トイレの黒ずみを落とす5つの方法
黒ずみは放置すればするほど頑固汚れとなり、中性洗剤やブラシで擦った程度では落とせなくなってしまいます。
中性洗剤やブラシでは落とせない頑固な黒ずみは、どうやって落とせばいいのでしょうか。
中性洗剤やブラシで落としきれない頑固な黒ずみを落としたいときには、洗剤や漂白剤、研磨剤などを使います。
黒ずみの原因によって効果を発揮する成分が異なるため、原因に適した洗剤や漂白剤を使うことが大切です。
しかし、黒ずみの原因は見た目では判断できないので、一つずつ段階的に試していく必要があります。
ここでは、黒ずみの落とし方別に手順や注意点を詳しく解説していきます。
掃除方法を説明する前に、まずは下準備である便器の水抜き方法から見ていきましょう。
準備:掃除前には必ず水抜きをしておく
洗剤を使ってトイレ掃除をするときには、掃除前に便器内の水抜きをしておきます。便器に水が溜まったままだと、洗剤が水に溶けて効果を発揮できないからです。
便器内の水を抜く3つの方法を紹介します。
- 灯油ポンプを使って水をくみ取る
- トイレブラシやラバーカップで水を押し込む
- 紙コップや容器で水をくみ取る
それぞれの手順を見てみましょう。
・灯油ポンプを使って水をくみ取る
用意するものは「灯油ポンプ・バケツ・スポンジ・ゴム手袋」の4つで、すべて100円ショップやホームセンターで揃えることができます。
灯油を入れるときの要領で便器内の水をくみ取り、バケツに溜めていくだけですぐに水抜きができます。ポンプでくみ取りきれなかった水は、スポンジで吸い取ってください。
・トイレブラシやラバーカップで水を押し込む
トイレブラシまたはラバーカップを排水路に向かって押し込み、少しずつ水を押し込んでいきます。抜ける水の量は少量ですが、手を汚すことなく簡単に水抜きをすることができます。
・紙コップや容器で水をくみ取る
紙コップや容器を使い、便器に溜まっている水をくみ取ります。水位を少しだけ減らしたいときには、この方法がおすすめです。
排水路付近が黒ずんでいる場合には、便器内の水をしっかりと抜いてから掃除に取り掛かりましょう。
水位部分にできた輪状の黒ずみを掃除するときには、すべての水を抜く必要はないので少しだけ水位を下げてから掃除をしてください。
塩素系漂白剤
カビが原因の黒ずみには「花王 除菌洗浄トイレハイター」や「ユニリーバ ドメスト」、「カビキラー」のような、塩素系漂白剤が効果的です。
塩素系漂白ならばトイレ用に限らず、キッチン用や浴室用の漂白剤も使えます。
塩素系漂白剤を使用するときには、次の3ステップで黒ずみを落としましょう。
- 1. 漂白剤を黒ずみにかける
- 2. 2~3分放置する
- 3. 水を流す
塩素系漂白剤のうれしいポイントは、漂白剤をかけるだけで黒ずみを簡単に落とせるところです。洗剤をかけて放置するだけなので時間や手間をかけることなく、手軽に掃除ができます。水を流したあとに残った黒ずみも、ブラシで擦れば落とすことができるでしょう。
ブラシで擦っても落とせなかった頑固な黒ずみは、塩素系漂白剤の入ったカビ取りジェルを塗布してしっかりと汚れを浮かせてみてください。
それでも落とせない場合には、黒ずみの原因がカビではないのかもしれません。酸性洗剤や研磨剤を使う方法も試してみましょう。
酸性洗剤
尿石が原因でできた黒ずみには「サンポール」や「茂木和哉 尿石落としジェル」のような、酸性洗剤が適しています。
塩素系漂白剤を使っても落とせなかった黒ずみには、酸性洗剤を使ってみましょう。
- 1. 黒ずんでいる部分にトイレットペーパーを被せる
- 2. 酸性洗剤をかけて30分~1時間ほど放置する
- 3. ペーパーを流してからブラシで擦る
3の工程でペーパーを流すのは、溶けたペーパーがブラシの隙間に入り込むのを防ぐためです。ブラシではくスポンジを使う場合には、ペーパーごと擦っても問題ありません。
酸性洗剤を使った掃除方法も、洗剤を塗布して放置するだけなので手間がかかりません。ただし放置時間がやや長く、その間はトイレを使えないことに注意してください。
注意!
