トイレ後の手洗いの重要性
トイレ後の手洗いには大きな効果があり、言い換えると、手洗いを怠るとその分のリスクがあります。
具体的には手洗いによって感染症を予防することができ、手洗いを怠ることで、感染症や食中毒のリスクが高まります。
感染症予防
トイレの後に手を洗うことは、感染症予防の観点から最も重要な習慣の一つです。
トイレでは便器のレバーや温水洗浄便座のスイッチなど、不特定多数の人が触れる箇所に触れます。
その表面には腸管出血性大腸菌やノロウイルスなどの病原体が付着していることがあります。
手洗いをしないままでは、そうした病原体が手指に残ったままとなり、その手で食事をしたり物に触れたりすることで口から体内に侵入し、食中毒や感染症を引き起こすリスクが高まります。
実際、厚生労働省の調査によれば、石けんを使った正しい手洗いによって手指のウイルス数を劇的に減らせるデータも報告されています。
反対に手洗いを怠ると、これら病原体が家庭内で拡散し、家族全員の健康に影響を及ぼしかねません。
特に小さなお子さんや高齢の方がいる家庭では、一人が持ち込んだウイルスが家族内感染につながる恐れもあるため、トイレ後の手洗いは欠かせない感染対策と言えるでしょう。
トイレ使用後の手洗いを怠った場合のリスク
トイレ後に手を洗わないままでいた場合、まず考えられるのは、家庭内や職場での接触感染です。
トイレから出て手を洗わずにドアノブを回したりスイッチ類に触れたりすると、手についた菌やウイルスがそれらの表面に付着し、次に触れた人へと移ってしまう可能性があります。
例えばノロウイルスなどは、感染者の排泄物中に大量のウイルスが含まれており、手指を介して周囲に広がりやすいことが知られています。
このように手洗いを怠ることは、自分だけでなく周囲の人にも感染症リスクを及ぼすことになるのです。
また、手洗い不足は食中毒のリスクも高めます。調理や食事の前に十分な手洗いが行われていないと、手についた大腸菌などが食品に移り、家庭内で食中毒事件が発生するケースもあります。
特にトイレの後は見た目に手が汚れていなくても、目に見えない菌が多数付着しています。「自分は平気だから」と油断せず、必ずせっけんでしっかり洗浄して清潔な手にリセットすることが大切です。
手洗いの徹底は、あなた自身と大切な家族の健康を守る基本習慣なのです。
トイレ後の正しい手洗い方法
トイレ後の正しい手洗い方法を学び、重要な部位をしっかり洗うことで感染症予防の効果が発揮されるでしょう。
ここでは正しい手洗い手順と重要な部位について紹介します。
手洗い手順
トイレの後に手を洗う際は、以下の正しい手順で行いましょう。
- 流水で手を十分濡らす:まず手全体を水で濡らします。こうすることで石けんが泡立ちやすくなり、汚れを浮かせやすくなります。
- 石けんをつける:石けん(ハンドソープ)を適量手に取り、泡立てます。指先や手の甲にも行き渡るように両手をこすり合わせて泡を広げましょう。
- 汚れをこすり落とす:手のひら同士をよくこすり合わせ、続いて手の甲を反対の手で伸ばすようにこすります。さらに指と指の間、指先・爪の間、親指、手首と、後述する重要な部位もしっかり洗います。
- 流水でしっかりすすぐ:十分にこすり洗いしたら、流水で石けんの泡を丁寧に洗い流します。石けん成分が残らないよう、指の間や手首まで念入りにすすぎましょう。
- 清潔なタオルやペーパーで乾燥:最後に清潔なタオル、あるいは使い捨てペーパータオルで水分を拭き取ります。濡れた手のままだと菌が手に再付着しやすいため、完全に乾かすことが大切です。
ポイントは「石けんを使って30秒以上かけて丁寧に洗う」ことです。
手洗いは単に水で流すだけでは不十分なので、必ずせっけんを使用してください。
手洗いには最低でも20~30秒程度の時間をかけるようにし、指先など細かい部分まで洗い残しがないよう意識しましょう。
特に家庭ではハンドソープを使うことで汚れと一緒に菌やウイルスを洗い流せます。アルコール消毒剤も有効ですが、トイレ後はまず石けんと水による手洗いが推奨されます。
