従来のGRAVITYMASTERの、いや、G-SHOCKのイメージを書き換えるほどの衝撃とともに発表された「GWR-B1000」。そのフォルムとディテールはもちろん、構造についても豊富な写真とともにご紹介していく。「GWR-B1000」がG-SHOCKヒストリーの新たな1ページとなる可能性を十分に感じ取っていただけるだろう。
凹凸がない! G-SHOCKデザインの可能性を広げるモデル
「GWR-B1000」は、G-SHOCKのなかでも厳しい環境に耐えうる機能と性能を身に着けた「MASTER OF G」シリーズの製品。
そして「GRAVITYMASTER」にカテゴライズされるアヴィエーション(航空)モデルだ。G-SHOCK標準の20気圧防水と耐衝撃のほか、耐振動・耐遠心重力にも対応。この衝撃・振動・遠心重力の3つに耐える性能「トリプルGレジスト」が、GRAVITYMASTER最大の特長であり個性となっている。
だからこそケースの凹凸でボタンやりゅうずを守るガード構造や、ベゼル上に樹脂や金属のパーツを配置してガラスを守るバンパー方式が必要不可欠だった。しかし、GWR-B1000にはそれらケースやベゼルの凹凸が一切存在しない。唯一、大きくて押しやすそうな大型ボタンにG-SHOCKらしいタフネスを感じるのみだ。凹凸がなくなったことで、ケースサイズを小型化できると同時に、デザインにおける無限の可能性も手に入れたといえる。
G-SHOCKならではのデザインから、ビジネスシーンでの使用を躊躇してしまうケースは少なからずあっただろう。が、そんな人もGWR-B1000なら、抵抗なく選ぶことができるはずだ。
裏ぶたもない!? カシオ初のカーボンモノコックケース
GWR-B1000がいかにしてGRAVITYMASTERとしての強度を確保しているか、そのケース構造から見ていこう。
見ての通り、GWR-B1000のケース最大の特徴は「裏ぶたがないモノコック構造」だ。パーツ数を最小化し、ケースの外板に応力を持たせることで強度剛性を確保している。パーツの継ぎ目や異素材の組み合わせによる伸張の差がなければ、強度向上や防水面で圧倒的に有利だからだ。そしてケースの素材はカーボンを練り込んだエンジニアリング・プラスチックとなっている。
樹脂部分は航空業界・宇宙開発などで使用されているあらゆる高性能樹脂を取り寄せ、結果的に最も適している樹脂を選定しました。
このカーボンを練り込んだ強化樹脂は、従来のG-SHOCKに使用されている樹脂よりはるかに強度が高い。ケースは非常に弾性があり、割れにくい。おかげでボタンガードが不要になりました。
とはいえ、トリプルGレジストに対応するため、念を入れた設計が行われている。たとえば、「GX」シリーズなどでお馴染みのαゲル(衝撃吸収・振動吸収素材)の採用だ。下の写真はケースの中でムーブメントのモジュールを保持するリング。この外側の赤い部分がαゲルだ。これがモジュールを点で支えている。G-SHOCKの生みの親である伊部菊雄氏の発想そのままの構造なのだ。
ボタンの袴部分※はファインレジンという柔軟性に富んだ樹脂でできている。このパーツも、ボタン方向から落下したとき、直接ケースに衝撃が加わらないようにバンパー的な役目を果たしている。また、ボタンそのものもチタン素材を採用、シリンダー構造とすることでボタン自体の強度も向上した。
※ボタンパーツとケースを繋ぐ筒状のパーツ
硬度とギミックを併せ持つカーボン製ベゼル
ベゼルはカーボン製。かつて「G-STEEL」のフルアナログクロノグラフ「GST-B100X」で採用したカーボン製ベゼルの技術を応用したものだ。GST-B100Xでは37枚のカーボンシートを重ねていたが、今回はなんとそれを上回る枚数のシートを重ねている。これを金型に入れてプレスして焼き固め、内側の不要な部分を切削していく。さらにG-SHOCKの刻印やUIの文字を削り、ボタンの隙間も削って、最後に色を埋めてベゼルパーツの完成だ。
GST-B100X開発時の苦労話にもあった通り、カーボンベゼルは硬く
加工がきわめて難しいです。
切削の際、ドリルのビットがあっという間に摩耗してしまうため、コストが非常に(高くついてしまいました。→高い部品になっています。)
【参考】G-SHOCK史上初のカーボンファイバー製ベゼル - その誕生秘話に迫る ▶▶https://tracker.adplan7.com/wa/c/r/p?md=425&cp=10552&agr=8607515&ad=11547198
ちなみに、このベゼルの裏側にもインナーバンパーが入っている(αゲルではない)。写真のように樹脂が4点入っており、もし落下してもカーボンのベゼルはしなって、これを4つの点が支えている。衝撃を受け流す構造は外側だけでなく、内部でも力の分散をおこなっているのだ。
GWR-B1000はブラック/ブルーのツートンとオールブラックの2モデルでローンチするが、そのどちらもタフソーラー搭載ながらダイヤルは真っ黒。つまり、GWR-B1000はメインダイヤルにソーラーパネルを使わないことで、白い針と黒い文字板のコントラストを高めて、視認性を向上させているのだ。そこには、パイロットウオッチはとにかく視認性が大切という思想が伺える。
では、ソーラーパネルはどこにあるのか。その答えは、2つのインダイヤル。そう、OCEANUS Manta「OCW-S4000E」や「OCW-G2000RA」で実用化されたインダイヤルソーラーで、駆動電力を確保している。もちろん、ソーラーセルは高性能な遮光分散型ソーラーだ。
着け心地はまさに「快感」
時刻合わせは、もはや安定の使いやすさを誇るBluetoothによるモバイル連携とマルチバンド6対応電波時計に対応。国内なら標準電波の自動受信、海外でもスマートフォンアプリ「G-SHOCK Connected」で簡単に時刻合わせが可能だ。アプリではもちろん、GRAVITYMASTERシリーズ共通の「フライトログ」機能も利用できる。
カシオが培ってきた技術の集大成ともいうべきGWR-B1000。ここまで見てきたように、まさに「非の打ちどころのない」プロダクツだが、実は筆者がもっとも感心させられたのは、その装着感の自然さだった。
カーボンとエンジニアリング・プラスチック、そしてチタンという高性能かつ軽量な素材で組み上げられたその重量は、わずか72g。その軽量ゆえにずっと着けていても手首の疲労が断然少ないことに加え、装着時の着け心地の良さはまさに白眉。ケース底部の角が丸みを帯びているため手首に優しく、また、ケース底からラグを経てバンドへと繋がるラインが見事な弧を描き、この曲率が手首にぴったりと添うのである。
裏ぶたがないことがこれほど装着感に影響するとは、正直な話、この瞬間まで思わなかった。 この感覚ばかりは、さすがに写真ではお伝えできない。ぜひ店頭で手首に着けて、この感動を体験していただきたいと思う。
G-SHOCKならではの絶対的な堅牢性と信頼性に加え、カーボンテクスチャーの美しさ、チタン製パーツやサファイアガラス風防の高度な質感。そして、いわゆる有名高級時計に勝るとも劣らない、心地よい装着感。GWR-1000は間違いなく、G-SHOCKのステージをワンランク押し上げた記念碑的なモデルとなるだろう。
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