今年50周年を迎え、株式会社タキオンが運営する「乃木會館」は、乃木神社での神前挙式をはじめ、多彩な披露宴会場など、結婚式におけるさまざまなプランを提供している。

  • 株式会社タキオン 乃木會館

    株式会社タキオン 乃木會館

そんな同社では、ブライダルプランナー(以下、プランナー)と新郎新婦、業者などの関係者間で、紙や電話での情報共有にかかる作業負担が課題となっていた。例えば、挙式までの数か月間、衣装にヘアメイク、料理、装花など、準備するものはたくさんある。そのため、これらすべてを紙ベースの書類でやり取りするとなると、その管理は当然煩雑さを増す。

特に新郎新婦にとっては、「書類をなくしてしまう」「目的のものをなかなか探せない」「打ち合わせに持ってくるのが大変」「ドレスのイメージ写真などをまとめておくのが難しい」などの問題が発生していた。

また、衣装やヘアメイクなどを決める際、電話やメールで新郎新婦の希望をヒアリングしても、プランナーがそこから思い描くイメージが新郎新婦と異なっている場合もしばしばある。メールに写真を添付することも可能だが、多くの写真を送受信したり、あとから見直したりするのには時間と手間がかかってしまう。これらの課題を解決するために乃木會館が導入したのが、iPadとFileMakerプラットフォームだ。FileMakerプラットフォームは、iOSデバイス上でもデスクトップ上でも動作するカスタム App(カスタムアプリケーション)を作成できる開発・実行環境ツールとして知られている。

コミュニケーションツールとしてすでに数百台のiPadを提供

「ここで結婚式を挙げよう」。そう決めたカップルが乃木會館を訪れて、成約時にプレゼントされるのがこのiPadだ。乃木會館のプランナー、山本彩乃氏と福地春貴氏によれば、iPadを渡されたカップルは例外なく驚くという。また、乃木會館の総合プロデューサー 小野正子氏は、iPad導入の目的を次のように説明する。

  • 乃木會館 総合プロデューサー 小野正子氏

    乃木會館 総合プロデューサー
    小野正子氏

  • 乃木會館 ブライダルプランナー 山本彩乃氏

    乃木會館 ブライダルプランナー
    山本彩乃氏

  • 乃木會館 ブライダルプランナー 福地春貴氏

    乃木會館 ブライダルプランナー
    福地春貴氏

「成約時にiPadを渡すことは特に公表していません。それは、iPadのプレゼントを打ち出し、乃木會館をアピール・差別化したりすることが目的ではないためです。挙式までには、決めなくてはならないことがたくさんあります。そのため、iPadは書類をまとめるバインダーの代わりとしてご利用いただき、お客様とのコミュニケーションを円滑に進めるためのものです」

乃木會館がiPadの提供を始めてから8か月で、すでに数百台が新郎新婦に渡されているという。乃木會館では、多くの新郎新婦が挙式の7~8か月前に申し込みをして準備を進めるが、その準備期間にiPadが活躍している。このiPadには、iOSアプリケーションであるFileMaker Goがあらかじめインストールされ、挙式準備のためのカスタム Appがいつでも使えるように用意されている。

  • 乃木會館では、成約時、新郎新婦にiPadを渡す

    乃木會館では、成約時、新郎新婦にiPadを渡す

タスクとスケジュールをビジュアル化して共有

まずは、タスクとスケジュールの管理。式の日取りを入力すると、そこから逆算して、いつまでにこのタスクを完了するという項目がカレンダーの形で表示される。実行したことを入力すると、カレンダーに進捗状況のパーセンテージが表示されるほか、状況に応じて色分けもされるので、新郎新婦もプランナーも準備の進み具合がひと目でわかるのだ。

  • FileMakerのカスタム Appでタスクとスケジュールを管理できる
  • FileMakerのカスタム Appでタスクとスケジュールを管理できる
  • FileMakerのカスタム Appでタスクとスケジュールを管理できる

写真をたくさん集めて検討できる

衣装やヘアメイク、装花などは、最終的には新郎新婦とプランナーが相談して決めていくが、そこに至るまでに新郎新婦はWebや雑誌、街角でいろいろなものを見て考える。その際、見つけて気に入ったドレスなどの写真をカスタム Appに保存できるようになっている。

このカスタム Appを使って写真を共有することで、プランナーは新郎新婦の希望を明確に把握して準備や提案ができるようになった。山本氏はほかにも、「写真を見ていると、数か月の間にドレスなどの好みがガラッと変わるお客様もいらっしゃいます。『何があったのだろう』と気を配ることもできますし、コミュニケーションのきっかけにもなるため重宝しています」と語る。

