グーグルは1月24日、2016年のインバウンドに関連した検索トレンドの説明会を開催した。
訪日外国人数は東日本大震災が発生した2011年の622万人を底に年々増加しており、昨年は11月までで2199万人と驚異的な伸びを記録している(日本政府観光局調べ)。これに合わせてGoogle検索でも日本への旅行に関連するキーワード検索が増加しており、特徴的な傾向をグーグルがまとめた。
「埼玉」が急上昇した理由
グーグルでグローバルエクスパンションチームのシニアエクスポートコンサルタントを務める香川 美奈氏によると、旅行関連のキーワード検索数は対前年比で26%。香港の24%、韓国の16%など、他国との比較でも日本の成長率は高い(検索実数は非公開)。このデータでフランスが前年比マイナス成長となっていたのは、2015年11月に発生したパリの同時多発テロの影響によるものとされている。なお、グーグルが定義する旅行関連キーワードは「Flight to ◯◯(地名)」や「Hotel in ◯◯」「酒店 ◯◯(酒店は中国におけるホテルの意)」など。
より細かい国内の地名検索では、首都の東京が前年度に引き続き1位だったほか、2位「広島」、3位「銀座」、4位「埼玉」、5位「大阪」と続いた。銀座については上位で唯一のマイナス成長となる-22%だったが、原因は不明。一方4位の埼玉は、98%と高い成長率で前年の14位から大幅ランクアップを果たした。これについて香川氏は「ワンパンマンという漫画でサイタマというキャラクターが出てくるらしく、恐らくその影響」と笑いながら語っていた。補足すると、こちらのランキングは旅行関連検索ではなく単純な地名検索によるものであるため、このような結果となったそうだ。
なお、香港や台湾で利用されている中国語(繁体字)や韓国語のランキングも公開。こちらは両者とも1位が大阪となっていたが、「中国や韓国では関西国際空港からの訪日客が多く、その傾向にあったものではないか」(香川氏)としていた。また、ランキング上位にこそ食い込めなかったが、中国語では「霧島」や「高松」が、韓国語では「登別温泉」や「有馬温泉」が高い成長率を記録している。「中国語では清水寺や大阪城などの具体的な観光名所の検索も多い。一方の韓国は、温泉街の検索ワードが増加している」(香川氏)。
現地でスポット探し、Near Me検索とは?
近年の旅行では、デジタルの接触ポイントが増えているとGoogleは指摘。日々、スマートフォンという入口を通してWebを閲覧することが当たり前な世の中になりつつあるが、それは旅行時も同じだという。
トレンドを可視化するためにGoogleは4カ月で3回、旅に出たウィリアムさんの行動を調査。これによると、旅行関連で実に7000回もスマートフォン上で検索や現地の写真確認、SNS閲覧などを行っていたそうだ。しかも、Web登場以前であれば旅行ガイドを購入して一度に旅程を決めていたケースも多かったが、「デジタルでのトレンドは、前もって準備するというよりも、1日に思い立ったときに行動している」(香川氏)。これは、スマホを頻繁に確認する現代の利用シーンそのものと言えるだろう。
この説を補足するように、Euromonitor Internationalが調査したオンライン旅行市場ではPC上の旅行予約が減少、2020年にはスマートフォン経由の予約が完全に上回る見通しだという。また、「Google検索」自体もモバイルシフトが鮮明になっており、旅行関連検索は対前年比38%の成長を見せる。
「両者に共通するのはアジアが特にモバイルファーストということ。米国や欧州よりもモバイル予約比率が高く、中国はすでに53%がモバイルで日本も31%。検索についても、グローバルのモバイル検索比率が平均で43%であるのに対し、APACでは55%、インドネシアやマレーシアが高い割合であるほか、日本も63%がモバイル」(香川氏)
このほか、Googleによる面白いデータとしては「Near Me検索」の増加がある。