40年以上にわたり電子楽器を開発・販売してきたカシオ。なかでも、より本格的なピアノらしさを楽しめるのが「CELVIANO(セルヴィアーノ)」シリーズです。電子ピアノでありながら限りなくグランドピアノに近い性能と品格を備えており、カシオならではの最新技術も搭載されたCELVIANOは、まさに伝統と革新が融合した唯一無二の製品といえます。

今回、そんなCELVIANOに新しい3つのモデルが登場。ピアノとして、音響や音色、鍵盤など基本的な楽器性能を高いレベルで実現。その上、ビジュアルインフォメーションバー、インスタントリプレイヤーといった新機能に加えて、専用アプリ「CASIO MUSIC SPACE」とのワイヤレス連携を実現するなど大きな進化を遂げました。

そんなCELVIANOとはどんな電子ピアノなのか。どんなユーザーにおすすめなのか。カシオの有賀綜一郎さん、寺尾健さんにお話を伺いました。

  • (左から) サウンドBU 商品戦略部 第二商品企画室 チーフ・エンジニア 寺尾健さん・サウンドBU グローバル戦略部 戦略企画室 有賀綜一郎さん

CELVIANOについて詳しくはコチラ

伝統と革新を融合したまったく新しい電子ピアノ

――まず、「CELVIANO」とはどのような電子ピアノなのか教えてください。

有賀:CELVIANOは、「Redefining Tradition and Innovation」をブランドステイトメントに掲げています。由緒あるグランドピアノの高い演奏性や表現力と、数々の製品を開発してきたカシオならではの独自で柔軟な発想が融合することで、新たな演奏体験や気づきを得られるブランドとしています。 カシオには、時代とともに変わるライフスタイルに寄り添う電子ピアノの「Privia」や、多様性への対応で自由な楽しみ方を提供する電子キーボードの「Casiotone」といったブランドがありますが、CELVIANOは家庭用として親しまれている一般的なキャビネットタイプの電子ピアノ市場にターゲットを置いたブランドです。

グランドピアノは何百年にもおよぶ長い歴史と高い演奏性を持っており、時代に合わせて形を変え発達してきました。グランドピアノの発達とともに作曲家が生み出す楽曲も発展し、多様化しています。CELVIANOはそうした歴史と伝統を重んじる方々に向けた製品です。

しかし、伝統的なキャビネットタイプのピアノには、体系的に、ストイックに学ぶべきで、辛い練習を繰り返して技術を身に着けるもの、というイメージがあるように思います。それに対してCELVIANOは、自発的に前向きな気持ちで、自分のペースでモチベーションを保ちながら演奏を楽しむことができるピアノ、という独自のコンセプトを置き、そのコンセプトを支える多彩な機能が備わっています。

結論、CELVIANOは“伝統的なピアノの価値を大切にしながら、演奏を楽しみたい”という人々をブランドターゲットとして設定しています。

グランドピアノらしさを実現するグランドフォニックサウンドシステム

――CELVIANOが打ち出す「グランドピアノらしさ」について教えてください。

寺尾:グランドピアノらしさを出すためにCELVIANOの「AP-750」に搭載されているのがグランドフォニックサウンドシステムです。電子ピアノは一般的に左右に搭載した2つのスピーカーで音を出していますが、それだとどうしても「どこから音が出ているか」がわかってしまいます。本来、グランドピアノはピアノ全体から音が出るもの。「スピーカー感」が出てしまうのは避けたいわけです。

そこで、グランドフォニックサウンドシステムでは、8つものスピーカーを搭載し、4つのチャンネルで駆動させています。さらに、筐体の中に反射板を4つ装備し、音を筐体内で反射させ指向性を制御することにより、楽器全体から音が鳴っているような自然な音の拡がりと、目の前にピアノを感じる音響を実現しています。また、高音用のスピーカーである「ツイーター」の素材も見直し、内蔵音源の音の良さを忠実に再生します。前モデルではスピーカーの数が少なく、チャンネルも2つだったので、ここは大きな進化点です。

加えて、グランドピアノの豊かな表現力を再現するための音源技術として「マルチ・ディメンショナル・モーフィング」「アコースティックシミュレーター」も搭載しています。

ピアノは同じ鍵盤でも弾き方や時間経過によって音が変わりますが、マルチ・ディメンショナル・モーフィングはその音の変化を再現する技術です。グランドピアノでは、たとえば鍵盤を弱く弾くと小さくて柔らかい音、強く弾くと大きくて硬い音が出ます。また、弾いた直後としばらく経った後でも、音量や音色が変化します。こうした変化を弾き方から計算して再現しているのです。

