トイレの換気扇の基本性能と掃除の必要性
トイレの換気扇は、室内の空気を屋外へ排出して臭いや湿気を逃がす重要な役割を担っています。
空気を循環させ、トイレ内を清潔で快適な環境に保つのが基本性能です。
しかし、換気扇は使用するにつれてホコリや汚れが溜まり、その性能が低下してしまいます。
では、掃除をせずに放置すると具体的にどのような問題が起きるのでしょうか。
- 臭いや湿気がこもる:ホコリで目詰まりした換気扇では十分に排気できず、トイレ特有の嫌な臭いや湿気が室内にこもりやすくなります。これにより不快なにおいが残り、カビの発生リスクも高まります。
- 換気効率の低下:ファンにホコリが付着すると回転効率が落ち、空気をしっかり排出できなくなります。その結果、モーターに負荷がかかって異音や故障を招いたり、余計な電力を消費したりする可能性があります。
- カビ繁殖の恐れ:ホコリが湿気を含んだまま放置されると、そこにカビが繁殖することがあります。カビだらけの換気扇を回すと胞子が室内に撒き散らされ、衛生面で好ましくありません。
- 汚れが固着して掃除困難:長期間掃除しないと汚れがこびりついて後の掃除が大変になります。定期的に手入れしていないと、最終的にプロに頼まざるを得ないほど頑固な汚れになる場合もあります。
このように、換気扇を放置すると臭いや故障など様々な弊害が生じます。逆にいえば、定期的に掃除をすることで換気扇本来の性能を維持し、トイレを快適な状態に保つことができます。
つまり、換気扇の性能を保つためにも、定期的に掃除する必要があります。
トイレの換気扇掃除は決して難しくありませんから、できる範囲でこまめにお手入れしていきましょう。
トイレの換気扇のタイプ
換気扇には構造や設置場所によっていくつかのタイプがあります。
ご自宅のトイレに付いている換気扇がどのタイプか知っておくと、掃除やメンテナンスの際に役立ちます。ここでは代表的な換気扇の種類を紹介します。
トイレの換気扇のプロペラ(ファン)タイプ
トイレの換気扇に使われるプロペラには以下の2種類があります。
- プロペラファン式
- シロッコファン式
プロペラファン式
プロペラファン式換気扇は、扇風機の羽根のようなプロペラ型のファンが直接空気を外に送り出すタイプです。主にトイレの壁や窓に取り付けられ、ファンの回転によって室内の空気を屋外に排出します。

構造がシンプルで価格も比較的安価なため、戸建て住宅や古い建物のトイレによく見られます。
風量が大きく強力に換気できますが、外の風の影響を受けやすく回転音がやや大きめになる傾向があります。
掃除の面では、カバーを外すとファン本体が露出するため手入れは比較的容易です。
羽根に付着したホコリも見えやすく、取り外して洗える製品も多いので汚れを落としやすいというメリットがあります。
シロッコファン式
シロッコファン式換気扇は、多数の小さな羽根が円筒状に並んだ筒形のファンを持つタイプです。

遠心力で空気を吸い込み、ダクトを通して屋外へ排気します。
主に天井埋込み型の換気扇や、ダクト式換気システムに使われ、プロペラファンに比べて静かで、空気を押し出す力が強いのが特徴です。
トイレでも天井裏にダクトを通して排気するタイプに採用されています。
ファンが内部にあるためホコリが溜まっても外から見えにくく、掃除の際はカバーとファンユニットを外して清掃する必要がありますが、プロペラファンと比べると取り外しに苦労する方も多いです。
小さな羽根の隙間にホコリが入り込みやすいので、ブラシや綿棒で丁寧に汚れを取り除きましょう。
トイレの換気扇の種類
トイレの換気扇自体は以下のような種類があります。
- 天井埋込み型
- 壁付け型
- 窓設置型
天井埋込み型
天井埋込み型換気扇は、天井面に換気口(ルーバー)だけが見えるタイプで、内部にファン本体が埋め込まれています。

現在の住宅やマンションのトイレでは一般的で、見た目がすっきりしているのが利点です。
多くはシロッコファン式でダクトを通して屋外へ排気します。
天井に付いているカバーを外せば内部のファンにアクセスできるので、定期的な掃除もしやすい構造です。ただし高所作業になるため脚立が必要になります。
うっかり掃除を忘れがちなタイプですが、年に一度はカバーを外して内部のホコリを掃除しましょう。
壁付け型
壁付け型換気扇は、外壁に面した壁に取り付けられるタイプです。室内側にファンとカバー、外側にフードやグリルがあり、壁を貫通して直接屋外に排気します。

