いきなり機種変更するのにはハードルが高いスマートフォンだが、気軽にスマートフォンを試したいという人におすすめなのが、「IIJmio高速モバイル/Dサービス」という月額945円(記事内の料金は全て税込み表示)から利用可能なSIMカードを提供するサービスだ。本稿では、IIJmio高速モバイル/Dサービスの内容と特長を紹介していく。
IIJmio高速モバイル/Dサービスとは?
まず、IIJmio高速モバイル/Dサービスについて簡単に見ていこう。IIJmio高速モバイル/Dサービスは、インターネットプロバイダとしては老舗で法人や官公庁に強いことに定評のある株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)が提供する高速モバイル通信サービス。MVNO(Mobile Virtual Network Operator)と呼ばれる方式でサービスが提供されていて、NTTドコモのLTE/3G網を利用したデータ通信用のSIMカードを格安の利用料金で提供するというものだ。
通信キャリアでスマートフォンを契約するのとは異なり、SIMカードのみが提供されるため、端末は自身で用意する必要があるが、家族が以前使っていたスマートフォンなどを使うことで初期費用を抑えて、高速通信とスマートフォンを気軽に試せるのが特長だ。対応端末は、ドコモのスマートフォンやSIMフリー端末となっていて、これらは中古携帯端末としても多く販売されているため、端末の入手で困ることはないだろう。
データ通信用のSIMカードであるため、NTTドコモなどのキャリアが提供する090~、080~などで始まる音声通話はできないが、インターネットやメール、SNSなどのアプリはもちろん利用可能。通話用の携帯電話とは別に、データ通信用としてスマートフォンを持ちたいときにも最適だ。なお、050IP電話サービスを使えば、同サービスでも音声通話が利用できる。これらのサービスをうまく活用すれば格安でスマートフォンを運用することも可能だ。
IIJmio高速モバイル/Dサービスには3つのプランが用意されており、もっとも低料金なのが月額945円の「ミニマムスタートプラン」だ。ミニマムスタートプランでは、通常時の通信速度が上り下り最大200kbpsとなっているが、あらかじめ毎月500MB分のクーポン(高速通信を利用する権利)が付いており、これを使うことで、下り最大112.5Mbps、上り最大37.5Mbpsの高速通信が利用できる。料金を低額に抑えつつ、外出先でマップを閲覧したいときなど、必要に応じて高速通信を利用できるのが特長だ。
付属するクーポンは6月1日から8月31日までは、キャンペーン特典として提供されるが、9月1日以降も同じ容量のクーポンがバンドルされる。つまり、毎月500MBのバンドルクーポンがサービスの正式仕様となるのだ。こういったユーザー目線に合わせた仕様変更は非常にうれしい。加えて、500MBを使い切った場合は、525円/100MBで追加クーポンを購入することも可能(毎月最大3GB分まで)だ。なお、バンドルクーポンは有効期限が翌月末となっている。
IIJmio高速モバイル/Dサービスのどこがお得?
次に、IIJmio高速モバイル/Dサービスがどのくらいお得か、という点について見てみよう。ドコモのLTEサービス「Xi」では、定額制のもっとも安いデータプラン(Xiデータプラン ライトにねん)で月額4,935円となっている。このプランでは毎月3GBまでの高速通信が利用可能で、データ使用量が超過すると、通信速度が上り下り最大128kbpsに制限される。
これに対して、IIJmio高速モバイル/Dサービスのミニマムスタートプランでは、クーポン適用によって高速通信が利用できるのは毎月500MBまでとなるものの、月額945円とかなり安い。さらに、通常時の通信速度は上り下り最大200kbpsとなっている。IIJmio高速モバイル/Dサービスがどれほどお得か、おわかりいただけると思う。
また、MVNO方式のサービスは各社より複数提供されているが、ここではNTTコミュニケーションズの「OCN モバイル エントリー d LTE 980」とミニマムスタートプランを比較してみよう。
IIJmio高速モバイル/Dサービス ミニマムスタートプラン | OCN モバイル エントリー d LTE 980 | |
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初期費用 | 3,150円 | 3,150円 |
月額料金 | 945円 | 980円 |
通信速度 | 下り最大112.5Mbps/上り最大37.5Mbps | 下り最大112.5Mbps/上り最大37.5Mbps |