  • 衣装やヘアメイク、装花などもFileMakerのカスタム Appで
  • 衣装やヘアメイク、装花などもFileMakerのカスタム Appで
  • 衣装やヘアメイク、装花などもFileMakerのカスタム Appで

多くの書類もiPadとカスタム Appで整理

挙式までにはたくさんの書類が必要だが、iPadとカスタム Appの導入前は前述したようなさまざまな問題が発生していた。それが導入後は大幅に改善された。書類の多くはこのカスタム Appで共有され、管理できるようになり、新郎新婦の確認が必要な書類は、iPadの画面上で署名できるように作られている。

福地氏は「席次表など、まだ紙ベースで進めていることもあるので、さらにデジタル化を推進したいと思っています。私たちにとっては、事務的な作業が効率化されれば、それだけお客様のために費やせる時間が増え、お客様の望む披露宴を形にしていくことができるからです」と語る。

コミュニケーションの質が大幅に向上

成約から挙式までの間に、新郎新婦が乃木會館を訪れて打ち合わせをするのは平均で3~4回だそうだ。この期間中、新郎新婦はカスタム Appでタスクを確認・入力したり、写真を保存したりして、プランナーはそれを随時確認する。こうして前提条件、進捗状況、新郎新婦の希望などの概要が、すでに共有された状態で対面での打ち合わせができるのだ。そのため打ち合わせの密度が以前より濃くなり、コミュニケーションの質が大幅に向上したという。

「ほかにも、カスタム Appの情報はプランナー全員が参照できるようになっています。そのため、お客様が急ぎの連絡をした際、担当のプランナーが不在でもほかのプランナーが適切に対応することができます。このような体制・仕組みづくりは、お客様の“安心感”にもつながっています」(山本氏)

コミュニケーションが向上したのは、新郎新婦との間だけではない。披露宴に関わる多くの業者との打ち合わせにもカスタム Appが活用されている。プランナーは、新郎新婦がカスタム Appに保存した写真などを業者と共有して要望を伝え、より良いものを作り上げていくことが可能なのだ。

  • プランナー用のカスタム App画面。新郎新婦の情報をいつでも確認することができる
  • プランナー用のカスタム App画面。新郎新婦の情報をいつでも確認することができる
  • プランナー用のカスタム App画面。新郎新婦の情報をいつでも確認することができる

  • 新郎新婦用のカスタム App画面。衣装や装花などの写真を保存し事前共有することができる
  • 新郎新婦用のカスタム App画面。衣装や装花などの写真を保存し事前共有することができる
  • 新郎新婦用のカスタム App画面。衣装や装花などの写真を保存し事前共有することができる

一般のお客様が利用するカスタム Appという試み

乃木會館のカスタム Appは、FileMaker Business Allianceパートナーである株式会社U-NEXUSが開発している。同社は多くの企業のカスタム Appを手がけているが、乃木會館のカスタム Appには初の試みがあったという。

株式会社U-NEXUS 専務取締役 横田志幸氏

株式会社U-NEXUS 専務取締役 横田志幸氏

「これまでFileMakerプラットフォームで開発してきた業務システムでは、カスタム Appを使うのは基本的に企業内の社員ユーザでした。しかし、このカスタム Appは主に一般のお客様である新郎新婦が利用します。これは弊社としては初めてのことでした。また、新郎新婦が利用するので乃木會館様のイメージに合うものでなければなりません。そこで弊社がワイヤーフレームを作り、乃木會館様のWebサイトなどを担当しているデザイナーの方に、ユーザインターフェイスを調整していただきました」と語るのは、株式会社U-NEXUS 専務取締役の横田志幸氏だ。

カスタム Appの稼働後は、実際に利用した新郎新婦の声を乃木會館からヒアリングし、その後の改修に生かしているそうだ。

データの活用、可能性はまだまだ広がる

本稼働から数か月が経ち、「新郎新婦とのコミュニケーションの質を高める」「業者とのやり取りを簡略化する」という第一段階の目的は達成した乃木會館だが、ここがゴールではないと小野氏は言う。

「どんどんデータが蓄積していきますから、今後はお客様のご希望や傾向を分析して魅力的な商品開発につなげていきたいと考えています。また、成約前の見積りや会場の空き状況もFileMakerプラットフォームで連携し、さらにお客様にご満足いただけるようにしていきたいです」

晴れの日に向けて新郎新婦が安心感を持ちながら希望をかなえていくために、FileMakerプラットフォームでの情報共有は、今後もさらに大きな役割を果たしていきそうだ。

[PR]提供: ファイルメーカー