ただし、注意点としてトイレと一体型になっている手洗い付きタンクの場合は、石けんを使用しないでください。
石けんの成分や石けんカスがタンク内に入ってしまうと、トイレタンク内部部品の劣化を早めてしまうためです。
重要な部位
手を洗う際に特に念入りに洗うべき重要な部位があります。
以下に洗浄時に注意すべき部位をまとめますので、日頃の手洗いで意識してみてください。
- 手のひら:最も汚れや菌が付着しやすい部分です。指を開きながら両手のひらをしっかりこすり合わせ、細部まで泡を行き渡らせます。
- 手の甲:手の甲側も見落とされがちです。反対の手で指を揃えて手の甲をなでるようにし、シワの間も洗います。
- 指先・爪の間:指先や爪の隙間には汚れが溜まりやすいポイントです。片方の手のひらに指先を当てて円を描くようにこすり、爪の間の汚れもかき出すように洗いましょう。
- 指の間:指と指の間は密着していて洗い残しがちです。両手を組むようにして指の間に石けんを行き渡らせ、前後に動かして洗浄します。
- 親指まわり:親指は他の指と離れているため洗い残しやすい部分です。片手で反対側の親指を握るようにし、ねじり洗いをして付け根まで綺麗にします。
- 手首:手首も忘れずに洗いましょう。袖をまくり、手首まで石けんの泡を伸ばしてくるくると洗います。ここまで洗うことで手全体の衛生が保たれます。
以上の部位は特に念入りに洗うことで、より衛生的な手洗いが可能になります。
普段の手洗いで「指先や親指をあまり洗っていなかったかも」と思い当たる方は、ぜひ今日から意識してみてください。
正しい手洗いにより、菌やウイルスをほぼ取り除けるとされており、日常的な感染症予防効果が高まります。
ご家族皆さんで声を掛け合い、トイレ後には指先から手首までしっかり洗う習慣を身につけましょう。
トイレに手洗い場を設置するメリット
トイレに手洗い場を設置するメリットには以下のような物があります。
- 衛生面の向上
- 利便性と快適性の向上
- デザイン性・プライバシーの向上
衛生面の向上
トイレ内に専用の手洗い場を設置する最大のメリットは、衛生面の向上です。
トイレを使ってすぐその場で手を洗えるため、汚れた手でドアノブや他の物に触れる前に清潔にでき、菌やウイルスの拡散を防ぐことができます。
特に感染症が心配な季節や、ノロウイルス・インフルエンザなどが流行している時期には、トイレから出る前に手洗いできる安心感は大きいでしょう。
さらに、トイレ内に手洗い場があることで家族全員の衛生意識も高まります。子どもにも「トイレの後はここで手を洗うんだよ」と教えやすく、トイレトレーニング中のお子様も自然と習慣を身につけられます。
高齢の方にとっても、わざわざ別室まで移動せずにすぐ手洗いできるのは安全・衛生面で安心です。
このように、手洗い場の設置は家庭内の感染予防力を高め、結果的に家族の健康維持に貢献します。衛生面以外にも、トイレ内の手洗い場は節水効果にも寄与します。
多くの手洗い器一体型トイレでは、手洗いに使った水がそのままトイレの洗浄水として再利用される仕組みになっています。
新たに水を使わずに済むため、水資源の有効活用につながり、年間を通じてみると相当量の水を節約できます。環境にも優しく、衛生的という点で、トイレ手洗い場の設置は一石二鳥のメリットをもたらします。
利便性と快適性の向上
トイレ内に手洗い場があることは、日々の利便性や快適性も向上させます。
用を足した直後にその場でサッと手を洗えるのは忙しい朝や就寝前などにとても便利です。
例えば夜間にトイレを使用した際、廊下の先の洗面所まで行かなくても済めば、家族を起こす心配もなく静かに手洗いができます。
また来客時にも、ゲストがトイレ内で手洗いを完結できれば、家の中を探し回る必要がなくスムーズです。
その気遣いは「この家は細かなところまで配慮が行き届いている」という良い印象にもつながるでしょう。
手洗い場を設けることで生活動線もスムーズになります。トイレと洗面所が離れている間取りの家では、トイレのたびに移動する手間が解消され、ちょっとしたストレスが減ります。
