コロナ禍で人混みを避けるために登山やキャンプデビューをして、そのままハマったという人は少なくないはず。ただ山登りでは、楽しむ人が増える一方で、低山・里山での遭難が増加したと言われている。
遭難事故のなかでも、多いのが道迷いである。道迷いを防ぐための方法はいくつかあるが、そのひとつが、山を登っているときに登山道の分岐などで、自分が進む方角(進行方向)をこまめに確認することだ。
進行方向はコンパスがあれば確認できるが、これから登山をはじめる人や初心者の人にぜひおすすめしたいのは、登山に役立つさまざまな機能が搭載されている「アウトドアウオッチ」である。では、どのようにアウトドアウオッチを使えば、良いのか。カシオの「PRO TREK」シリーズの最新モデル『PRG-340』を、実際の登山で使用してみた。
高度を合わせていざ登山スタート!
今回の登山で使用した、PRO TREKシリーズの最新モデル『PRG-340』向かったのは、古くから信仰の山として親しまれてきた、神奈川県の大山。標高は1,252mあるが、ケーブルカーを使うことで初心者でも気軽に登ることができる人気の山だ。
今回使用する『PRG-340』の特徴のひとつは、方位表示部と時計機能表示部の液晶を別にしたデュプレックスLCDを採用していること。コンパス表示が大型化されて、従来のモデルよりも判読性が高く、パッとひと目見ただけで方角がわかるようなデザインになっている。
また、ケース、裏蓋、ソフトウレタンバンドに加えて今回初めて回転ベゼルにも環境にやさしいエコ素材「バイオマスプラスチック」を採用。手首にフィットする装着性はそのままに、自然環境への配慮も兼ね備え、アウトドアウオッチとしてのこだわりが強く伝わってくる。
大山ケーブルカーで標高678mの阿夫利神社駅まで登り、少し歩いた神社境内の裏手から登山をスタートする。
下社裏手にある登山口。ここで高度表示を696mに補正する道迷いを防止するには、登る前に地図を読みこみ、どんなコースを歩くかを確認しておくとともに、登山道が大きく屈曲したり、分岐するポイントをあらかじめ把握しておくことが大切だ。今回の登山では、事前に以下の点を地図から読み取っておいた(文中の丸数字は、地図内の丸数字と対応している)。
①/登山口。標高696m。
②/分岐。標高995m。南南西からのルートが合流。進路は北~北北東方向へ。
③/分岐。標高1170m。南西からのルートが合流。進路は北~北北東方向へ。
④/山頂。標高は1252m。下りは南東方向へ。
⑤/分岐。標高1130m。東南東と南南東にルートが分岐。進路は南南東方向へ。
⑥/分岐。標高765m。南東と北西にルートが分岐。進路は北西方向へ。
登りはじめる前、登山口で高度を補整する。『PRG-340』は、PRO TREKシリーズでおなじみのダイレクトボタンを採用。滑り止め加工を施した大型のボタンになっているのでグローブを着用したままでも快適に使用できる。また従来モデルに比べて、センサーの小型化・位置の改善によってケース側面の形状がスリム化され、ボタンの押しやすさはさらに向上している。 ケース側面のダイレクトボタン
登山口から②の分岐までは樹林帯の尾根道が続く。地形的な特徴が少なく、現在地が把握しづらい区間だが、そうした箇所では高度を確認することでだいたいの現在地が把握できる。
②の分岐は、尾根上の広場となっており、事前に地図から読み取っておいたように、南南西方向からの登山道が合流していた。これから登っていく方角に体を向けて、『PRG-340』を方位計測モードに切り替えると、北方向へルートが延びていることがわかる。このように分岐点で「自分はこれからどの方向に進んでいくのか」を確認することで、ルート維持が確実にでき、道迷いを未然に防ぐことができるのだ。
標高1,170mの分岐③でも、『PRG-340』の方位計測モードで進行方向を確認しながら進んでいく。尾根上の登山道を北へと登っていき、10分ほどすると大山の山頂に到着。
アウトドアウオッチ『PRG-340』で地図と方角を確認
山頂には阿夫利神社本社が建ち、南側の展望が開けていた。周囲の山々の名前や、麓に広がる町並みや景色について詳しく知りたければ、地図を「整置」させるといい。
整置とは、地図の向きを実際の方角と合わせることで、目の前に見えている景色と地図を照合させるテクニックだ。方法は簡単で、地図の北(正確には磁北)とコンパスの北を一致させるだけ。『PRG-340』は平置きができるため、地図と方角が合わせやすい。テーブルの上に地図と時計を置き、整置をしてみる。実際、整置をすると、南側に広がる海が相模湾であることが確認できた。
『PRG-340』を平置きし、地図を整置する道迷いは、登りよりも下りの方が起きやすい。そのため、下りはじめる前に、自分が下りようとしているルートが延びている方角を計測し、地図上の方位と合致しているか確認する。もし「ここかな?」と思った道が、まったく違う方角に延びていたら、下降ルートを間違えている可能性があるため、周囲の登山道を再確認して、ほかにルートがないかを探してみよう。
単調な尾根道を高度に注意しながら下っていくと、高度計測モードの表示が「1,129m」となったところで登山道の分岐点が現れた。ルートは東南東と南南東方向に延びている。高度やルート状況から、自分が今いる地点が⑤の分岐点だと確認できたので、自信をもって南南東側(向かって右手)のルートを選ぶことができた。
⑥の分岐点では、漫然と歩いていると、そのまま尾根に沿って南東方向に下ってしまうおそれがあったため、標高800m付近から高度の変化と周辺の状況に注意しながら下っていった。すると、高度計測モードの表示が「773m」となったところで「見晴台」と呼ばれる大きく開けた場所に出た。見晴台からは、尾根を外れて、山腹を北西方向に向かっていく登山道の存在にもすぐに気づくことができた。
大山のような登山者の多い人気の山では、登山口や山頂、分岐などの案内看板がしっかりと整備されて、登山中に得られる情報は多い。それに加えて、アウトドアウオッチを使えば、高度や方位などもわかるため、より確実に現在地把握やルートの選択・維持ができるようになる。
『PRG-340』はほかに、10気圧防水機能や、わずかな光でも充電できるタフソーラー、トリプルセンサーによる気圧や温度の計測など、アウトドアでの使用に役立つ多彩な機能を搭載している。
ちなみに今年7月に発売された『PRW-3400』は、PRG-340の機能に加えて、世界6局の標準電波を受信して、時刻を自動修正するマルチバンド6を搭載。時刻を手作業で修正する必要がなく、使いやすい。またカラーは、ブラックとブラウンの2色展開なので、自分の好みに合わせてセレクト可能だ。
アウトドアウオッチを使いこなせば、登山の楽しみとともに、道迷い防止など安全性の向上にもつながるはず。ぜひ登山の必須アイテムに加えてほしい。
[PR]提供:カシオ計算機