2018年12月よりBS・110度CSによる4K・8K放送(新4K・8K衛星放送)が始まるのをご存知ですか?
特にその中でも、8Kは現在放送されているハイビジョン(2K)番組の16倍もの解像度を持つ、超高精細な映像規格。その映像は、至近距離から画面を見ても液晶のドットがわからないほど精細で、本当の現実世界と認識してしまうほどのリアリズムを体験できるといわれています。
そんな人間の視覚にも迫るリアリティを表現できるこの技術は、今後世の中をどのように変えていくのでしょうか?
この疑問を解決すべく、マイナビニュースは8Kを経営の柱に据えている「シャープ」に取材を敢行。超高精細技術がもたらす可能性や8K対応テレビ「AQUOS 8K」の開発秘話などについて、同社スマートTVシステム事業本部の西本佳生さんにお話を伺いました。
8Kは家庭用テレビ画質の最終形?実物と見分けがつかないほどのリアリズム
西本さんによると8Kというのは、現在考えられている 家庭用テレビ画質のほぼ最終形とのこと。8K以上の解像度になると、人間の肉眼では実物と見分けがつかなくなるため、それ以上画素数を大きくしてもヒトが感じるリアリティは高まらないのだそうです。
本物の蝶の標本と、それを映し出した8K映像を並べて見比べるとほとんど見分けがつかないほどのクオリティーです。思わず手を伸ばしたくなる、本物が目の前にあるイメージ。4Kテレビに近づくとドットが見えますが、8Kはそれがまったく見えないほどの高精細さです。 |
シャープは、2015年に業務用の85インチ8K液晶テレビを製品化し、2017年12月には70インチのコンシューマー向けを発売しました。一般向けに8Kテレビを発売しているのは、現時点ではシャープ1社。他社に先駆け、 最先端の映像技術である8Kテレビに取り組む理由を西本さんはこう話します。
感動していただける映像とは、実物と見分けがつかないほどの『臨場感・実物感・立体感』を実現した映像だと考えています。その感動をお客様へ届けたい。『AQUOS』ブランドは『液晶のシャープ』と言われた弊社の技術と熱意を注いで挑んでいる分野です。 |
8Kの活用法とは?高解像度の映像で医療・防犯・スポーツが変わる
今年12月から家庭でも楽しめるようになる8K映像ですが、放送分野以外でもさまざまな活用方法が期待されています。例えば広告分野や設計・デザインの現場での活用、医療や防犯、監視分野での8K高精細システム実装など多岐に渡ると西本さんは言います。
たとえば外科の内視鏡手術では、これまでのモニターでは見えなかった0.02ミリほどの手術糸でも8Kモニターならしっかり確認できます。患者さんの体内の組織や質感もわかるので、手術の安全性は格段に高まります。他にもスタジアムの監視・防犯システムへの採用やデザイン・設計などの分野で有効活用が見込まれています。 |
また、エンターテイメントの世界では、やはりスポーツ中継に注目。8K映像で体験できる感動と興奮を、西本さんは次のように語りました。
たとえば8K映像によるサッカー中継は、これまでには見たことのない別次元の世界です。8Kの映像は、通常のテレビ放送と違って、遠目の引きの映像で映しても選手がくっきりと見え、映像がつぶれることがないので俯瞰の画が特に活きます。肉眼で見るのと同じような視野角で楽しめるので、まるでスタジアムにいるような体験ができます。 |
その他にも空撮やゲーム、観光用のプロモーションビデオなど、8K映像による再現性や臨場感は、さまざまな分野で活用が期待されているとのことです。
史上初の技術が凝縮!シャープ「AQUOS 8K」誕生秘話
現在はAQUOS 8Kの商品企画を担当している西本さんですが、それまでのキャリアとしては入社以来ずっと営業畑を歩んできました。仕様を決めていく過程では、常に“商品を買っていただくお客様の顔”、そして“売っていただくご販売店様の顔”を思い浮かべています。そのことが今の所属部署における自身の強みであり、積んできた経験を商品に反映させることに仕事のやりがいを感じていると西本さんは話します。
シャープにとってAQUOSというのはやはり会社の顔のひとつですからね。さらに、8Kテレビというのは、業界の中でもフラッグシップ。市場を作っていく商品に携われるというのは、仕事に取り組む原動力にもなっています。こうした社会インフラとも言えるソリューション事業に関われることを誇りに感じています。 |
しかし、やりがいがある一方で製品化までは険しい道のりだったといいます。苦労したエピソードを訊ねたところ「すべてが大変だった」と西本さんは振り返ります。というのも、すべてが"史上初"の技術。製品化に至るまでの どの工程を取っても前例がなく、チャレンジの連続だったと明かします。
中でも非常に困難だったのは量産化。まず、8Kの膨大な情報を処理するためのLSI(大規模集積回路)が世の中にありませんでした。テレビが発する熱量も非常に大きく、2015年に発売した業務用の8Kモニターでは熱処理のために11個の冷却ファンを使用していました。重さも100キロ近くありました。 |
その他にも消費電力量の削減などの課題がありましたが、1つ1つ取り組んだ結果、回路の集約化などにより冷却ファンの数はゼロに。内部基盤のサイズは従来の1/3、消費電力量も1/3にまで抑えることに成功しました。
絵作りには、シャープが考える「思わず手を伸ばしたくなるような映像」を実現するためのチューニングを入念に行っています。実際に膨大な数の映像を人間の目で見て、自然な映像になるよう調整を繰り返しました。 |
製品誕生の背景には、こうした技術の積み重ねと絵作りにかける匠たちの熱い思いがあったのでした。
8Kでこれまでにない感動の映像体験を
2020年に総世帯の約50%で4K8K放送を視聴可能にするという目標を掲げている政府。8Kテレビの普及に向け、ラインアップを広げることはもちろん、 対応の周辺機器も含めたトータルで8Kオーディオビジュアルワールドを展開していきます。
今はまだ手が届きやすい価格とまでは言えない「AQUOS 8K」ですが、1人でも多くのお客様にこの映像体験を届けたいと思っています。量販店などの店頭はもちろん、新放送開始に向けてNHK様と共同でカウントダウンイベント等も多数実施します。ぜひ足を運んでいただき、これまでになかった臨場感を体感してください。 |
創業者の早川徳次氏が説いた「他社にまねされるような商品をつくれ」の精神で、業界をリードする独創的な商品を世に送り出してきたシャープ。同社が注力する8Kには、暮らしを変える可能性を秘めたイノベーティブなテクノロジーがたくさん詰まっていました。
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