特に2階や寝室近くにトイレがある場合、手洗いのためだけに1階の洗面所まで降りる必要がなくなるのは大きな利点です。
このように、トイレ内手洗い場の設置は日常生活の利便性を高め、暮らし全体の快適さにも直結します。
デザイン性・プライバシーの向上
トイレの手洗い場は実用性だけでなく、デザイン面で空間を彩る要素にもなります。
おしゃれな手洗いカウンターや洗面ボウルを選べば、トイレが単なる生活空間からインテリア性の高い空間へとランクアップします。
例えば壁掛けタイプの小ぶりな手洗い器を設置すれば、圧迫感を与えずにスタイリッシュな印象を演出できます。
また例えば、TOTOの「レストパル」の様なキャビネット一体型の手洗い器であれば収納家具としても機能するため、トイレットペーパーや清掃用具をすっきり隠せて見た目にも整然とした空間になります。

収納とデザイン性を兼ね備えた手洗いキャビネットを導入すれば、タオルや洗剤類を隠してトイレをより洗練された印象に整えることができます。
プライバシーの観点でも、トイレ内に手洗い場があることは大きなメリットです。上記のようにトイレ内で完結して手洗いできるため、他の部屋に移動する必要がなく人目を気にせずに済みます。
特に来客時、ゲストはトイレから出た直後に洗面所の場所を尋ねたり移動したりする手間が省け、ホスト側も「ちゃんと手を洗ったかな?」と余計な心配をする必要がありません。
トイレというプライベートな空間の中で用を足すところから手洗いまで完結できることは、利用者に安心感と満足感を与えます。
さらに近年では、照明や鏡と組み合わせてホテルライクなトイレ空間を作る事例も増えています。手洗い場のデザインや素材にこだわることで、トイレ全体の雰囲気を自分好みにコーディネートできます。
例えば陶器製のボウルにアンティーク調の水栓金具を合わせればクラシックな趣に、ガラス製ボウルやスタイリッシュなカウンターを選べばモダンな空間に、と演出の幅も広がります。
機能性とデザイン性を両立させたトイレ手洗い場は、衛生的でありながらインテリアとしても満足度の高い空間を実現してくれるでしょう。
トイレの手洗いの種類
トイレの手洗い器は大きく分けて以下の2つのような種類があります。
- 独立型手洗い器
- 一体型手洗い器
独立型手洗い器
独立型手洗い器とは、トイレの便器本体とは別に設置する手洗い器のことです。
公共施設のトイレなどをイメージするとわかりやすいかもしれません。要するにトイレと手洗い場が一体化しておらず、独立した洗面台のような役割を果たすものです。
独立型は後付け設置も可能で、デザインやサイズの選択肢が豊富な点が特徴です。
独立型手洗い器には、大きく分けてキャビネット型とカウンター型の2種類があります。
それぞれ特徴が異なり、トイレの広さや収納ニーズに応じて適したタイプを選ぶことができます。以下で順に説明していきます。
キャビネット型
キャビネット型は、手洗い器と収納キャビネットが一体となったタイプの手洗い器です。
下部に収納スペースが付属しており、トイレットペーパーのストックや掃除道具などをしまっておくことができます。
見た目は小型の洗面台に近く、扉や引き出しが付いたものも多いため、雑多になりがちなトイレ用品を隠してトイレ空間をすっきり保てる点が魅力です。
サイズや形状のバリエーションも豊富で、トイレのレイアウトに合わせてコーナー設置型(三角形に近い形状で隅に収まるもの)や壁付け型(背面を壁に固定するもの)などを選ぶことができます。
例えばLIXIL(リクシル)の「コフレル」のように、狭いトイレにもすっきり納まり収納力もしっかり確保できるコンパクトな手洗いキャビネットもあります。
このようにキャビネット型は収納と利便性を両立できる反面、キャビネット分の設置スペースが必要となるため、トイレの広さによっては圧迫感が出る場合があります。
キャビネット型を選ぶ際は、扉の開閉スペースや使用時の足元の余裕も考慮しましょう。扉付きの場合、開けたときにトイレの壁や便器に当たらないか、立った状態で邪魔にならないかを確認することが大切です。
