トイレのつまりが真空ポンプで直せる?真空式パイプクリーナーの特徴
トイレのつまりを直す道具の1つに、真空式パイプクリーナーがあります。
真空式パイプクリーナーは、強い吸引力でつまりの原因を取り除く道具です。ハンドルを押し引きすることで水圧を与える仕組みになっており、単に真空ポンプと呼ばれることもあります。
まずは、真空式パイプクリーナーがどのようにつまりを解消するのか、その特徴を見ていきましょう。
真空式パイプクリーナーの仕組み
真空式パイプクリーナーは、吸引力でトイレのつまりを解消する道具です。吸引力でつまりの原因を取り除くのは、スッポン(ラバーカップ)と同じ原理ですね。
真空式パイプクリーナーがスッポンと異なるのは、吸引の仕方にあります。
真空式パイプクリーナーの柄の先端には、スッポンと同様ゴム製のカップがついています。一方、柄の部分は空気や水を吸い込むシリンダーになっており、持ち手の部分にはハンドルがついています。
ハンドルを引くとシリンダーに空気や水が吸い込まれ、押し込むと押し出されます。このような仕組みで水圧を与え、つまりの原因を取り除くのです。
真空式パイプクリーナーのメリットとして、以下の点が挙げられます。
- 吸引力が強い
- 水が飛び散りにくい
スッポンと比べて、真空式パイプクリーナーは真空ポンプを使っているため、吸引力が強いのが特徴です。また、ハンドルを操作するだけで水圧を与えられるので、水が飛び散りにくいというのもメリットの1つです。
真空式パイプクリーナーで直せるつまりの原因とは
トイレがつまる原因は、大きく分けて2種類あります。
- 水に流せるものが原因のつまり
- 水に流せないものが原因のつまり
このうち、真空式パイプクリーナーで直せるつまりは、水に流せるものが原因のつまりだけです。
水に流せるものとは、例えば以下のようなものです。
- トイレットペーパー
- 排泄物
- 水に流せるトイレクリーナーなど
トイレットペーパーや排泄物などは、基本的に水に溶けるものです。しかし、一度に大量に流してしまうと、トイレをつまらせてしまいます。
そんな時に活躍するのが、真空式パイプクリーナーです。真空ポンプで圧を与えることでつまりの原因を崩し、水に溶けやすくしてくれます。
一方、水に流せないものが原因のつまりには、真空式パイプクリーナーは使えません。例えば、以下の原因によるつまりには効果がないので注意しましょう。
- スマホなどの固形物
- おむつやティッシュペーパーなど水に溶けない紙類
- ペットのトイレ砂
- 食品や嘔吐物
真空式パイプクリーナーを使う時は、つまりの原因を明確にした上で、正しく使うようにしましょう。
真空式パイプクリーナーの相場
一般的な家庭で使われる真空式パイプクリーナーの相場は、1,000円~3,000円程度となっています。ホームセンターで売っている他、ECサイトでも手軽に購入できます。
スッポンよりも相場は高くなっている代わりに、トイレのつまりを直す効果は強力です。突然のトイレトラブルに備えて、一本買っておくと安心です。
<真空式パイプクリーナーの商品例>

真空式パイプクリーナーを使う際の注意点
真空式パイプクリーナーを使う際の注意点として、以下の3点を押さえておきましょう。
- 必ずつまりの原因を確かめる
- カップの形状に注意する
- 業者用のものは購入しない
先に述べたように、真空式パイプクリーナーで直せるのは、水に流せるものが原因のつまりだけです。水に流せないものがトイレにつまっている場合は、決して使わないようにしてください。かえって被害を拡大させてしまう恐れがあります。
また、真空式パイプクリーナーには、対応している便器ごとにカップの形状が違っています。和式用、洋式用、和洋兼用などのタイプがあるので、自宅のトイレのタイプに合ったものを使用しましょう。
加えて、真空式パイプクリーナーには、ローポンプと呼ばれる吸引力の強いタイプがあります。ローポンプは主に業者が修理に使う道具ですので、値段が高く、サイズも大きくなっています。一般の家庭にはまず必要ない道具ですので、誤って購入しないようにしましょう。
真空式パイプクリーナーを使う前の事前準備
真空式パイプクリーナーを使ってトイレのつまりを直す前に、いくつか準備しておくことがあります。しっかりと準備をしておくことで、その後の作業がスムーズかつ安全に行えるでしょう。
ここでは、真空式パイプクリーナーを使う前の事前準備について解説します。
止水栓を閉めておく
つまり解消の作業に入る前に、トイレの止水栓を閉めておくようにしましょう。
止水栓とは、トイレへの水の供給を調節する栓のことです。閉めることによって水が流れるのを止めることができます。
トイレがつまった状態で水を流すと、汚水があふれてしまう可能性があります。作業中に誤って水を流してしまうリスクに備えて、止水栓を閉めておくと安心です。
