クエン酸を使用したトイレ掃除の効果
クエン酸とは、柑橘類や梅干しなどに含まれる弱い酸性の成分で、その酸性の性質を活かして掃除にも大活躍します。
トイレ掃除でクエン酸が威力を発揮するのは、トイレの主な汚れがアルカリ性であるためです。尿の成分が固まった尿石(にょうせき)や、水道水中のミネラル分が固まった水垢(みずあか)はアルカリ性の汚れなので、酸性のクエン酸をかけると中和されて溶けやすくなります。

そのため、掃除を行うことで便器にこびりついた黄ばみ汚れや輪ジミをスッキリ落とすことができます。さらに、クエン酸には消臭効果もあります。
尿汚れから発生するアンモニア臭などの嫌な臭いはアルカリ性ですが、酸性であるクエン酸で中和することで臭いの元から除去できます。
単に芳香剤で臭いをごまかすのではなく、臭いそのものを化学的に対処できる点は大きな効果と言えるでしょう。
このようにクエン酸を使った掃除は、便器内部の頑固な汚れ落としから臭い対策まで一石二鳥です。
最近では環境に優しいエコ掃除として、重曹(じゅうそう)やクエン酸を活用する家庭も増えていますが、トイレ掃除にもクエン酸はまさにピッタリの洗剤と言えます。
- 尿石(尿の成分が固まった黄ばみ汚れ)
- 水垢(白くこびりついたミネラル汚れ)
- アンモニア臭などの悪臭
クエン酸でトイレ掃除をするメリット
クエン酸を使ってトイレ掃除をすることには、さまざまなメリットがあります。ここでは、初心者でも嬉しい代表的なメリットを4つ紹介します。
- 消臭効果がある
- コストパフォーマンスが良い
- 安全性が高い
- 環境に優しい
消臭効果がある
クエン酸には高い消臭効果があります。特にトイレで気になるアンモニア臭(尿の臭い)に対しては、クエン酸が臭いの原因を中和して無臭の状態に変えてくれます。
例えば、トイレの床や壁に飛び散った尿汚れが臭いの元になりますが、クエン酸スプレーを吹きかけて拭き取れば、嫌な臭いが残りにくくなります。
芳香剤のように臭いを覆い隠すのではなく、化学反応で臭いそのものを消せるのがクエン酸の強みです。
また、クエン酸は酸性のため、アルカリ性の臭い全般に効果があります。
トイレ以外でも、生ゴミやタバコの臭いが気になる場所にクエン酸水をスプレーして拭き掃除すると臭いが和らぐほどです。
日頃からトイレにクエン酸スプレーをしておくことで、常に清潔で臭わない空間を保つことができます。
コストパフォーマンスが良い
クエン酸は安価でコストパフォーマンスに優れています。市販のトイレ用洗剤を毎回購入すると地味に出費がかさみますが、クエン酸の粉末なら数百円程度で購入でき、一袋で何度も掃除に使えます。
100円ショップやドラッグストアでも手軽に手に入り、少量を水に溶かすだけでスプレー洗剤になるため経済的です。
さらに、クエン酸はトイレ以外の掃除にも活用できます。お風呂の水垢落としやキッチンのシンク掃除、ポットの湯垢取りなど、家中の様々な場所で使える万能洗剤です。
一つ常備しておけばトイレ掃除だけでなく幅広い用途に使えるため、余計な洗剤を何種類も買う必要がありません。結果的に家計にも優しく、無駄が減ります。
安全性が高い
クエン酸は食品にも使われる成分であり、安全性が高い点も大きなメリットです。
強力な塩素系洗剤のように刺激臭がしたり、単体で有毒なガスが発生したりする心配がありません。
適切に使用すれば肌や体への負担も少なく、掃除中に多少皮膚についても水で洗い流せば問題ないケースがほとんどです。
小さなお子様やペットがいる家庭でも、クエン酸であれば比較的安心して使えます。
万が一掃除後に床に洗剤が残っていても、クエン酸は食酢と同じような弱い酸ですので、触れたとしても重篤な害を及ぼす可能性は低いとされています。
それでも長時間皮膚に触れたり、直接口に入れたり、他の洗剤と混ぜたりしないよう注意は必要ですが、強い化学薬品を使うよりは安心感が高いでしょう。
環境に優しい
クエン酸は天然由来の成分で、生分解性が高く環境に優しい洗剤です。
使用後は水と一緒に流れても自然界で分解されるため、川や海を汚す心配が少なくなります。
塩素系の強力な洗剤を大量に使うと排水として環境へ影響が出ることもありますが、クエン酸ならその点でも安心です。
また、クエン酸は詰め替え用のスプレーボトルに溶かして使うため、市販クリーナーのように毎回プラスチック容器を捨てる必要がありません。
