないか確認しましょう。
固形物が原因の場合は真空式パイプクリーナーでは対応できないため、別の方法を試すか専門業者に依頼してください。
まとめ
真空式パイプクリーナーが1つあれば、水まわりのつまりトラブルにも落ち着いて対処できます。
薬剤不要で繰り返し使える経済的なアイテムなので、一家に一台備えておくと安心でしょう。
ラバーカップでは解消できないようなしつこいつまりにも効果を発揮する頼もしい道具ですが、本記事でご紹介した使い方のコツや注意点を踏まえて正しく使用することが大切です。
もちろん、スマートフォンなど明らかな固形物が詰まっている場合は無理をせず専門業者に相談してください。
しかし多くの場合、真空式パイプクリーナーを活用すれば早期につまりを解消できる可能性が高まります。
ぜひ本記事の内容を参考に、いざというときも慌てず冷静に対応しましょう。
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※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。あらかじめご了承ください。
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