トイレタンク内の構造と水が溜まる仕組みについて確認しよう
トイレタンク内にはさまざまな部品があり、複雑な構造をしています。タンク内の構造や水が溜まる仕組みを把握していると、いざ水がなくなったときに対処しやすくなるでしょう。
タンクの構造ですが、まず水を流すときに使うレバーの先とフロートバルブが鎖でつながれています。このフロートバルブはタンクから便器に流れる水を止めるための蓋の役割をしており、レバーを回すと蓋がずれて水が流れる仕組みです。
レバーとフロートバルブをつなぐ鎖が外れてしまうと、レバーを回しても水が流れません。また、鎖が短すぎるとフロートバルブが浮いて水が止まらなくなってしまったり、長すぎると他の部品にぶつかったり上手く水が流れなかったりしてしまいます。
また、タンクの中にはボールタップがあり、根本はタンクの外にある給水管とつながっています。タンク内の水位に合わせて、このボールタップの先についている浮き玉が上下します。
浮き球が下がると、ポールタップの弁が開くことで封水とよばれる給水が始まります。浮き球が通常の位置まで戻ったら、ボールタップの弁が閉まり、給水が止まる仕組みです。
封水は、排水管にこもる悪臭が便器を通して上がってこないように、水を溜めて閉じ込める役割を持っています。封水は常に一定量が貯まる仕組みになっていますが、後述するように、何かしらの原因により水位が低くなったり水がなくなったりすることがあります。
さらに、オーバーフロー管は、タンクの中に水が溢れそうになったときに便器内へ水を排出する役割を持っています。タンクの下の部分から上に伸びているので、見た目でわかりやすいのではないでしょうか。
通常の水位はこのオーバーフロー管の先から3センチほどが目安です。これより高すぎたり低すぎたりするとタンク内の状態が正常ではない場合があるため、注意してください。
トイレの水がなくなる6つの原因と対処法
トイレの水がなくなる原因として考えられるのは、以下の6つだといえるでしょう。ここではそれぞれの原因についての解説と対処方法をご紹介していきます。
- 原因1:つまり・排水管の汚れ
- 原因2:補助水管のはずれ
- 原因3:劣化や設計ミス
- 原因4:蒸発
- 原因5:便器の水漏れ
- 原因6:誘引現象
原因1:つまり・排水管の汚れ
トイレの水がなくなる原因として一番最初に考えられるのが、トイレのつまりです。
大量のトイレットペーパーや便、水に溶けないティッシュペーパーやナプキンなどを流すと、トイレがつまる原因になります。
つまりというと水位が高くなるイメージがあるかもしれませんが、つまりかけた異物や汚れが原因で水位が低下することもあるのです。
水位が下がっていても普通にトイレを使える場合がありますが、完全につまってしまう前に対処しなければなりません。
トイレットペーパーや排泄物など水溶性のものがつまったときには、ラバーカップや真空式パイプクリーナーを使用してつまりを解消しましょう。
ラバーカップの先のゴムの部分を便器内の水につけたあと排水口に密着させ、空気が漏れないようにしながら奥に押し込みます。しっかりと押し込んだら、一気に引っ張り出すのですがラバーカップを引き抜くとき周りに水が飛び散るので、周辺にビニールシートを敷くなどの養生をするようにしてください。
ここまでの作業を何度か繰り返していると、排水口につまっていたものが分解されつまりが解消されます。水位が元に戻るのを確認してください。
真空式パイプクリーナーはラバーカップと原理は同じですが、吸引力がより強いのが特徴です。ラバーカップや真空式パイプクリーナーは、ホームセンターなどで扱っており、難しい作業ではありません。
なお、スマホやおむつなどの異物が原因のときや原因がわからない場合は、無理に直そうとするとさらなるトラブルに繋がるため、業者に依頼するようにしてください。
ちなみに、自分でできるトイレつまりに関してはこちらの記事にまとめていますので是非参考にしてください。
原因2:補助水管のはずれ
トイレのタンク内にはオーバーフロー管の内側に位置しており細いチューブの形をしている補助水管があります。補助水管は水を余分に流すことで便器内の水位の調整をしています。しかし補助水管がはずれてしまうと、水位の調整ができなくなることから、トイレの水がなくなることにつながります。
この補助水管は、サイホン作用で汚物を流しやすくする 「サイホン式」のトイレにのみある部品です。「洗い落とし式」のトイレには補助水管はありませんので、この原因は除外してよいでしょう。
補助水管が外れた場合は、まず止水栓を閉じて水の流れを止めます。トイレタンクの蓋を外し、オーバーフロー管に補助水管の付けなおしをします。