多くはプロペラファン式で、古い家屋や簡易的に換気扇を設置したい場合に用いられます。
掃除の際はカバーをネジやツメを外して取り外し、内部のファンに付いたホコリを掃除します。
位置が高い場合は脚立を使って作業しましょう。外壁側のフードにもホコリが溜まることがあるため、可能なら外側も点検してください。
窓設置型
窓設置型換気扇は、窓ガラスに換気扇ユニットを取り付けるタイプです。窓に開けた穴にプロペラファンを備えたユニットをはめ込んで使用します。
壁に穴を開けられない場合や、賃貸住宅で後付けしたい場合によく利用されます。
このタイプは窓枠ごと換気扇を外して掃除できるものもあり、比較的メンテナンスが容易です。
屋外の風雨にさらされるため汚れやすいので、内側だけでなく外側からも汚れを拭き取って清潔に保ちましょう。
トイレの換気扇掃除に必要な道具
換気扇を掃除する前に、事前に以下の道具を準備しておくとスムーズに作業できます。
- 掃除機:ホコリを吸い取るために使用します。
- 脚立(踏み台):天井や高い壁にある換気扇に手が届くようにします。踏み台は安定したものを使いましょう。
- ドライバー:換気扇のカバーやファンを固定するネジを外すのに使います。
- 雑巾や布:ホコリや汚れを拭き取るための布。マイクロファイバークロスなどホコリを絡め取りやすい布があると便利です。
- 中性洗剤:ひどい汚れを洗う際に使用します。台所用の中性洗剤を水で薄めて使いましょう。
- 歯ブラシや小ブラシ:ファンの隙間など細かい部分の汚れを落とすのに役立ちます。
- マスク・ゴム手袋:ホコリを吸い込まないようマスクを、手を汚れや洗剤から守るために手袋を着用すると安心です。
- 新聞紙やビニールシート:換気扇下の床や便器を汚さないように養生します。落ちたホコリを後でまとめて捨てられます。
必要に応じて懐中電灯(ブレーカーを切って暗い場合)や脚立の脚に貼る滑り止めなども用意すると良いでしょう。
それでは、具体的な掃除の手順を見ていきます。
トイレの換気扇掃除の手順
ここからは、トイレ換気扇を実際に掃除する際の手順をステップごとに解説します。初めてでも安全に作業できるよう、無理のない範囲で進めてください。
- 作業前の安全確認
- 換気扇を取り外す
- 換気扇の外側の掃除
- 換気扇の内側の掃除
作業前の安全確認
換気扇を掃除する前に、まず電源を切ることを徹底しましょう。
換気扇のスイッチをオフにし、コンセント式ならプラグを抜きます。
直接配線されている場合はブレーカーを落として換気扇に電気が流れない状態にします。作業中に誤ってスイッチが入るとファンが回転して危険なので必ず電源オフを確認してください。
次に作業環境を整えます。脚立や安定した踏み台を用意し、高所でも無理なく手が届くようにします。便器や便座の上に乗るのは大変危険ですので絶対に避けましょう。
換気扇の下に新聞紙やビニールシートを敷いておけば、落ちたホコリの後始末が楽になります。
マスクを着けてホコリを吸わないようにし、必要に応じてゴム手袋も着用して準備完了です。
換気扇を取り外す
最初に換気扇のカバーを取り外します。
カバーは手で引っ張るだけで外れるものが多いですが、固い場合は周囲を探ってツメを外すか、ネジ留めされている場合はドライバーでネジを外してください。
カバーが外れたら、続いて内部のファン(羽根)を取り外します。
プロペラファンなら中心の留め具を回して羽根を引き抜きます。
シロッコファンの場合はネジやツメで固定されたユニットを取り外します。
構造が分からない場合は無理に外さず、届く範囲で掃除するだけに留めましょう(無理に引っ張ると破損の恐れがあります)。
換気扇の外側の掃除
取り外したカバーとファンなどの部品は、別途できれいに清掃します。
まずカバーやファンに付いたホコリを掃除機で吸い取りましょう。
ホコリが概ね取れたら、濡らして固く絞った雑巾で拭き掃除します。
油汚れは無いはずなので水拭きで十分ですが、汚れがひどい場合は中性洗剤を薄めた水に浸した布で拭くと効果的です。
プラスチック製のカバーやプロペラファンは、水洗いしても構いません。
その際は洗剤で洗った後によくすすぎ、乾いた布で水気を拭き取って完全に乾かしておきます。
ファンの羽根も、取り外せた場合は水洗いか拭き掃除で汚れを落とします。歯ブラシで細かい隙間のホコリを掻き出し、布で拭き取ってください。
洗浄後はどの部品も完全に乾かすことが大切です。
濡れたまま戻すとホコリが付きやすかったり、後述の通り通電時にトラブルの原因となるため注意しましょう。
換気扇の内側の掃除
換気扇本体側(壁や天井に残った本体内部)も掃除します。