一つの容器を繰り返し使えるのでプラスチックごみ削減にもつながります。エコ志向の方にとって、クエン酸は人体にも環境にも負荷が少ない理想的な掃除アイテムと言えるでしょう。
クエン酸でトイレ掃除をするデメリット
良いことづくしのクエン酸掃除ですが、注意すべきデメリットもあり、クエン酸はアルカリ性の汚れに強い反面、すべての汚れを万能に落とせるわけではありません。
たとえば、トイレの黒カビや黒ずみ汚れはカビ由来だったり、別の成分が原因の場合もあります。
こうした酸性のカビ汚れや、長年蓄積した頑固すぎる汚れは、クエン酸では落としきれないことがあります。
また、クエン酸自体には強い漂白作用や殺菌作用はありません。便器の黄ばみを白く漂白したり、細菌やウイルスを完全に除菌・消毒する効果は限定的です。
そのため、見た目の汚れは落ちても菌が気になる場合や、ウイルス対策をしたい場合には、別途アルコール除菌剤や塩素系漂白剤などで消毒する必要があります。
ただし、クエン酸は混ぜてはいけない洗剤もあるため、クエン酸で掃除しても落ちない汚れがある場合は、無理をせず専門の業者に相談することも検討しましょう。
クエン酸はあくまで日常の軽度~中程度の汚れに効果を発揮する掃除方法と心得て、汚れが酷くなる前にこまめに掃除することが大切です。
トイレ掃除に使用するクエン酸水の作り方
それでは、実際にトイレ掃除に使う「クエン酸水」(クエン酸を溶かした掃除用スプレー)の作り方を説明します。必要な材料はとてもシンプルです。
用意するのは、市販のクエン酸(粉末)と水道水、そしてスプレー容器だけです。
スプレーボトルは市販の空容器を購入しても良いですし、使い終わった洗剤ボトルをよく洗って再利用しても構いません。以下の手順でクエン酸水を作りましょう。
- スプレーボトルに水を入れます(目安として200ml程度)。
- 水200mlに対しクエン酸小さじ1杯(約5g)を加えます。
- ボトルのフタをしっかり閉め、よく振ってクエン酸を溶かします。
- クエン酸が完全に溶けたら完成です。ラベルを貼って内容物がわかるようにしておきましょう。
※基本は上記の分量(約2.5%濃度)で十分ですが、汚れが軽い場合はクエン酸の量を半分(小さじ1/2)程度に減らしても効果があります。また、500mlのボトルで作る場合は水500mlに小さじ2杯が目安です。
一度に大量に作り置きせず、2週間以内に使い切る量をこまめに作ると新鮮な状態で使えます。
クエン酸水はトイレ掃除だけでなく、キッチンや浴室など他の掃除にも使える万能クリーナーです。日常的に使いやすいよう、スプレーボトルに入れて常備しておくと便利です。
クエン酸でトイレを掃除する方法
クエン酸でトイレを掃除する方法をご紹介します。この方法は便器の中だけではなくフタや床などにも有効です。
必要な道具の準備
クエン酸を使ったトイレ掃除を始める前に、まずは必要な道具を準備しましょう。特別な器具は必要なく、身近なものだけでOKです。
- クエン酸(粉末)
- 水とスプレーボトル(上記で作成したクエン酸水)
- 計量スプーン(小さじ)
- トイレ用ブラシ(または軟らかめのスポンジ)
- トイレットペーパー
- ゴム手袋(手荒れ防止用)
- ※必要に応じて:古い歯ブラシ(細部用)、クエン酸ペースト用の小皿とスプーン
クエン酸ペーストとは、クエン酸粉末に少量の水を混ぜて練ったペースト状の洗剤です。後述する頑固汚れの箇所に塗布して使います。
基本的な掃除はクエン酸水スプレーだけで問題ありませんが、いざという時のために覚えておくと良いでしょう。
掃除の手順
道具の準備ができたら、いよいよクエン酸を使ったトイレ掃除を実践してみましょう。以下の手順で進めていきます。
- 手順1:クエン酸水スプレーを汚れが気になる箇所(便器内の黄ばみや輪ジミ、フチ裏など)にたっぷり吹きかけます。便座裏や便器の縁など尿石が付きやすい部分も忘れずにスプレーしましょう。
- 手順2:スプレーした部分にトイレットペーパーを貼り付けます。ペーパーが洗剤を吸って密着することで、液だれせず汚れに洗剤が行き渡ります。
- 手順3:貼り付けたトイレットペーパーの上からさらにクエン酸水を吹きかけ、十分に湿らせた状態にします。そのまま10~30分程度放置してパックします。
- 手順4:時間をおいたら、トイレットペーパーをはがして、そのペーパーで軽く汚れを拭き取ります。さらにトイレブラシで便器内をこすり洗いしましょう。クエン酸の効果で汚れが柔らかくなっているのでするすると落とせます。