また素材についても陶器製のボウルだけでなく、木目調キャビネットやハイグレードな人造大理石カウンターを組み合わせたデザイン性の高い商品もあり、トイレの雰囲気に合わせて選べます。
カウンター型
カウンター型は、カウンター(棚板)の上に手洗い用のボウル(洗面器)を設置するタイプの手洗い器です。
シンプルな棚とボウルだけの構成であるため、キャビネット型に比べてスリムで圧迫感が少ないのが特徴です。
下部に収納スペースはありませんが、その分足元が広く使え、狭小空間でも取り付けやすいメリットがあります。
代表的な例としては、壁面に細長いカウンターを取り付け、その上に丸形や四角形の小さな洗面ボウルと水栓を据え置くスタイルです。
石けんや小物を置くちょっとしたスペースが確保できるため、手洗い後の石けんの置き場にも困りません。
一方で収納機能がないため、掃除道具などは別途収納場所を確保する必要があります。カウンター型には「埋め込み型」といって、ボウルの一部を壁に埋め込んで出っ張りを少なくしたタイプもあります。
これはさらに省スペースを追求した形で、奥行きを抑えたい場合に有効です。デザイン面では、カウンターやボウルの素材・形状を自由に組み合わせられる点も魅力です。
例えばガラス製ボウルを載せた透明感のあるデザインや、和風の信楽焼ボウルを取り入れて趣きを出すなど、インテリアに合わせて個性を演出できます。
カウンター型はカスタマイズ性が高く、おしゃれなトイレ空間を演出したい方にも人気のタイプです。
なお、カウンター型やキャビネット型に共通しますが、独立型手洗い器を設置する際は給排水の配管工事が必要になります。
床や壁から給水管・排水管を引き込むため、工事の際には止水栓(給水を止めるための小さなバルブ)を閉めて作業を行います。
DIYでの設置も不可能ではありませんが、配管工事には専門知識が要るため、多くの場合は設備業者に依頼するのが安全です。
一体型手洗い器
一体型手洗い器とは、トイレ本体に手洗い器が一体化しているタイプのことです。
一般的にはタンク一体型とも呼ばれ、便器の後方にある水タンクの上部に小さな手洗い用の吐水口とボウル(受け皿)が付属しています。
トイレを流すと同時に上部から洗浄水が出てくる構造で、その水で手を洗い、そのままタンクに溜めて次回の洗浄水に再利用します。
一体型の最大のメリットは、独立の手洗い器を設けるスペースが不要な点です。
トイレ自体に手洗い機能が付いているため、トイレ空間の広さを圧迫せずに済みます。
特にトイレのスペースが限られている住宅では、一体型手洗い器付きのトイレを選ぶことで別途手洗い場を設ける必要がなく、有効活用できます。
また「用を足したらすぐに手が洗える」という動線の良さもメリットの一つです。
小さなお子様でもトイレの流し方と一緒に手洗いまで習慣づけやすいでしょう。ただし一体型には注意すべき点もあります。
まず、洗っている最中に水がはねやすい傾向があります。吐水口が高い位置にあるため、水流が強いとどうしても周囲に飛び散りやすく、壁や床が濡れやすい欠点がありました。
最近ではボウル(受け皿)が深めのタイプが各メーカーから登場し、水はねしにくいよう改良されていますが、それでも独立型に比べると多少の飛沫は避けられません。
手洗い後は周囲に水滴が垂れていないか確認し、必要に応じて拭き取る習慣をつけると良いでしょう。
また、一体型手洗い器では石けんを使った本格的な手洗いができない点もデメリットです。
タンク上の手洗い器は基本的に水で軽くすすぐ程度の想定で作られており、液体石けんや泡石けんを使うとその成分がタンク内に溜まり、内部の金具を傷めて不具合や水漏れの原因になりかねません。
実際、TOTOの公式Q&Aでも「手洗い付きタンクでは液体・固形石けんともに使用不可」と明言されています。
【理由】
石けんの成分や石けんかすがタンク内に入ることによって、
内部金具を傷め、止水不良などの不具合や水漏れして家財などをぬらす財産損害発生のおそれがあります。
