今回の『3分でわかるIoT関連用語集』はアクセラレーテッドコンピューティングを取り上げる。定義は、今年9月25日にIDC Japanが発表したリリースによると、「エンタープライズインフラ市場において、特定の計算処理を一般的なCPUからオフロードし高速に実行する処理」となるそうだ。
最近耳にするこの言葉であるが、IDCのプレスリリースを受けた電波新聞は、翌26日の朝刊でその内容を「アクセラレーテッドコンピューティング国内市場 22年に978億2300万円」という記事にしている。この数字はオリジナルのIDCのリリースのタイトルからの抜粋であるが、IDCのリリースは通常その内容をサマライズしたものになっており、わかりやすいのでここにそのまま引用すると:
GPUといえばAI分野においては今や知らない人はいないほどの存在感を示しており、幅広い市場シェアとそれに基づく実績はいうまでもなく、エコシステムも非常に充実している。オープンな標準規格であるOpenCLに加えてエヌビディアの提供するCUDAは広くエンジニアにも利用されている。対するFPGAの良さとしてよくいわれるのが省電力とレイテンシーに対する強さだ。回路が固定されていない「必要に応じて現場で回路を書き換えできる」自由度と、バッチ処理を行わないところから遅延の問題が生じないのは大きな魅力だ。かつてはGPUにおくれを取ったこともある浮動小数点問題もクリアされ、使える言語も、たとえばザイリンクスのFPGAはOpenCLに対応しており、言語もC, C++やPythonもOKだ。どうしてもソフトウェアエンジニアからすると自分が欲しい回路を作れるというメリットよりも「難しそう」、「とっつきにくそう」といったイメージがあるFPGAだが、Cで良ければ、と思う人も多いのではないだろうか。
GPUやFPGAが求められる背景には、AIやビッグデータ市場の伸びが大きく絡んでいる。高速計算処理を必要とする場面が増えるにつれ、従来のCPUで行っていた処理の一部をアクセラレーターにいわば“肩代わり“させることでアプリケーションの処理を高速化したいニーズは多岐にわたり、通信や金融、あるいはメディアといったビッグマーケットがそこにはある。
ディープラーニングやマシンラーニングにおいて間断がそこまで気にならない画像処理であればGPU、セキュリティなどの遅延にシビアなものや電力に制限がある用途にはFPGAなど、ニーズと機能に応じたすみわけをすることは可能なのかもしれない。
いずれにせよ、GPU一択とされがちなアクセラレーテッドコンピューティングの世界において、時と場合により、FPGAという選択肢があることを覚えておいていただきたい。
参考:IDC Japanプレスリリース(2018年9月25日) AIやIoT向けインフラのコアを担う、国内アクセラレーテッドコンピューティング予測を発表
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