酸性洗剤は塩素系漂白剤と混ぜると有毒ガスを発生させ、死亡事故につながる恐れもあります。たとえ黒ずみが落ちなかったとしても、同日に2種類の洗剤を使うのではなく、1日に1種類ずつ試していきましょう。
酸素系漂白剤
尿石が原因の黒ずみには酸素系漂白剤も効果的です。
SNSやテレビで話題になった「オキシクリーン」も酸素系漂白剤なので、キッチンや浴室と同じように「オキシ漬け」でトイレの黒ずみを落とすことができます。
手順を見てみましょう。
- 1. オキシクリーン(酸素系漂白剤)120gと60℃~80℃のお湯を洗面器またはバケツに入れる
- 2. 粉が溶けるまでしっかりと混ぜ合わせる
- 3. 2を便器に流し入れる
- 4. 30分~6時間放置する
- 5. 水を流す
酸素系漂白剤を使うときのポイントは「60℃~80℃のお湯に混ぜること」です。この温度より低くても高くても効果を発揮できなくなってしまうので、必ず水温を確認してから混ぜ合わせてください。
また、漬け置き時間は汚れの程度によって異なりますが、最長で6時間はトイレが使えなくなってしまいます。しっかりと黒ずみを落としたいときには、夜寝る前に漬け置きをすると良いでしょう。
クレンザー
ここまでは漂白剤や洗剤を使った掃除方法を紹介してきました。しかし、長年放置していた黒ずみや酸化による黒ずみは、便器にこびりついてなかなか落とすことができません。
漂白剤や洗剤を試しても落とせない黒ずみは、クレンザーを使って研磨してみましょう。
クレンザーはトイレ用に限らず、研磨剤が入っているものならばキッチン用や浴室用も使うことができます。
掃除手順を見てみましょう。
- 1. 黒ずんだ部分にクレンザーをかける
- 2. トイレブラシやスポンジで黒ずみを擦る
クレンザーには研磨剤が入っているので、便器にこびりついた頑固な黒ずみを物理的に削り落とすことができます。ただし、研磨剤は汚れを落とすと同時に便器を傷つける恐れもあるので、メーカーによっては使用を禁止していることも。
クレンザーを使用できないトイレもあることを覚えておいてください。
重曹+クエン酸
トイレの黒ずみにはさまざまな原因がありますが、なかにはカビや水垢、尿石などが混ざり合ってできた「複合汚れ」が発生することもあります。
複合汚れは酸性とアルカリ性が混ざってできた汚れなので、これまで紹介してきた方法で落とすことは困難です。
そこで、弱酸性である「重曹」と酸性の「クエン酸」の二重効果で、汚れを分解させる方法で落としていきましょう。
- 1. 黒ずみに重曹をたっぷりとかける
(便器全体が黒ずんでいる場合には全体に振りまく) - 2. 重曹の上からクエン酸をかける
- 3. 20分程度放置する
- 4. トイレブラシやスポンジで擦る
重曹とクエン酸を混ぜ合わせたときにはシュワシュワと泡が発生しますが、人体に害はありません。
重曹とクエン酸をかけても黒ずみが浮いてこないときには、トイレットペーパーを被せてパック状態にしてから1時間~2時間ほど放置してみてください。
パックをすれば時間をかけて汚れが浮き出すので、ブラシやスポンジで強く擦ることなく黒ずみを撃退できるでしょう。
また、重曹には消臭・脱臭効果もあるので、黒ずみを落とすと同時にトイレのニオイも取り除くことができます。
トイレの黒ずみを洗剤で掃除する際の2つの注意点
ここまでは黒ずみの原因に合わせた掃除方法を紹介してきましたが、いくつか注意しておきたいポイントもあります。
注意点を知らずに掃除をすると便器を傷めてしまう恐れがあるので、しっかりと目を通しておきましょう。
便器によっては使用できる道具や洗剤が決まっている
ここまで紹介した掃除方法は、すべての便器に使用できるわけではありません。便器の種類や塗装方法によっては、使用できる洗剤や道具が限られています。
たとえば、汚れや水垢を防ぐためにコーティングが施されている便器は、とてもデリケートです。そこに研磨剤の入っている洗剤を使ったりブラシでゴシゴリと擦ったりすると、コーティングが剥がれて便器に傷が入ることも。
便器に細かい傷が入るとそこから汚れが入り込み、掃除をしてもすぐに汚れが目立ってしまいます。そんな事態は避けたいですよね。
トイレをきれいに使い続けるためにも、必ず説明書に目を通し、使用できる洗剤や道具を確認してから掃除に取り掛かりましょう。
漬け置きをしすぎない
漬け置きで汚れを浮かせるときには「長時間置けば汚れが落ちる」と思いがちですが、長時間の漬け置きは逆効果です。
コーティングの剥がれや変色につながり、汚れを落とすと同時に便器や便座まで傷めてしまう恐れがあります。
便器が変色すると見栄えが悪くなり、傷が付くと便器が汚れやすくなってしまいます。
漬け置きをするときには汚れを浮かすことももちろん大切ですが、洗剤の説明書に記載されている時間内にとどめておきましょう。
トイレに黒ずみができる原因
トイレに黒ずみができる主な原因は「カビ」や「ホコリ」です。便器に付着した水垢や尿石にカビが繁殖したり、ホコリがくっついたりすることで黒ずみが生まれます。