したがって一体型の場合、どうしても石けんで洗いたい時は別途洗面所で洗い直す必要があり、独立型に比べ手洗いの徹底度で劣る面があります。
さらに、一体型は手を洗う際に身体をひねって後方に手を伸ばす必要があるため、身体の不自由な方や小柄なお子様、高齢者にはやや使いにくいとの指摘もあります。
最近ではそうした点に配慮し、手洗い器の高さを通常より低めに設計した幼児向けの商品や、便器横に手洗いスペースを配置した「収納一体型トイレ」(後述)なども登場していますが、一般的なタンク一体型ではこのような制約があることを知っておきましょう。
総じて、一体型手洗い器は狭い空間を有効活用できる反面、使い勝手や洗浄力の面で独立型に及ばない点があります。
ご家庭のスペースや利用者の状況を考慮し、適切なタイプを選ぶことが重要です。
最近ではタンクのないタンクレストイレ(直結式)も普及していますが、そうした場合は当然ながら手洗い器が付かないため、別途独立型の設置を検討する必要があります。
主要トイレメーカーの製品情報
手洗い器はさまざまなトイレメーカーから発売されています。ここではトイレメーカーの中でも大手である以下のメーカーの製品情報をご紹介します。
- LIXIL
- TOTO
LIXIL
LIXIL(リクシル)は国内最大手の住宅設備メーカーの一つで、INAX(イナックス)ブランドを中心にトイレや手洗い器の多彩な製品ラインアップを展開しています。
トイレ用手洗い器に関しても種類が豊富で、ユーザーのニーズに合わせた提案力に定評があります。
- コフレル(手洗キャビネット)– 狭いトイレにもすっきり納まるコンパクトな手洗いキャビネット。限られたスペースでも収納をしっかり確保でき、トイレ空間を有効活用できます。シンプルなデザインで圧迫感が少なく、0.4~0.5坪程度の小空間にも設置しやすいのが特長です。
- キャパシア(手洗キャビネット)– ユニットを組み合わせて自分好みの空間を実現できるセミオーダー手洗器です。カウンター一体型やベッセル(据え置き)型の手洗器など3タイプから選べ、多彩なキャビネットや水栓金具との組み合わせで理想のトイレ手洗い空間を演出できます。高級感のある素材やカラーも選択可能で、デザイン性と機能性を両立したシリーズです。
- コーナー手洗キャビネット– トイレの隅に設置できる三角形状のキャビネット一体型手洗い器。0.5坪程度のスペースにも対応し、デッドスペースになりがちなコーナーを活用してゆったり手洗いができます。狭小空間向けに工夫された形状で、収納も備えているため省スペースと実用性を兼ね備えます。
- どこでも手洗(手洗カウンター)– 好みのパーツを自由に組み合わせて設置できる手洗いカウンターシステム。給排水設備があれば後付けもしやすく、左利き・右利きに合わせて水栓位置を選べる柔軟な配置が可能です。DIYによるリフォーム需要にも応える製品で、手軽にオシャレな手洗い空間をつくれるのが特徴です。
上記のほかにも、LIXILはタンクレストイレや収納一体型トイレ(キャビネット付きトイレ)など、トイレ本体に手洗い場を組み込んだ製品も取り揃えています。
例えば「リフォレ」というシリーズでは、便器後方に収納キャビネットと手洗い器が一体化したシステムトイレを提供しており、トイレ全体をスッキリさせつつ手洗いも確保できると人気です。
LIXIL公式サイトの商品情報ページでも、「思い通りの空間を叶える豊富なトイレ手洗いをラインアップしました」とある通り、ユーザーの理想に合わせて選べる幅広い商品展開が魅力です。また、LIXILの手洗い器製品には衛生面の工夫も凝らされています。
陶器製のボウルには汚れが付きにくく落としやすいハイグレードな表面加工(※アクアセラミック等)が施されているモデルも多く、お手入れのしやすさにも配慮されています。
自動水栓に変更できるオプションが用意されている製品もあり、非接触で衛生的に使用することも可能です。
総じてLIXILは、デザイン・サイズ・機能の面でバリエーション豊かな手洗い器を展開しており、初心者からこだわり派までニーズに合った一台が見つけやすいメーカーと言えるでしょう。
