ベストセラーを何冊も世に出す作家であり、近年はニコニコ動画の有料登録者数でNo.1を独走するニコ生主にして、国内唯一のメンタリストDaiGoさん。

そんなDaiGoさんをお迎えして、効率的な働き方について話を聞いていく。本質をズバッと指摘する、歯に衣着せぬ言い回しと、文献からの豊富な引用や冷静沈着な分析力で、今回も目からウロコで納得すること請け合い!若手ビジネスパーソンたち必見の内容です。

  • メンタリストDaiGo。英国発祥のメンタリズムを日本のメディアに初めて紹介し、国内唯一のメンタリストとしてTV番組に出演。その後、活動をビジネスやアカデミックな方向へ転換する。人間心理をテーマにした著書は累計350万部以上。
    ・DaiGoさんのYouTube:https://www.youtube.com/user/mentalistdaigo/
    ・DaiGoさんのTwitter:@Mentalist_DaiGo

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本のアイコン もはやメンタリストは名残りです

――本日は宜しくお願い致します。もう幾度となくご説明されているかと思いますが、メンタリストを一言で説明すると何でしょう?

趣味です。

実は最近はメンタリストと名乗ることはほとんどありません。自分ではもうメンタリストでも何でもないと思っています。

――えっ(絶句)。

そもそもメンタリストとはイギリス発祥で、神秘主義が好きなイギリスではフォーチュンテラーやスピリチュアリストのことを言い、アメリカではマジシャンや催眠術師をメンタリストと呼ぶようになりました。わかりやすくいうと、ヒトラーの横で大衆を扇動していた人たちもメンタリストです。

それをボクが日本に持ち込む際に定義を変えて、心理学で人の心理を分析したり、恋愛やダイエット、人間関係からお金の知識まで、科学に基づいた知識を紹介するパフォーマーの名称として利用したのです。

でも、ボクはもともとパフォーマンスには興味や愛情は欠片もなくて、テレビ出演も手っ取り早く有名になる手段でしかなかったし、もう目的は達したので、もはやメンタリストの名前は過去の名残りみたいなものです。

――すると今後は違う者を目指していくのですね。

もう違う者になっています。

いま、ボクの会社がメインで行っているのは動画配信です。YouTubeはもうすぐ登録者数が200万人になります(2020年3月取材時)。ニコニコ生放送は有料会員が約14万人で、これは現在最多のはずです。合計すると、月間の収入が1億円くらいなので、もうメンタリストとして働く必要はさほどありません。

ボクは以前から、本を読むだけで生きていけるようになりたいと、書籍や講演や動画の中でずっと言ってきました。いま、自分の好きな本や文献を呼んでそれを紹介するだけで良い状態にようやくできたのです。スマートフォンがあれば、世界中どこからでも動画を配信できる状態なので、職場に縛られることもありません。

本のアイコン 安心感を得るためだけの会議に意味はない

――まさにご自身の働き方を改革されたのですね。実は今回のインタビューに先立って、マイナビニュースで読者アンケートを行い、若手社会人が仕事でどんなことに悩んでいるのか調査しました。その結果が下のグラフになります。

――いまの作業環境を改善したいと悩んでいる人が半数近くいることが分かります。DaiGoさんから見て、仕事の作業環境を変えるうえでのヒントはありますでしょうか。

ボクは「働き方改革」という言葉は好きではありません。どう改革すれば良いかまったく示されていないからです。

労働時間を短くするのが改革なのであれば、そうするために何が有効なのか示すべきだと思います。

仕事における最高の効率化は、“やらなくて良いことはやらないこと”です。投資の神様のウォーレン・バフェットや、マネジメントの神様のピーター・ドラッガーは「やらなくて良いことがどんなに上手にできても何の意味もない」という意味のことを言っています。安心感を得るためだけの会議など、「まずそこからなくそうよ」と思います。

――確かに不必要なことは減らしたほうが効率化に繋がりますね。

必要ないものを削るのが効率化です。だから、ボクは職場に椅子を置いていません。

正確にはお客さんが来た時や食事の時に使うテーブルと椅子はありますが、仕事するときには椅子を使いません。

スタンディングデスクの下にステッパーを置いて足踏みしながら作業します。人間の脳は歩いている時に最も働くので、だったら椅子をなくしてステッパーを踏みながらやった方が効率が良いという判断です。

――不必要なものの例としてまず椅子なんですね。

笑い事ではなく、ボクから見ると、事務職のオフィスでデスクをスタンディングデスクにしない理由がなくて。職場のデスクを全部スタンディングデスクに替えると、会議の時間は34%ほど短くなるという研究結果もあるほどです。

意思決定率が変わらないのに、人件費を34%削減できるんですよ。なぜみんなやらないのか不思議でなりません。ちなみにスタンディングデスクにすると、肩凝りや頭痛、腰痛も減ります。

――えっ!そうなんですか?

実は肩凝りや腰痛の原因は科学的にはよく分かっていません。ただ、最近興味深い学説が出ていて、それによると肩凝りの原因は脳の誤作動なのだそうです。痛い部位に問題は起きてなくて、脳の誤作動で痛みを感じているという訳です。

少し詳しく説明すると、人間が仕事で長時間同じ姿勢を保つようになったのは、人類史の中ではほんの最近のことです。それまで、人間の生活において同じ姿勢を保つなんてほぼなかったんですね。だから、肩や腰が動かないのはなにか問題があるのだと脳が感じて、痛みという信号に変えて動かすよう教えているというのです。面白いでしょう。

実際、ボクも以前デスクワークの多い時期に首が痛いとよく口にしていたのですが、最近は毎日運動して筋肉を動かしているからか、肩凝りや腰痛を感じることがなく、この学説は信憑性があると考えています。肩凝りや腰痛に悩んでいる人には、スタンディングデスクと運動がオススメですよ。