アコースティックシミュレーターは、「共鳴(レゾナンス)」やノイズなどのグランドピアノの音の特徴を再現する技術です。グランドピアノでは鍵盤を押すと、その鍵盤の弦を押さえていたダンパーが持ち上がり、ハンマーが弦を叩いて音を出します。このとき、他の押さえっぱなしになっている鍵盤の弦、つまりダンパーが持ち上がった状態になっている別の弦も倍音関係にあると共鳴してかすかに音が鳴るわけです。こうした共鳴音がグランドピアノの複雑で美しい音色を作り上げています。アコースティックシミュレーターでは、この共鳴(ストリングレゾナンス)を再現しています。さらに、ダンパーレゾナンスやオープンストリングレゾナンス(AP-750のみ)、アリコートレゾナンス(AP-750のみ)といった他の共鳴音や、ダンパーノイズやキーオン/キーオフアクションノイズ、ペダルアクションノイズ(AP-750のみ)といったグランドピアノの複雑な機構部の動きによる音も再現し、グランドピアノのリアルな音を追求しています。

時代を超えて愛される3つのピアノを再現した音色で豊かな演奏体験を実現

――説明をお聞きして、グランドピアノの音がいかに複雑なものかわかりました。また、それを電子的に再現したCELVIANOの技術にも驚きです。

寺尾:音の再現については、さらなるこだわりをもって開発しています。それが「AP-750」に搭載されている「AiR Grand音源」です。これはCELVIANOのフラグシップシリーズであるCELVIANO Grand Hybrid にも搭載されている音源で、時代を超えて愛される3つのピアノの音色を再現したものです。「BERLIN GRAND」はC.ベヒシュタインと共同開発した透明感のある音と響きが特徴。その証としてベヒシュタインプレートが搭載されています。そのほか、「HAMBURG GRAND」は迫力と力強さ、「VIENNA GRAND」はやわらかく美しい弱打音と豊かな表現力を持つ重厚さを表現しました。

――たしかに同じ鍵盤で同じ音を鳴らしているのに、3つのピアノごとにまったく音色が変わりますね。憧れの歴史的な3つのピアノの音を手軽に楽しめるのはユーザーにとって大きな魅力です。

寺尾:ピアノだけでなく、有名なコンサートホールの音響も楽しめます。たとえばロサンゼルスのコンサートホールを選択すると、誰もが知っている有名なホールの残響を音色に加えられます。小さなサロンからスタジアムまで、世界中のコンサート会場で演奏している気分が味わえるのです。

また、「クラシカルピアノレパートリー(AP-750のみ)」の音色を使うと、クラシックピアノの様式やジャンルごとの特徴を再現できます。たとえばポロネーズとノクターンでは、音に求められる表現は変わります。優れた奏者はそれを弾き方で表現するわけですが、クラシカルピアノレパートリー音色を使えば誰もがジャンルに合わせた音色表現を実現できるわけです。

――AiR Grand音源、コンサートホールの音響、クラシカルピアノレパートリー音色、これらを駆使すれば、世界の有名ホールでグランドピアノを演奏している気分に浸れそうですね。

鍵盤やペダルなどの細部にまで徹底したこだわり

――CELVIANOの鍵盤やペダルのこだわりについても教えていただけますか。

寺尾:まず鍵盤ですが、CELVIANOは本物のグランドピアノと同じく、各鍵盤にハンマーを備えています。そのため、鍵盤を押した感覚が本物のグランドピアノにそっくりなのです。これをハンマーなしでやろうとすると、どうしても鍵盤を押したときのタッチ感がグランドピアノとは別物になってしまいます。

さらに、白鍵を押したときに見える横部分の素材に注目してください。本物のグランドピアノは白鍵がスプルースという木でできており、弾くたびにスプルースの肌目が見えます。一般的な電子ピアノは鍵盤が樹脂製なので木の肌目が見えないのですが、CELVIANOではグランドピアノらしさにこだわるため、樹脂とスプルースのハイブリッド構造で鍵盤をつくり、木の肌目が見えるようにしています。 また、白鍵を象牙調仕上げにし、グランドピアノに近い弾き心地を実現しています。

黒鍵についても、本物のグランドピアノは黒壇という木を用いています。そのため、あまりにも樹脂のピカピカ感が出てしまうとグランドピアノらしさがなくなるので、CELVIANOではつや消し加工を施し、黒壇の質感を実現しました

ペダルについても、形状や操作感をグランドピアノに近づけ、演奏ニュアンスの表現にこだわりました。一般的な電子ピアノは奥行きを短くするためコンパクトにまとめてしまうことが多いのですが、CELVIANOはグランドピアノらしさを重視しました。また、グランドピアノの場合は調律師がハーフペダルの開始位置の調整を行うことがありますが、CELVIANOでも同様の調整が可能(AP-750のみ)です。

カシオ独自のデジタル技術も搭載

――CELVIANOは伝統的なグランドピアノを再現しつつ、最新のデジタル技術も搭載しているそうですね。

寺尾:そうなんです。まず、ビジュアルインフォメーションバーですが、これは楽器前面のパネルに「バー」の形で点灯する光で様々な情報を表示する機能です。たとえば鍵盤を押した際のタッチの強さやダンパーペダルの踏込み量、メトロノームの拍をバーの光で表示します。これまで耳で取得していた情報が視覚化されることで、練習をする側も聴く側も新たな気づきが与えられ、レッスンがはかどること間違いなしです。

また、美しい光沢感のある楽器前面パネルには演奏時に手元が映り込みます。この作りからもグランドピアノらしさが感じられますよね。

――練習に役立つ機能として、他にはどんなものがありますか?