TOTO
TOTO(トートー)は言わずと知れた日本のトップ衛生陶器メーカーで、「ウォシュレット」の開発などトイレ分野で数々の実績を持ちます。
手洗い器についても豊富なラインアップを揃えており、住宅用から公共用まで幅広いニーズに対応しています。
- コンパクト手洗器 シリーズ – 狭いトイレ空間向けに設計された小型の壁掛け手洗い器。奥行きがわずか20cm程度の薄型タイプもあり、飲食店やオフィスのトイレにも活躍する省スペース設計です。後部に水はねを防ぐバックガード(立ち上がり)付きで壁が汚れにくく、お手入れも簡単な構造になっています。
- レストパルF・レストパル(収納一体型トイレ) – 便器の後ろに大型の収納キャビネットと手洗い器を組み込んだTOTOのシステムトイレ。トイレットペーパーや掃除用品をたっぷり収納でき、見た目もすっきり。レストパルFは便器が床から浮いているフローティングデザインで、床掃除も楽に行えます。デザイン性・清掃性に優れ、手洗い器も通常のタンク手洗いより大きめで使いやすくなっています。
- 壁掛小形手洗器 シリーズ – 学校や公共施設でも使用される、シンプルで耐久性の高い壁付け型の手洗い器。丸形や角形のボウルを壁に直接固定するタイプで、脚がないため足元が広く取れます。住宅向けにはカウンター付きで小物が置ける製品もあり、シンプルながら利便性に配慮した設計です。
- 埋め込み手洗い器 – 壁の一部にボウルを埋め込むことで出っ張りを少なくした手洗い器。TOTOではキャビネット一体型の埋め込みタイプも展開しており、限られた空間でも手洗いスペースを確保できます。見た目もフラットで収まりが良く、近未来的なデザインとして人気があります。
この他にもTOTOは、従来型のタンク式便器に「手洗いあり」か「なし」かを選べるモデルを多数揃えています。
例えば戸建て向けのピュアレストEXなどでは、購入時に手洗い器付きタンクにするかどうか選択可能で、リフォーム時に自由に組み合わせることができます。
現在トイレを交換予定の方は、TOTOの製品カタログで手洗い付きのバリエーションがあるか確認してみるとよいでしょう。
機能面では、TOTO独自のセフィオンテクト技術(超平滑陶器仕上げ)により手洗いボウルの汚れが付きにくく落ちやすい仕様になっていたり、金具類も耐久性の高い素材を使用するなど、長年使っても清潔さと見栄えを保てる工夫がなされています。
また、水栓金具ではエコシングル水栓やタッチレス水栓など、省エネ・衛生に配慮したオプションも用意されており、必要に応じて選択できます。
TOTOの手洗い器は住宅設備店やショールームで実物を見ることができます。設置例を参考に、実際のサイズ感や使い勝手を確かめてみるのも良いでしょう。

国内トップメーカーならではの信頼性とアフターサービスの充実もTOTO製品の魅力です。長く使う設備だからこそ、品質重視で選びたいという方にTOTOの手洗い器はおすすめです。
ちなみに、先程LIXILで紹介した「リフォレ」やTOTOの「レストパル」に関してはこちらの記事で詳しくご紹介していますので参考にしてください。

トイレの手洗い器設置にかかる費用相場
トイレに手洗い器を新たに設置する場合、費用は「製品本体価格」と「工事費用」の大きく二つに分かれます。
まず製品本体については、シンプルな壁付け手洗い器であれば2~3万円程度から、高級なキャビネット一体型では10万円を超えるものまで、デザインや仕様によって幅があります。
本格的な収納付き手洗いキャビネットやシステムトイレの場合は20万円前後の製品もあります。
一方、工事費用は給排水管の分岐工事や本体の取付工事などが発生します。既存のトイレに後付けするケースでは配管工事が必要になるため、工事費は約5万~8万円が一つの目安です。
例えばマンションなどで給水・排水の位置が制約されている場合、壁の一部を開口して補強工事を行うこともあり、その場合はさらに費用が上乗せされます。
