「『働く』をもっとおもしろくする」をミッションに掲げ、企業研修事業を手掛けるFCEトレーニング・カンパニーは、そのミッションの本気度を裏付けるように、Great Place to Work(GPTW) Institute Japanが運営する「働きがいのある会社ランキング」を8年連続で受賞している。しかし、FCEトレーニング・カンパニー 取締役副社長 藤原覚也氏は「設立時はボロボロの状態だった」と語る。なぜ、そんな状態だった会社がベストカンパニーとして連続表彰されるまでに至ったのか。そのコツは、メンバー育成を効果的に行うことだという。

11月26日に開催された「マイナビニュースフォーラム 働き方改革Day 2020 Nov. 変化に対応して成果を出し続ける組織とは」に登壇した藤原氏は、成果を出し続ける人財育成のポイントを解説した。

藤原覚也氏

FCEトレーニング・カンパニー 取締役副社長 藤原覚也氏

ボロボロの状態でも働きがいを感じられる会社だった理由

2012年。親会社がリーマンショックのあおりを受けて民事再生し、子会社であったFCEグループ(FCEエデュケーションとFCEトレーニング・カンパニー)は、グループ単体での継続という選択によって、何とか生きながらえている状態だった。当時について藤原氏は「オフィスや給与など、働く環境全てに対して社員が不満を持っており、何から手を着けたら良いのかまったく見当がつかなかった」と振り返る。

そこで考えたのが、GPTWへの応募だった。ただし、「働きがいのある会社ランキング」で表彰されることを目指すのではなく、国内ベストカンパニーの平均値と比較して客観的に自社の状況を判断することが目的だ。ベストカンパニーの平均値と最も差がある項目から改善していこうという算段である。

しかし結果はなぜか、25名~99名の小規模部門で第8位という好成績。「上司への信頼(尊敬)」と「メンバー各々の働きがい」という2項目の評価がずば抜けて高いポイントだったため、ほかの項目のポイントは低かったもののランクインすることができたのだ。

これら2つの項目が高い評価を受けた理由について藤原氏は、世界的ベストセラーとなった書籍『7つの習慣』を基にした管理職向けの研修を導入していたこと、そして「ライフプラン面談」を実施していたことの2点を挙げる。

FCEグループでは現在、全員が『7つの習慣』研修を受講し、毎年課題図書として『7つの習慣』を掲げて勉強を続けている。これにより、今取り組んでいる仕事が自身のミッションとどのようにつながっているのかを考える習慣、そして社員間での共通言語ができていることが、上司への信頼感を醸成しているのである。

また、ライフプラン面談では、従業員の理想の人生設計図を基に「自分のありたい姿」と「会社の目指す姿」の重なっている部分を徹底的に洗い出すことで、個人としての働きがいを明らかにしているという。

「創業者は自分のありたい姿と会社の目指す姿がほとんど重なっているために、大きな働きがいを感じられます。新入社員は、これらが分かれているので働きがいを感じづらいわけです。自分のありたい姿と会社の目指す方向性がつながれば、仕事に対する姿勢は大きく変わります」(藤原氏)