トイレの止水栓は、トイレタンクとつながっている給水管の途中や根元あたりに備えられていることが多いです。マイナスドライバー、もしくはハンドルを時計回りに回すことで閉めることができます。
トイレの止水栓については、こちらの記事も参考にしてください。
床や壁を養生しておく
トイレのつまりを直す際に、汚水が飛び散って床や壁が汚れる可能性があります。そんな事態に備えて、床や壁を新聞紙などで養生しておくと安心です。
真空式パイプクリーナーの場合、スッポンに比べると汚水は飛び散りにくくなっています。とはいえ、絶対に飛び散らないとは断言できないので、念のため養生しておくとよいでしょう。
汚水が飛び散るのを予防する方法として、便器に作業用の穴を開けたビニールをかぶせておくのもおすすめです。穴に真空式パイプクリーナーを差し込んで作業することで、汚水がはねてもビニールが床や壁に飛び散るのを防いでくれるでしょう。
汚水を適度にくみ取っておく
汚水が便器内に多く溜まっている場合は、真空式パイプクリーナーが正常に使える程度まで、汚水をくみ取る必要があります。
真空式パイプクリーナーを使うのに必要な水量は、カップ部分が浸る程度です。水量が多すぎると水圧を与えにくくなり、思うような効果が得られません。
汚水をくみ取る際は、真空ポンプや使い捨てのプラスチックカップなどを用いてくみ取り、バケツに捨てるのがよいでしょう。ビニール手袋をつけるなどして衛生面にも気をつけてください。
汚水が少なすぎる場合は、反対に水を注ぎ足すことになります。真空式パイプクリーナーのカップ部分が浸る程度まで注ぎ足すようにしましょう。
真空式パイプクリーナーの使い方
事前準備が済んだら、真空式パイプクリーナーでトイレのつまりを解消していきましょう。
真空式パイプクリーナーを使うには、正しい手順とある程度のコツを押さえることが大切です。手順とコツを押さえることで、より確実につまりを直すことができるでしょう。
ここでは、真空式パイプクリーナーの具体的な使い方について、手順に沿って解説していきます。
1.ハンドルを押した状態でカップを排水口に押し当てる
まずは、真空式パイプクリーナーのカップ部分を、便器内の排水口に押し当てます。水の量は、カップ部分全体が浸る程度に調節しておいてください。
この時のポイントは、次の3点です。
- ハンドルを押した状態(下がっている状態)にしたまま押し当てること
- カップが潰れるまで強く押しつけること
- 排水口が汚れていたら掃除すること
真空式パイプクリーナーは、ハンドルを引いた時の吸引力を利用してつまりを解消します。スムーズにハンドルを引くために、ハンドルを押した状態でカップ部分を押し当てるようにしましょう。
また、カップが潰れるまで強く押しつけることで、カップ内に真空状態を作るようにしてください。排水口とカップを密着させて真空状態を作ることで、水を吸引する力を強めることができるのです。
排水口の周りが汚れていると、カップとの間に隙間ができてしまいます。しっかり密着できるよう、汚れはトイレ用洗剤とブラシで掃除しておくのがよいでしょう。
2.ハンドルを強く押し引きする
しっかりとカップを押し当てたら、シリンダーを握ってハンドルを強く引きます。水が勢いよく吸引されることで、つまりの原因が水流によって崩されます。
ハンドルを引いた後は、再び押し込んでいきます。このようにハンドルの押し引きを繰り返して水流を起こすことで、つまりを解消していきましょう。
コツは、押す時はゆっくりと押し込み、引く時は素早く引く、ということです。吸引力によってつまりの原因を吸い出すようなイメージで使うとよいでしょう。
引く時のハンドルは、カップ内が真空状態となっているため、非常に固くなっています。もしも固さを全く感じない場合は、カップと排水口の間に隙間ができている可能性がありますので、確認してください。
3.バケツから水を流して確認する
つまりが解消されるに従って、押し引きする際のハンドルの抵抗が軽くなっていきます。そうなったら、本当につまりが解消されたか確認しましょう。
確認の際は、バケツから便器内に水を流すのがよいでしょう。レバーから水を流してしまうと、つまりが解消されていなかった場合に汚水があふれる恐れがあります。
便器内に水が溜まらなければ、つまりは解消されています。
使用後の真空式パイプクリーナーは、カップ部分をきれいに洗って、天日干ししましょう。漂白剤などを用いるとゴムを痛めてしまうので、水洗いするのがおすすめです。
真空式パイプクリーナーでもトイレのつまりが直せない場合
真空式パイプクリーナーは強力な道具ではありますが、それでもつまりが直せない場合はあります。そんな時はどうすればよいのでしょうか?