ケース別に見ると、既存の手洗い器を交換するだけであれば配管の大幅な変更が不要なため比較的安価で、通常タイプ(小型の壁掛けなど)なら5万~12万円程度、カウンター型で7万~12万円程度、キャビネット型で12万~17万円程度が目安とされています。
これに対し、後付け新設の場合は配管工事分が加わり、通常タイプで8万~15万円、カウンター型で10万~15万円、キャビネット型では15万~20万円程度を見込んでおくと良いでしょう。
なお、トイレ自体をまるごと最新型にリフォームする場合(タンクレストイレや収納一体型トイレへの交換など)は、トイレ本体+手洗い器+工事費込みで30万~60万円程度になるケースもあります。
これは便器や温水洗浄便座のグレードにも左右されますが、リフォーム全体の中で手洗い器設置の占める割合がわかるでしょう。
以上はあくまで相場目安ですが、実際の費用は住宅の構造や配管の状況、選ぶ製品のグレードによって上下します。
事前に業者に見積もりを依頼し、配管工事の有無や難易度を確認することが大切です。また費用を抑えたい場合、既存の給排水位置を活かせるプランを業者と相談したり、シンプルな製品を選ぶといった工夫も有効です。
逆に予算に余裕があればデザイン性の高い製品や自動水栓オプションを付けることで、満足度の高い空間に仕上げることもできます。
いずれにせよ、費用対効果を考えながら、ご家庭にとって最適な手洗い器設置プランを検討しましょう。
トイレに手洗い場を設置する際の注意点
トイレに手洗い場を設置する際は以下のような点に注意しましょう。
- 洗面所との距離
- トイレ内の設置スペース
- ドアとの位置関係
洗面所との距離
トイレ内に手洗い場を設けるかどうか判断する際には、既存の洗面所や洗面台との距離・配置関係を考慮することが重要です。
例えば1階と2階にトイレがあるご家庭で、2階トイレには手洗い場がなく、手を洗うために毎回1階まで降りているような場合は明らかに不便です。
このように手洗い場までの距離が遠い場合は、トイレ内に手洗い場を設置するメリットが大きいと言えます。
一方で、トイレを出てすぐ隣に洗面所がある間取りの場合には、あえてトイレ内に手洗い器を増設しなくても事足りるケースもあるでしょう。
限られたリフォーム予算の中で優先順位を付ける際には、「トイレから洗面台までの動線が許容範囲か」「家族が面倒がらずに手を洗っているか」を観察して判断するのがおすすめです。
もし「面倒で洗わないことがある」ようであれば、やはりトイレ内手洗いの設置を検討すべきですし、逆に習慣づいているなら無理に設置する必要はないかもしれません。
また、来客動線もポイントです。お客様が手を洗う際に住宅内をどれくらい移動させることになるかを考えてみてください。
玄関近くにトイレがあり、手洗いは廊下の反対側…といった配置だとゲストには少々不親切です。
そのような場合もトイレ内に小さな手洗い場があると、お客様に余計な動線を強いずに済み、ホスピタリティの面で効果があります。
自宅の間取りと生活動線を踏まえ、洗面所までの距離がネックになりそうな場合はトイレ内手洗い場の導入を前向きに検討しましょう。
トイレ内の設置スペース
トイレに手洗い器を設置するには、当然ながらある程度のスペースが必要です。
一般的な戸建て住宅のトイレは0.4~0.5坪(約1.3~1.65㎡)程度と言われますが、この広さであればコンパクトな手洗い器を設置することは十分可能です。
しかし、トイレ自体がそれより狭い場合や、既にトイレ内に収納棚などがあって余裕がない場合には、機種選定に工夫が必要になります。
スペース面の注意点として、奥行きと幅の確保があります。手洗い器を設置しても人が出入りする通路幅を確保できるか、便器に腰掛けたとき膝が当たらないか、立ち上がったときに余裕があるか、といった点を事前に確認しましょう。
狭小空間では、出っ張りの少ない薄型の壁掛け手洗い器やコーナー設置型を選ぶことで解決できることがあります。例えば奥行き15~20cm程度の超薄型手洗い器なら、設置後も足元スペースをそれほど圧迫しません。
