8月1日にドコモから2012年夏モデルの一つとして発売された「らくらくスマートフォン」。これまでドコモが販売してきた「らくらくホン」シリーズの後継機種であり、その名の通り、従来のスマートフォンよりも簡単かつ楽に使えることを売りにしている。主なターゲットは、初めてスマートフォンを持つ中高年層だ。

しかしこのらくらくスマートフォン、その尖ったコンセプトゆえに発表当初はネットユーザーの間で少々物議をかもした。というのも、OSにAndroidを搭載しているにもかかわらず、Googleアカウントの登録を行わないため、後からアプリを追加でインストールすることができないのだ。

それって本当に"スマートフォン"といえるのか?

今回、らくらくスマートフォンを手にする機会を得たので、実際の使い勝手を確認しつつ、改めて"スマートフォンとは何ぞや"という点について考えてみたい。

らくらくスマートフォン。スライドする方向がわかりやすく示されている

スマートフォンの定義を再確認

Wikipediaで「スマートフォン」の項目を見ると「インターネットとの親和性が高く、パソコンの機能をベースとして作られた多機能携帯電話・PHS」と解説されており、さらに「電話・メールの他にPDA機能が付いた多機能携帯電話」との説明もある。

ちなみにPDAとは、スケジュールやToDo、住所録、ネットへのアクセスといった機能を備えた小型電子機器のこと。ここに電話とメール機能をつければ、現代におけるスマートフォンの完成である。この定義で見る限り、らくらくスマートフォンはスマートフォンに分類して差し支えなさそうだ。

らくらくスマートフォンの基本機能と注目機能

実際、らくらくスマートフォンには、通常のスマートフォンが備える基本的な機能はほぼすべて搭載されている。メイン画面を見てみると、そこには「電話」「メール」はもちろん、「インターネット」「地図」「カレンダー」「カメラ」「目覚まし」といったアイコンがずらりと並んでおり、見当たらないのは「ToDo」くらいだ。

最初に設定する項目は身長体重と生年月日のみ。歩数計などの健康系機能で使用する

機能は十分だが、これまでのスマートフォンとはレイアウトがかなり異なる

注目すべきはこれらのアイコンがすべて1ページで収まっていることと、縦スクロールのみで横への画面移動がないこと。上下左右の操作を捨て、上下のみに特化している。これはどちらかといえばフィーチャーフォンに近い操作感である。

メイン画面を開いて最初に目に入るのは、「電話」「メール」「電話帳」、そしてよく電話する連絡先をあらかじめ登録しておくことでワンタッチで発信できる「緊急発信」のアイコンだ。仮にユーザーがスマートフォン自体に飽きてしまったとしても、電話とメールだけは連絡手段として使い続ける人がほとんどだろうから、この配置は理にかなっている。

最初は見えないが、スクロールすると見えてくる第2のエリア。「しゃべってコンシェル」も搭載

さらにメニューを下へとスクロールしていくと、「インターネット」「カメラ」「ビデオ」「地図」「目覚まし」……と続き、「設定」「自分の電話番号」「らくらくホンセンター」といった、設定やヘルプ回りのアイコンが登場する。「Map」ではなく「地図」、「アラーム」ではなく「目覚まし」という表記になっているのも高齢者に対する配慮だろう。細かいが重要なところだ。

また、サポートセンターへの連絡がワンタッチで行えるのにも感心した。ネットだとわからないことはたいていの場合「ググれ」の一言で片付けられてしまうが、らくらくスマートフォンのユーザーにそれを求めるのは難しい。

地図はここまで拡大できる

カメラのインターフェースも非常にシンプル。ズームはピンチ操作でも行えるが、あえてプラスマイナスボタンを配置

そしてこのエリアを越えると、やっとアプリエリアの登場だ。