高速通信の使用量上限 | 月間500MB(クーポンで付与) | 1日30MB |
高速通信の使用量追加 | 525円/100MB(最大3GB) | 不可 |
制限時の通信速度 | 最大200kbps | 最大200kbps |
SIMカードの種類 | 標準SIM、micro SIM、nano SIM | 標準SIM、micro SIM、nano SIM |
高速/低速の通信制御 | 可能(アプリ「IIJmioクーポンスイッチ」またはWebから) | 不可 |
余ったクーポンの繰越し | 翌月末日まで繰越し可能 | 不可 |
■ 「IIJmio高速モバイル/Dサービス ミニマムスタートプラン」と「OCN モバイル エントリー d LTE 980」の比較 |
OCN モバイル エントリー d LTE 980は、IIJmio高速モバイル/Dサービスと同様に、ドコモのLTE網を利用できる通信サービスとなっており、月額料金は980円だ。下り最大112.5Mbps、上り最大37.5Mbpsの高速通信を利用可能だが、高速通信を利用できるのは1日30MBまで。超過すると通信速度が最大200kbpsに制限される。
クーポンを使うIIJmio高速モバイル/Dサービスと異なり、1日ごとの制限となっているため簡単には比較できないが、月間では実質的に約900MBまでの高速通信を利用できることになる。しかし、現実的にデータ使用量が「毎日いつも30MB前後」といったような使い方は、あまり考えづらい。「今日は高速でいっぱい使いたい」といった日によって使用量に偏りが出てくるであろう実際の利用シーンを考えると、IIJmio高速モバイル/Dサービスのほうが、より高速通信を満喫できると思われる。
さらに、IIJmio高速モバイル/Dサービスでは、iOS/Android向けに「IIJmioクーポンスイッチ(みおぽん)」という便利なアプリケーションが用意されている。同アプリは、高速通信用データ量(クーポン)の有効/無効を切り替えるためのアプリケーション。クーポンを持っている場合に、任意のタイミングで通信速度を切り替えることができる。例えば、メールやTwitterなどを利用する場合はクーポンを節約するため低速に設定、地図や動画を利用するときだけ高速に設定するといった使い方が可能。節約したクーポンは、翌月まで持ち越せる点もポイントだ。
ここまで述べてきたように、月額料金が945円と安く、使いたいときに高速通信を使えるのが、IIJmio高速モバイル/Dサービスのミニマムスタートプランの魅力といえる。
使い方に応じて選べる3プラン
IIJmio高速モバイル/Dサービスでは、ユーザーニーズに合わせた料金プランが設定されている。前述の通り3つのプランが用意されており、使い方に応じてプランを選択できる。ミニマムスタートプランのほかに用意されているのが、「ライトスタートプラン」と「ファミリーシェアプラン」だ。ライトスタートプランは月額料金1,974円となっていて、毎月2GBのハンドルクーポンが付与される。
また、ファミリーシェアプランは、最大3枚のSIMカードが使える月額2,940円のプラン。ライトスタートプランと同じく毎月2GBのハンドルクーポンが付与され、高速通信のデータ使用量を複数の端末でシェアできるのが特長だ。家族でデータ使用量をシェアしたり、個人でスマートフォンとタブレットを何台も使い分けるなど、さまざまな使い方が考えられるだろう。
なお、「ライトスタートプラン」と「ファミリーシェアプラン」についても毎月のバンドルクーポンを1GBから2GBへ増量するキャンペーンを実施中だ。もちろんこのキャンペーン内容も、2013年9月1日以降は正式なサービス仕様となる。
IIJmio高速モバイル/Dサービスでは、MVNOでは珍しくプランの変更ができるのも特長となっている。プラン変更は無料で手続きできるので、柔軟にプランを変えて高速通信を楽しめる。ただし、ファミリーシェアプランへのプラン変更する際にSIMカードを追加したりする場合は、SIMカード追加手数料として2,100円が必要となる。
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ドコモのLTE網を格安の月額料金で利用できるIIJmio高速モバイル/Dサービスは、スマートフォンを試してみたい人や、携帯電話とは別にデータ通信用のスマートフォンを持ちたい人に最適だ。月額945円のミニマムスタートプランでは、増量先取りキャンペーンにより、6月1日からは月間500MBのハンドルクーポンが付与され、高速通信を追加料金不要で利用可能となっている。「OCN モバイル エントリー d LTE 980」といった他社サービスと比較しても料金面や実際の利用シーンでのメリットが大きく、数多いMVNOサービスの中でもとくにおすすめだ。