カビが繁殖しやすいのは、温度が高く汚れやすい場所。トイレは便器内に常に水が溜まっているため湿度が高く、密閉空間で湿気もこもりやすいのでカビが繁殖するには最適の環境と言えます。
そのため少し掃除をサボるだけでも、すぐにカビが繁殖して黒ずみができてしまうのです。
便器内の水面の周りにできる黒ずみ汚れは、通称「サボったリング」とも呼ばれます。
トイレの黒ずみを予防する4つの方法
トイレの黒ずみを予防するためには、小まめなトイレ掃除が大切です。けれど毎日掃除をするのは大変なので、なにか予防方法があるのなら知りたいですよね。トイレの黒ずみ予防に効果的なのは次の3つの方法です。
- 置き型洗浄剤を置く
- トイレスタンプを付ける
- 逆性石鹸を吹きかける
- 汚れがつきにくいトイレに変える
それぞれ紹介していきましょう。
置き型洗浄剤を置く
手洗いタンク付きのトイレには、置き型洗浄剤がおすすめです。洗浄剤を手洗い場に置くだけなので、手間も時間もかかりません。
香りやデザインに凝った商品が多いので、芳香剤やインテリアの一つとして楽しめることもうれしいポイントです。
ただし、タンクレストイレや手洗い場が独立しているトイレには、使うことができません。
トイレスタンプを付ける
トイレスタンプを便器に付けておけば、水を流したときに洗浄剤が便器内全体を洗浄します。
置き型洗浄剤と同様に香りやスタンプの形に凝ったものが多く、水流を活かしてふち裏の汚れまで洗浄できることがポイントです。また、一度スタンプすれば洗浄剤がすべて溶けるまで10日程度は効果が持続するので、コストパフォーマンスにも優れています。
しかし、水の出口付近にスタンプすると水が飛び散り、反対に遠すぎると洗浄効果が薄れるのでスタンプ位置には少しコツが必要です。
水の出口位置や水流、便器の形を考えながら、スタンプのベストポジションを探してみてください。
また、小さいお子さまがいる家庭も注意が必要です。トイレに座ったときにスタンプが気になり、触ってしまう恐れがあります。
トイレスタンプも洗剤の一種なので、手肌や粘膜に触れると危険です。
お子さまが小さいうちは、置き型洗浄剤や逆性せっけんを使った予防方法のほうが安心かもしれません。
逆性せっけんを吹きかける
逆性せっけんは「殺菌効果がある消毒剤」です。トイレの汚れ防止だけではなく、手指や食器の消毒や衣類のニオイ予防など、さまざまな使い方ができます。
ドラッグストアでは「ベンザルコニウム塩化物液」や「逆性せっけん液」として、500円~1,000円程度で販売されています。
逆性せっけんをトイレに使用するときには、原液を400倍(水1Lに対して原液2.5ml)に薄めた液をスプレーに入れて、便器全体に毎日吹きかけます。
せっけんと名に付いていますが、汚れを落とす洗浄力はないのでトイレ汚れを落とすことはできません。
汚れが付着している場合には、掃除をしてから使用しましょう。
注意!
逆性せっけんを使用するときには、必ず原液を水で薄めてから使用してください。逆性せっけんの希釈倍率は使用目的によって異なるので、使用目的に適した濃度に調整してから使用しましょう。
汚れがつきにくいトイレに変える
トイレの黒ずみに悩まされたくないのであれば、トイレ自体を汚れがつきにくい製品に交換するのもひとつの選択肢です。
例えば、TOTOのトイレには「きれい除菌水」というオプション機能を搭載できるタイプがあります。
きれい除菌水は、水道水に含まれる塩化物イオンを電気分解して作られる除菌成分(次亜塩素酸)を含む水で、洗剤や薬剤を使わず便器を綺麗に保ちます。
さらに、時間がたつともとの水に戻るので環境にもやさしいという点が特徴的です。
出典:「きれい除菌水」TOTO | 「きれい除菌水」で水まわりはどうなる? Restroom[レストルーム]
ほかにも、パナソニックが独自に開発した「スゴピカ素材(有機ガラス系)」もトイレの汚れ予防に効果的です。
スゴピカ素材は水族館の水槽や航空機の窓などにも使用されている素材を使用しているので、一般的な陶器と比べてぬめりや黒ずみの原因となる水アカがつきにくいという特徴があります。
出典:スゴピカ素材(有機ガラス系) | 機能一覧 | トイレ | 住まいの設備と建材 | Panasonic
トイレの黒ずみに困っているのであれば、このような汚れにくい技術を使用したトイレに変えることも検討してみましょう。
まとめ
黒ずみに塩素系漂白をかけても落ちないときには、酸性洗剤を。酸性洗剤を使っても落とせない頑固な黒ずみには、重曹やクエン酸、クレンザーなどを試してみましょう。
ただし、便器の種類や素材によっては使用できる洗剤や道具が限られています。便器を傷つけないためにも、掃除前に必ず説明書に目を通しておきましょう。
黒ずみはトイレの見栄えを悪くするだけではなく、便器も傷めてしまいます。そして、汚れは放置時間が長ければ長いほど、落としにくくなっていくものです。
黒ずみに気付いたらすぐに落とすことを心がけ、予防方法も試しながらトイレをきれいに保ちましょう。
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