ファンを外して空洞になった内部に溜まったホコリを、まず掃除機でしっかり吸い出しましょう。
奥にダクトが繋がっている場合も、その入口付近にノズルを届かせてホコリを吸い取ってください。
ホコリを除去したら、内部を雑巾で拭きます。固く絞った湿った布で本体内部の壁や奥の方を優しく拭きましょう。
電気部品や配線部分は水気厳禁ですので濡らさないよう注意します。汚れがこびりついている箇所は、中性洗剤を薄めた水で布を湿らせて拭くと落ちやすくなります。
最後に乾いた布で水分を拭き取って仕上げます。
内部がきれいになったら、取り外していたファンとカバーを元通りに取り付けます。
しっかり固定できたことを確認し、最後に電源を入れて動作チェックをしましょう。スムーズに回転すれば掃除完了です。
トイレの換気扇掃除の際の注意点
換気扇を掃除する際には、以下のポイントに注意して安全に作業してください。
- 電源を必ず切る
- 水や洗剤の使用方法
電源を必ず切る
掃除中は必ず換気扇の電源を切っておきましょう。
誤ってスイッチが入るとケガや感電の恐れがあります。作業前から終了まで、換気扇への通電は止めた状態にするのが基本です。
水や洗剤の使用方法
水拭きや洗剤を使う際は、電気部分に水がかからないよう十分注意します。
モーターや配線は絶対に濡らさないようにし、中性洗剤以外の強い薬剤は素材を傷めるため使用しません。
洗浄後の部品は完全に乾燥させてから元に戻し、電源を入れるようにしてください。
また、高所での作業になりますので脚立の使用方法にも注意し、換気扇の部品は固着して外れない場合に無理に力を加えないようにしましょう。
トイレの換気扇掃除の頻度
トイレの換気扇は目安としてはフィルターをしている場合は年に1回程度の分解掃除がおすすめです。
年末の大掃除など定期的な機会に換気扇内部までしっかり清掃しておくと、常に良好な換気性能を保てます。
キッチンの換気扇ほど汚れませんが、トイレットペーパーの紙ホコリなどは徐々に蓄積するため、余裕があれば半年に1回くらい掃除するとより安心です。
日頃のお手入れとして、数ヶ月に一度、掃除機で換気扇の表面のホコリを吸い取るだけでも効果があります。
また、換気扇カバーに市販のフィルター(シート)を取り付けてホコリの侵入を防ぐのも有効です。
フィルターをこまめに交換すれば内部が汚れにくくなり、掃除の頻度を減らすことができます。
このようなフィルターをしていない場合は2~3ヶ月に1回のペースで掃除をすると良いでしょう。
自分で掃除できない場合はプロに相談
換気扇の構造や汚れ具合によっては、自分で掃除するのが難しいケースもあります。
その場合は、プロの業者に掃除を依頼することも検討しましょう。
どんな業者に依頼すべきか
トイレの換気扇掃除を依頼できる業者としては、浴室やレンジフードなど住宅の清掃全般を行うハウスクリーニング業者が挙げられます。
また、水回りのメンテナンスを扱う水道修理業者や住宅設備の業者でも対応可能な場合があります。
いずれも換気扇の構造に詳しいプロですので、安心して任せることができます。
トイレの換気扇掃除にかかる費用相場
業者にトイレの換気扇掃除を依頼した場合の費用相場は、1台あたり約3,000〜5,000円程度です。小型の換気扇だけの清掃であれば5千円前後が一般的なラインでしょう。
ただし、上記はオプションとしての費用相場であり、トイレの換気扇掃除を単体で依頼した場合はおよそ8,000円〜10,000円程度の費用が発生します。
こちらはあくまで掃除にかかる費用の相場であり、業者や地域によって実際の料金は異なります。
また、掃除にかかる作業費以外にも出張費がかかることもありますので、事前に見積もりを取って確認してください。
浴室換気扇やレンジフードなど他の清掃とセットで依頼すると割引になる場合もあります。
まとめ
トイレの換気扇は普段あまり意識しない部分ですが、放置すると臭いや故障など様々なトラブルにつながります。
定期的な掃除で換気扇本来の性能を維持し、清潔なトイレ環境を保つことが大切です。正しい手順と注意点を守れば、初心者でも案外簡単に換気扇をきれいにできます。
もし難しいと感じた場合は、無理をせずプロの業者に任せるのも賢明です。
ぜひ換気扇掃除を定期的な習慣にして、いつも爽やかなトイレ空間を維持してください。
適切なお手入れを続けることで、嫌な臭いやカビとは無縁の快適なトイレを保てるでしょう。
ちなみにトイレ全体の掃除方法についてはこちらの記事でもご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

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