クラウド型人事ソリューション「Workdayヒューマンキャピタルマネジメント(HCM)」を中核にビジネス展開する米Workdayは10月10日(米国時間)、同社の年次カンファレンス「Workday Rising 2017」を開催し、その基調講演のなかで分析ソリューション「Workdayプリズムアナリティクス」およびDaaSアプリケーション「Workdayベンチマーキング」を発表した。

前者は、Workdayのプラットフォーム上にある社内データと外部から取り込んだ社外データを統合・分析できるというもの。一方後者は、Workdayのコミュニティが持つ各種データを自社のベンチマークに活用できるサービスとなっている。

米Workdayの日本法人であるワークデイは10月26日、これらの製品・サービスについて記者説明会を開催した。説明会には、米Workday HCM プロダクトマネジメントディレクター宇田川博文氏が登壇し、Workday Rising 2017の報告と共に両ソリューションの概要、そしてWorkdayの目指す方向性が語られた。

多くの国内企業が勘違い!? ERPが持つ「本来の役割」

Workday Risingでは、基調講演の冒頭で「今年の顧客満足度」を発表するのが恒例だ。顧客満足度を重視するWorkdayでは、95%を最低ラインに据えている。宇田川氏によれば、「今年も98%と高い数値を記録した」という。

米Workday HCM プロダクトマネジメントディレクター宇田川博文氏

これに貢献するのが、Workdayの掲げる製品コンセプト「Power of 1」である。同コンセプトの下、全ての機能は単一のプラットフォーム上で、同じコードライン、同じセキュリティモデルで提供される。常に全てのユーザーが同じバージョンを利用することから、顧客自身も積極的にユーザーコミュニティに参加し、製品をより使いやすくするためにさまざまな提案を行うのが特長だ。

宇田川氏は、「企業は今、ビジネストレンドと技術革新の『交差点』に立っています」と表現する。ビジネスの世界が目まぐるしく変化する一方で、ITの世界ではクラウドやAI(人工知能)といったイノベーションの波が押し寄せている。「これらの両方をカバーするように進化を重ねているのがWorkday」(同氏)というわけだ。

「Workdayと言うと人事システムのイメージが強いかもしれませんが、我々は真の意味でのERPベンダーを目指しています。日本ではERPは『基幹業務システム』などと意訳され、基本業務を回すためのものだとされていますが、本来的には『企業のリソース配置を最適化し、ビジネスを前進させる方法を計画するもの』です」(宇田川氏)

海外の企業では、経営者がビジネス上の判断をするためにERPを導入・活用するが、日本では人事部門や会計部門の現場担当者が、自社の給与計算や仕分けといった業務に適用していくためにカスタマイズしていく。そもそもの発想が「この時点で違う」と宇田川氏は指摘する。「計画・実行・分析」というビジネスのPDCAサイクルをよりスピーディーに回す方法、これを考えるために使われるのが、ERPの正しい姿というわけだ。

とは言え、旧来のオンプレミスのシステムではそうした仕組みを実現することが現実的ではなかった。だからこそ、Workdayは創業時、クラウドに狙いを定めたのだという。

2005年、米国で創業したWorkdayは、同年に提供開始したWorkday HCMに始まり、2008年には会計ソリューション「Workdayファイナンシャルマネジメント」、2016年には企業の財務・人材計画を支援する「Workdayプランニング」と、ビジネスを支えるさまざまな機能を順次発表してきた。今では、世界で約1,800社、総計2,600万人の従業員が利用している。

Workdayでは「計画・実行・分析」を具現化する機能が1つのプラットフォーム上で提供される

「『人事システムを中心に、企業のビジネスの進め方を抜本的に変えていく』というのが、Workdayの創業時からのミッションです。そして今年、Workday Risingで発表したソリューションによって、ミッションの達成に向けた新たなページを開くことになります」(宇田川氏)