補助水管をつけなおしたら、トイレタンクの蓋を閉じてから止水栓を開いて水を流してください。必ず水位が通常の高さまで戻ることを確認することが大切です。
補助水管は一般的にボールタップと一緒にホームセンターで販売しています。そのため古くなったと思ったら、ボールタップと一緒に交換するのもおすすめです。
原因3:劣化や設計ミス
通常、トイレのタンクと排水管はバランスが取れているため、水を流したときに一定量の封水が溜まる仕組みになっています。
しかし、何かしらの原因で気圧差が生じそのバランスが崩れると、本来残るはずの封水まで排水管の方へ流れていってしまうことがあります。
これは、排水管の工事をしていたりマンションの上の階で大量の水をトイレに流したりすると発生することがあります。
住宅のトイレはこのようなトラブルが起こらないように設計されていますが、排水管の劣化や住宅の設計そのものに問題があると、トイレの水がなくなってしまう自体になりかねません。
このように排水管の劣化や設計ミスが原因の場合、自分ではどうすることもできないため、すみやかに業者に相談しましょう。
原因4:蒸発
数日では起きないのですが、数か月トイレを使わないことによって、水が蒸発してしまう可能性があります。一般的に水が蒸発した場合は、一度水を流すと解決できる可能性が高いです。
しかし水を流して解決しない場合は、業者を呼ぶことを検討してください。
また特殊蒸発防止剤を使うことにより、蒸発してしまうのを予防することができます。特殊蒸発防止剤は排水口に流し込むだけで、蒸発対策や悪臭防止、除菌効果と万能です。
原因5:便器の水漏れ
トイレの封水がなくなっている症状と同時に、トイレの床が水浸しになっていたら、便器の水漏れが原因と考えられます。
タンクや給水管からの水漏れであれば、封水がなくなることはありません。封水がなくなり便器からの水漏れが疑われる場合、便器にヒビが入っいたり割れていたりする可能性が高いでしょう。
便器本体の破損は簡単に修理することができず、基本的には新しい便器への交換が必要になります。
便器の水漏れを放置していると、部屋の中に悪臭が入ってくるだけでなく集合住宅だと階下に迷惑をかけることになります。
また床が浸水することで床の張替えなどのリフォームが必要になり、大損害になる可能性があります。
一刻も早く業者に相談する他、賃貸の場合は大家さんにも伝えておくとよいでしょう。
ちなみにトイレの水漏れについてはこちらの記事でもご紹介してますので参考にしてみてください。
原因6:誘引現象
マンションなどでよく起こる誘引現象とは、排気管の中の空気圧が乱れることにより発生します。特に強風の日や、排水を大量におこなうと引き起こす可能性があり、封水が下へ流れてしまうことにより、トイレの水がなくなる原因になります。
業者ではどうすることもできない問題であるため、大家さんや管理会社へ相談するようにしてください。
トイレの水がなくなったらどうすべき?放置したらどうなる?
トイレの水がなくなってしまったら、原因を突き止めて対処する必要があります。
トイレの水がなくなったのを放置してしまうと、下水道からの匂いが発生してしまったりそこから虫が湧いてしまう原因ともなりかねません。
また、機能が正常ではない状態でトイレを使い続けると、さらに別のトラブルにつながってしまうこともあるため、早めに対処することが大切です。もし原因がわからなかったり、素人ではどうすることもできなかったりする場合は、業者への早めの相談がおすすめです。
まとめ
トイレの水がなくなってしまう原因は以下の6つです。
- つまり、排水管の汚れ
- 補助水管のはずれ
- 劣化や設計ミス
- 蒸発
- 便器の水漏れ
- 誘引現象
中には自分で対処できる原因もありますので、まずは本記事を参考に試してみてください。
ただし、自分では対処できない原因がある場合は、水道業者や管理会社への相談が必要です。
賃貸の場合は、契約書にトラブル時の連絡先や、修繕費負担の取り決めなどが記載されていることがほとんどです。もし対処法がわからない場合は、自己判断で業者を呼ぶのではなく、まず貸主に相談するようにしましょう。
いずれの場合においても、トイレの水がなくなってしまう状態を放置していると、下水からの匂いがトイレや部屋に広がってしまうほか、虫がわいてしまうことも少なくありません。
トイレの水がなくなることは、トイレが通常に動いていないサインです。そのため一刻も早く原因を突き詰め、対応することを心がけてください。
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