- 手順5:最後に水を流して洗剤分をしっかり洗い流せば完了です。落とした汚れや使用したペーパーも一緒に流れて処理できるので後片付けも簡単です。
パックしても落ちない頑固な黄ばみ汚れがある場合は、クエン酸ペーストを試してみましょう。
クエン酸ペーストを汚れ部分に塗り込み、再び30分ほど放置してからブラシで擦ると、通常のスプレー掃除よりも強力に汚れを分解できます。
ペーストを塗る際は使い捨てのスプーン等を使うと手が汚れず便利です。なお、クエン酸水は便器の内側だけでなく、便座や床の掃除にも使えます。
便座やフタ、トイレの壁や床にクエン酸スプレーを吹きかけて布で拭けば、飛び散った尿の成分も拭き取れて臭い対策になります。
ただし、後述する注意点にあるように、素材によってはクエン酸が使えない場合もあるので注意しましょう。
クエン酸を使ったトイレ掃除の際の注意点
最後に、クエン酸でトイレ掃除をする際の注意点を押さえておきましょう。安全に効果的に掃除するために、以下のポイントに気を付けてください。
- 塩素系漂白剤と混ぜてはいけない
- 素材への影響
- 使用後は十分に換気をする
塩素系漂白剤と混ぜてはいけない
クエン酸など酸性の洗剤は、塩素系漂白剤(塩素系クリーナー、※例:トイレ用漂白洗剤やカビ取り剤など)と絶対に混ぜてはいけません。
酸性のクエン酸と塩素系洗剤が混ざると、有毒な塩素ガスが発生して非常に危険です。

市販のトイレ用洗剤には塩素系のものも多いので、「クエン酸を使った直後に別の洗剤を使う」「塩素系洗剤を使った直後にクエン酸を使う」ということがないよう十分注意しましょう。
過去に塩素系洗剤を使用した便器にクエン酸スプレーをかけるだけでも、残留していた塩素と反応するリスクがあります。
不安な場合はクエン酸を使う前に十分に水で流し、他の洗剤成分が残っていない状態にしてから使用してください。安全第一で作業しましょう。
素材への影響
クエン酸は使える素材と使えない素材があります。トイレの陶器(陶磁器)製の便器部分には使用して問題ありませんが、天然大理石の床やカウンター、銅や鉄など金属製の部品には使用しないでください。
酸に弱い素材にクエン酸が触れると、サビや変色、腐食などのダメージを与えてしまう恐れがあります。
また、クエン酸水をトイレタンク(貯水タンク)の中に入れて掃除するのも避けましょう。
タンク内にはゴム製や金属製の部品が多く、酸性のクエン酸によってそれらが劣化したり錆びたりする可能性があります。
クエン酸水はあくまで便器周りの拭き掃除や便器内部の洗浄に留め、使用できる素材かどうか不明な場所には使わないようにします。
心配な場合は目立たない箇所で試してから使用すると安心です。
使用後は十分に換気をする
クエン酸で掃除をするときは、作業中から作業後しばらくはトイレの換気を十分に行ってください。
窓を開けたり換気扇を回したりして、空気の入れ替えを意識しましょう。
クエン酸水自体は強い臭いはありませんが、掃除によって落とした汚れ(アンモニア臭など)が空気中に出ることもありますし、酸の刺激臭を感じる場合もあります。
換気することでそうした臭いや刺激をこもらせず、快適に作業できます。
特に他の洗剤を使ったあとでクエン酸掃除をする際は、万が一微量のガスが発生してもすぐ外に逃がせるよう、必ず換気扇を回した状態で行いましょう。
掃除後もしばらく換気を続けて、トイレ内に洗剤の臭いが残らないようにしてください。
まとめ
クエン酸を使ったトイレ掃除は、頑固な黄ばみ汚れや尿石による臭いを手軽に解消できる優れた方法です。
酸の力でアルカリ性の汚れを中和して落とし、臭いも元から断つことができます。
さらに、安価で安全、環境にも優しいクエン酸なら、日々の掃除に安心して取り入れられます。実際の掃除では、クエン酸水をスプレーしてトイレットペーパーでパックし、しばらく置いてから擦るという簡単な手順でOKです。
初めての方でもこの記事の手順通りに進めれば、難しい技術は必要ありません。
ぜひクエン酸を活用して、清潔で気持ちの良いトイレ環境を保ちましょう。定期的なお手入れでトイレのキレイが長持ちし、面倒な水まわりトラブルを予防することにもつながります。
ぜひクエン酸掃除を取り入れてトイレの悩みを解消し、快適な生活を送りましょう。
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