既報の通り米Squareがスマートフォンを使ってクレジットカード決済ができるサービスを日本国内で展開すると発表した。同サービスを利用することで、中小事業者や個人商店でも、簡単にクレジットカード決済に対応できるようになる。

Squareのジャック・ドーシーCEO(左)と三井住友カードの島田秀男社長

Squareは、Twitterの開発者で共同設立者のジャック・ドーシーが2009年に起業した会社。社名と同じSquareという決済サービスを展開している。今回、Squareのジャック・ドーシーCEOと三井住友カードの島田秀男社長が同サービスについて説明した。

SquareレジアプリとSquareリーダーを使うことで、スマートフォン・タブレットをすぐにクレジットカード対応POSレジとして利用できる

Squareは、スマートフォンのイヤホンジャックに挿入する正方形のカード読み取り機と専用アプリを使ったサービス。クレジットカード対応のPOSレジがなくても、iPhoneでクレジットカード決済を行うことができる。海外では米国・カナダでサービスを展開。スターバックスが全米7,000店舗で導入するなど、中小規模事業者や個人商店、医師・看護師といった幅広い分野で利用されている。現時点で米国では300万以上、カナダをあわせると420万以上の加盟店があり、米国での年間取扱高は150億ドルに達しているという。

ドーシー氏が紹介したSquare加盟店のコーヒー店Sightglass。サンフランシスコで屋台のコーヒー店から始め、Squareを導入。その後店舗を構えるようになったそうだ

ドーシー氏は、「商品を売りたい人が、全てクレジットカードで販売できるようにしたかった」とSquare設立の動機を語る。通常クレジットカードサービスを提供するには、POSレジを始め、さまざまな機械を導入し、信用調査を経た上で利用可能になる。そこで同氏はSquareでは、よりシンプルに、より手ごろな価格で利用できるようにしたかったと話す。

Squareの特徴は、名前と住所など、簡単な情報を送るだけで、無料でクレジットカードに対応できる点。読み取り機「Squareリーダー」とアプリ「Squareレジ」は無料で利用でき、手元にiOS/Android搭載のスマートフォンやタブレット端末があれば、追加コストなく、クレジットカード決済が利用できるようになる。

クレジットカード対応にはさまざまなハードルがあった

Squareでは、高価な機器は不要で、すでに手元にあるiOS/Androidスマートフォン・タブレットだけでクレジットカード決済に対応できる

アプリ「Squareレジ」は、あらかじめ商品名と値段を登録しておくか、販売のつどに値段を入力して、最後にクレジットカードをSquareリーダーに通す。あとはスマートフォン・タブレットの画面上にサインをして決済が行われる。この時、通信が行われるため、スマートフォン・タブレット側には通信環境が必要となり、その通信料金は必要だが、Square側への支払いはない。最終的に客の電話番号かEメールアドレスを入力してもらえば、レシートの発行も可能だ。

実際の利用シーン(コーヒー店)。あらかじめ登録した商品を選択し、クレジットカード決済を選択してカードをリーダーに通す

カードが承認されたら、画面上にサインを行い、最後にレシートを発行する

クレジットカード利用の手数料は3.25%で、これは通常のクレジットカード決済の手数料に比べると低価格。中小・個人事業主でも比較的対応しやすい金額に抑えたのだという。 日本国内では三井住友カードがSquareに1,000万ドルを出資して戦略的パートナーとなってビジネスを推進していく意向で、三井住友カードの島田秀男社長は、トランザクション処理などを自動化することでコストを抑えることで、この3.25%を実現したと説明する。なお、3.25%はSquareリーダーを使った場合で、カード情報を手動入力した場合は3.75%となる。対応クレジットカードは、当初VISA/MasterCardのみで、ほかのブランドのカードに関しては今後拡大していく。