ここでは、真空式パイプクリーナーでトイレのつまりが直せない場合の対応策について、3つご紹介します。
つまりの原因を確かめる
まずは、つまりの原因が本当に水に流せるものであるのか、もう一度確認してみましょう。原因を見誤っているために、つまりが解消されなかったのかもしれません。
先に述べた通り、真空式パイプクリーナーで直せるトイレのつまりは、水に流せるものが原因である場合のみです。水に流せないものによるつまりには対応できません。
水に流せないものがつまりの原因である場合、真空式パイプクリーナーを使うことによってつまりを悪化させてしまう恐れがあります。自分で直そうとはせず、専門の業者に修理を依頼するようにしましょう。
また、原因が不明である場合も、真空式パイプクリーナーは使わない方が賢明です。
トイレのつまりの原因については、こちらの記事も参考にするとよいでしょう。
真空式パイプクリーナーを使う際は、つまりの原因について明確にした上で使用するようにしてください。
他の方法を試してみる
真空式パイプクリーナーでトイレのつまりが直らないのなら、他の解消方法を試してみるのもおすすめです。
真空式パイプクリーナーでも直らないつまりに対しては、次のような方法を試してみるとよいでしょう。
- ワイヤー式パイプクリーナー
- 針金ハンガー
この2つの方法は、どちらもつまりの原因に直接触れることで取り除くというものです。そのため、吸引力では直せなかったトイレのつまりも解消できる可能性があります。
ワイヤー式パイプクリーナーは、金属製のブラシでつまりの原因を取り除く道具です。細長いブラシを排水口に差し込み、つまっているものを直接つついて崩します。
針金ハンガーは、分解して細長く伸ばすことで、ワイヤー式パイプクリーナーと同じように使えます。簡単に自作することができるので、緊急時他に手段がない時にもおすすめです。
これらの方法について具体的に知りたい方は、以下の記事がおすすめです。ぜひ参考にしてください。
専門業者に依頼する
つまりの原因が水に流せないものである場合や、自力で直せないと判断した場合は、専門業者に修理を依頼するようにしましょう。
専門業者に依頼する際の主なポイントは、次の通りです。
- 複数の業者を比較すること
- 見積もりを取ること
- 実績豊富な業者を選ぶこと
まず、業者は複数候補を選んだ上で比較するようにしましょう。比較することで料金の相場や平均的なサービスについてわかり、優良業者を見極める基準が作れます。
次に、依頼する前に必ず見積もりを取るようにしましょう。見積もりを取ることで、修理後に高額請求されるリスクを回避することができます。また、現地見積もりであればスタッフの対応についてもチェックできるでしょう。
最後に、実績豊富で信頼できる業者を選ぶのがおすすめです。その他水道局指定工事店であるなど、信頼性を見極めるポイントがいくつかありますので、必ず依頼前に確認しましょう。
専門業者に修理を依頼する際のポイントや注意点については、以下の記事もぜひ参考にしてください。
まとめ
真空式パイプクリーナーはスッポンに比べると知名度は低いため、使ったことがあるという方は少ないはずです。その存在を知らなかったという方も多いのではないでしょうか。
真空式パイプクリーナーは、コツを押さえれば誰でも使うことができます。吸引力も強いため、トイレのつまりを効果的に解消できるでしょう。
一方で、つまりの原因によっては効果がないことは、他の道具と同じです。自力での修理が難しい場合は、迷わず専門業者に依頼するのがおすすめです。
真空式パイプクリーナーは、トイレがつまった緊急時に頼れる道具であることは間違いありません。何の備えもしていないという方は、ぜひ購入してみてはいかがでしょうか?
ちなみに真空パイプクリーナー以外でのトイレつまり解決法はこちらの記事にまとめていますので、併せて読んでみてください。
>トイレのつまりの直し方まとめ~自分でできる解消方法を原因別に紹介~
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