一世を風靡し、PCの世代を塗り替えたインテルのCPU「Core 2 Duo」が発売されたのが2006年。新アーキテクチャの採用と、デュアルコアへ躍進を遂げたことでの大幅な性能向上に合わせて、PCを購入した人も多かったことだろう。

Core 2 Duo搭載機の性能は、当時はもちろんのこと、現在でもOSを動作させるレベルなら、まだまだ実用レベルといえる。しかし、5年の歳月の間にハードウェアも、アプリケーションから要求される処理能力も大きく変化した。クアッドコアも当たり前の存在となり、PC自体の価格も下がっている現在、買い替えで得られるメリットは大きい。とはいえ、現状でも使用できているPCをわざわざ買い替えることには、二の足を踏んでしまいがちだろう。

そこで、そんな方に注目してほしいポイントが、消費電力だ。冷蔵庫やエアコンなどの白物家電がそうであるように、PCも世代が交代すれば、処理能力上昇と同時に消費電力にも差が生まれる。2006年当時のPCより2011年現在のPCのほうが、よりパワフルで省エネルギー設計なのだ。また3月の東北地方太平洋沖地震の被害により、節電が呼びかけられており、ハードウェアだけでなくOSなどのソフトウェア面からも、さまざまな省電力への取り組みが行われている。

というわけで今回のレビューでは最新PCだけでなく、比較用のCore 2 Duo搭載機を用意した。まずはツクモのBTOブランド「eX.computer」で注目度の高い最新PCの内容から確認していこう。

エアロストリーム RM5J-C34/S(カスタマイズモデル)
検証用のCore 2 Duo搭載機

ツクモのハイパフォーマンスミニタワー「RM5J-C34/S」

最初にご紹介するのは、老舗PCパーツショップ「TSUKUMO(ツクモ)」で発売されている、「エアロストリーム」シリーズのミニタワーモデル「RM5J-C34/S」をカスタマイズしたPCだ。

カスタマイズ箇所は、CPU、メモリ、OS、電源、CPUクーラーの5箇所。CPUはインテル"Sandy Bridge"の現行最上位モデルとなる「Core i7 2600K」を搭載。メモリはDDR3-1333 8GB(4GB×2)、OSは「Windows 7 Professional SP1(64bit)」が採用されている。グラフィックスカードは搭載しないので、チップセットはグラフィックス機能を備えたH67 Expressだ。CPUが「Core i7 2600"K"」なので、内蔵グラフィックスはワンランク上の「インテル HD 3000 Graphics」となる。

■RM5J-C34/S(カスタマイズモデル)の主な仕様 [CPU] Core i7-2600K(クアッドコア/定格3.4GHz)   [メモリ] 8GB(4GB×2)   [チップセット] インテル H67 Express   [HDD] 1TB   [光学ドライブ] DVDスーパーマルチ(DVD±R 2層書込み対応)   [グラフィックス] インテル HD 3000 Graphics   [電源] 定格500W(80PLUS BRONZE対応)   [OS] Windows 7 Professional SP1(64bit版)   [価格] 83,679円(税込) ※9月12日現在  
マイクロATXサイズのミニタワーを採用。フロントのUSB 2.0/マイク・ヘッドフォン端子は中央電源ボタン横のパネル内となる
背面の様子。リアファンは12cm。内蔵グラフィックスを使用しているため、拡張スロットはすべて空いており、シンプルだ
左サイドのパネルを開けた様子。BTOオプションでサイドフロータイプのThermaltake製CPUクーラー(Silent 1156)に変更されている
リアパネルの端子群。USB 3.0端子も用意されている。デジタル映像出力はDVIのみなのでHDMIを使いたい人は変換端子を接続しよう
さらに詳しく内部を確認しよう。マザーボードはMSI製の「H67MA-S01(B3)」を使用。すべてPCI-Expressスロットなのが潔い
電源にはTopower「Silent Green 500W(TOP-500D-B)」を採用。変換効率の良い電源に与えられる「80PLUS BRONZE」に認定されている

また、電気機器の省電力プログラムである「80PLUS BRONZE」に認定された550W(定格 500W)電源を搭載。さらに、冷却性能を高めるべく、CPUクーラーにはヒートパイプ式のサイドフロータイプが採用されており、熱暴走の心配も無用だ。実用性を重視しつつ、消費電力に気を使った構成といえるだろう。もしさらに動作の快適度と節電効果をアップしたいなら、BTOカスタマイズでSSDを導入すると非常に効果的だ。なお、「RM5J-C34/S」の「Windows エクスペリエンス インデックス スコア」は基本スコアは「5.9」、プロセッサ/メモリは「7.6」、グラフィックスはともに「6.4」となった。

内蔵グラフィックスを利用していながらも、グラフィックススコアは2項目ともに「6.4」という優秀な値だ

名作「Core 2 Duo」を搭載した検証用ミニタワー

続いては、比較用として編集部のインテル Core 2 Duo搭載機を再構築した、自作PCだ。可能な限り「RM5J-C34/S」購入費用と同額に近い当時のパーツを使用したつもりだが、何ぶん5年の月日が経ってしまっているため、Core 2世代の新旧パーツが混在してしまっている点はご容赦いただきたい。

CPUには発売当時25,000円程度で販売されたインテル「Core 2 Duo E6300」を用意。OSは当時主流だった「Windows XP」だ。もちろん32bit版なので、メモリは3.2GB程度しか扱えないため、DDR2-667 4GB(2GB×2)を搭載。グラフィックスは「RM5J-C34/S」同様に内蔵グラフィックスを利用することとし、チップセットはG965 Expressを選択した。内蔵グラフィックスは「インテル GMA X3000」だ。電源のみ少々新しめの、2009年に発売されたGIGABYTE製550W(定格450W)を使用している。

■検証用Core 2 Duo搭載機の主な仕様 [CPU] Core 2 Duo E6300(デュアルコア/定格1.86GHz)   [メモリ] 4GB(2GB×2)   [チップセット] インテル G965 Express   [HDD] 250GB   [光学ドライブ] DVDスーパーマルチ(DVD±R 2層書込み対応)   [グラフィックス] インテル GMA X3000   [電源] 定格450W(80PLUS BRONZE対応)   [OS] Windows XP(32bit版)  
シンプルなミニタワーケースに「Core 2 Duo E6300」を搭載した自作機。前面パネルに設けられた通気口の、開口部の少なさがちょっと心配だ
Core 2 Duo搭載機内部の様子。マザーボードは、今となっては目にする機会も少なくなったAOpen製。ロゴだけでも懐かしい

次ページで、早速この2台を比較検証していくことにしよう。