また、手洗い器の高さにも配慮が必要です。立って手を洗うことを想定した高さにすると、子どもや小柄な方には高すぎる場合があります。
踏み台を置く余裕がないトイレも多いので、家族全員が無理なく使える高さ(一般的には床から75~80cm程度)に設定することが望ましいでしょう。
最近の製品はコンパクトでもボウルが深めで水はねしにくいものや、省スペースでも使いやすい設計のものが増えています。
各メーカーのカタログには設置に必要な最小スペースの記載がありますので、図面と照らし合わせつつ、自宅のトイレにフィットするサイズの製品を選ぶようにしてください。
ドアとの位置関係
手洗い器を設置する際、忘れがちなのがトイレドアとの干渉です。
特に内開き(ドアが内側に開く)扉のトイレでは、ドアの開閉軌跡に手洗い器がかからないか注意しなければなりません。
ドア正面の壁に手洗い器を付ける場合、扉を開けた拍子にぶつかったり、ドアが全開にできなくなったりする恐れがあります。
施工前にドアの開く角度や位置を測り、十分なクリアランスを確保できる配置にしましょう。
例えば、内開きドアの真裏の壁面は避け、便器横のスペースやコーナー部に設置するなどの工夫が考えられます。
やむを得ずドア正面に付ける場合は、極力奥行きの浅いタイプを選ぶか、ドアを外開きに変更・引き戸化するリフォームも検討しましょう。
開き戸から引き戸への変更は大掛かりに思えますが、手洗い器を付けてもゆとりある動線を確保できるメリットがあります。
また、ドアノブやタオル掛けとの位置関係も見ておきたいポイントです。手洗い後にタオルで拭く動作の際、タオル掛けが遠すぎたり高すぎたりすると使いにくくなります。
ドアにタオル掛けを設置している家庭も多いですが、その場合は手洗い場との距離が適切か確認しましょう。
もし遠いようであれば、手洗い器の近くに新たにタオルリングを取り付けると便利です。
このように、トイレ内のレイアウト全体を俯瞰し、ドアや既存設備との干渉がないか、使い勝手が損なわれないかを検討することが大切です。
可能であれば施工業者と相談しながら、実際の人の動きをシミュレーションして配置を決めると安心です。
些細なようですが、ドアがきちんと開閉できるかどうかは毎日の利便性に直結しますので、最後まで気を抜かずチェックしましょう。
まとめ
トイレ後の手洗いは、私たちの健康を守り生活の質を高めるうえで欠かせない大切な習慣です。その習慣を確実なものにするために、トイレ内に手洗い場を設置することは非常に有効な手段と言えます。
手洗い場を設置すれば、感染症予防の効果が高まるだけでなく、日々の利便性も向上し、トイレ空間自体の快適性・デザイン性もアップします。
手洗い場には独立型と一体型があり、それぞれメリット・デメリットがありました。スペースに余裕があれば独立型でしっかり石けんを使った手洗いを、スペース重視なら一体型でコンパクトに、とご家庭の事情に合わせて選ぶと良いでしょう。
主要メーカーであるLIXILやTOTOからは、多種多様な手洗い器やトイレ一体型製品が発売されており、きっとニーズに合ったものが見つかるはずです。
設置に際しては、費用相場や空間の制約、動線への影響など考慮すべき点もいくつかありますが、ポイントを押さえて計画すれば失敗は防げます。洗面所との距離やトイレの広さ、ドアの干渉といった注意点を確認しつつ、プロの意見も取り入れて最適なレイアウトを検討してください。
清潔で使い勝手の良いトイレは、家族の健康と快適な暮らしを支えてくれるものです。
この機会にぜひトイレ後の手洗い習慣を見直し、必要に応じて理想の手洗い場を取り入れてみましょう。毎日のトイレが今よりもっと安心で気持ちの良い時間になることを願っています。
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※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。あらかじめご了承ください。
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