寺尾:インスタントリプレイヤーです。これはたった今の自分の演奏を好きなところから簡単に聴き返せる機能です。通常のレコーダーも搭載していますが、それは録音ボタンを押して演奏。演奏が終わったら録音を止めるという一般的な録音機能であり、自分の演奏を保存して音源にするのが目的です。一方でインスタントリプレイヤーは、今の演奏を即座に聴き返すのが目的です。自動車のドライブレコーダーに似ていて、この機能をオンにしておくと、録音開始の操作をしなくても常に最新の270秒分の演奏の好きなところから簡単に聴き返せます。上級者以外は演奏時に指を動かすことに神経が向いてしまうので自分がどんな演奏をしているのか気づき難いのですが、演奏してすぐにこの機能で聴き返すことで、自分の演奏を客観的に音で確認でき、ピアノのレッスンに非常に役立ちます。

――従来、USB-Bケーブルで繋ぐMIDI接続ができていましたが、今回はワイヤレス接続やAudio接続も初めてできるようになったとか。

寺尾:同梱のワイヤレスMIDI & AUDIOアダプターを使うことでスマートデバイスと無線接続が可能です。CELVIANOを音楽再生のスピーカーとして使用することもできますし、アプリ「CASIO MUSIC SPACE」を使うとCELVIANOの設定や操作をより簡単に行えます。また、アプリにはクラシックピアノの名曲やその楽譜集も収録されています。

  • 身体に響いてくる音色は、まさに本物のグランドピアノを目の前に演奏を聴いているよう。この音色を、椅子に座って目の前でぜひ体験していただきたい……!

なお、鍵盤蓋を閉じた際、電子ピアノでは蓋の天面が斜めになる物が多いのですが、CELVIANOはグランドピアノのように蓋が水平に閉じられます。また、指を挟まないよう、閉じる瞬間は動きがゆっくりになるよう工夫しています。

シリーズそれぞれのおすすめユーザーは?

――最後にCELVIANOがどんなユーザーにおすすめか教えてください。

有賀:クラシックのピアノをはじめたいと思っているけれども心理的なハードルを感じている方や、子どもの頃にピアノを弾いた経験があり、大人になってもう一度やってみようと思っている方などにおすすめしたいです。ご説明してきた通り、グランドピアノらしさをとことん突き詰めたピアノですので、演奏経験が豊富で高い技術を持つ人も、これからピアノを始める人も、満足いただけると思います。さらに、ビジュアルインフォメーションバーやインスタントリプレイヤーなど他には無い機能を試してみながら、自分だけの楽しみ方を見つけていただきたいです。

今回のCELVIANO発売に伴い、2つのシリーズ分けを行いました。クラシックピアノの伝統に重きを置き、グランドピアノを感じさせる重厚感、存在感を求める人には、Classic シリーズの「AP-750」「AP-550」をおすすめします。天板開閉機構も備え、いかにもピアノらしいデザインに仕上げています。キーカバーやベヒシュタインプレート(AP-750のみ)、ペダルには金色の加飾を施し、高級感も醸し出しています。

一方、楽器としての高いクオリティと、コンパクトさを兼ね備えたSlim シリーズの「AP-S450」は、今どきの住環境にも設置しやすい為、ピアノ演奏に気軽に取り組みたい人におすすめです。スリムな奥行でありながら、ある程度高さのあるデザインや、高い演奏性能によって、ピアノらしさを存分に味わえます。 また、「AP-550」と「AP-S450」には、ローズウッド調のブラウンを今回新しく採用しました。気品のある落ち着いた色味で、「楽しくピアノを弾きたい」という気持ちを盛り上げてくれるはずです。

  • 「AP-550」のブラウン

  • 「AP-S450」のブラウン

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伝統的な価値観とカシオならではの最新テクノロジーを融合させ、グランドピアノらしさを徹底的に追求したCELVIANO。本格的にグランドピアノを演奏したいユーザーから、クラシックピアノを練習しているユーザー、気軽にグランドピアノの音色を楽しみたいカジュアルなユーザーまで、多くの愛好家におすすめできる製品となっています。

ピアノ演奏に興味を持っている方は、ぜひ一度CELVIANOを体験してみてはいかがでしょうか。

CELVIANOについて詳しくはコチラ

[PR]提供:カシオ計算機