前回、「ノートン2010」に導入された革新的セキュリティ技術"Quorum(クォーラム)"レピュテーションについて紹介を行ってきた。"Quorum(クォーラム)"レピュテーションとは、インターネット上のクラウドを用いて、ファイルやアプリケーションの制作日時、ダウンロード元、デジタル署名、普及度など、数十に及ぶ特徴を記録し、それらの情報を収集することによって最新のウイルスの脅威に対抗するというものだ。とかく"Quorum(クォーラム)"レピュテーションに注目が集まりがちだが、「ノートン2010」の技術革新はそれのみではない。本稿では、それらの要素について紹介していくとともに、実際にユーザーがどのような場面で利便性、快適性、安心感を得ることができるのか、そのシチュエーションを織り交ぜながら紐解いていくとしよう。

刷新されたパッケージも浸透しつつある「ノートン2010」

コンピュータ全体でのCPU負荷状況や「ノートン2010」がCPUに掛けている負荷も一目瞭然なインタフェース。革新的な"Quorum(クォーラム)"レピュテーション以外にも「ノートン2010」には注目すべき要素が満載されている

パフォーマンスのチューニングにより実現した快適性と無機質なユーザーエクスペリエンスからの脱却

インターネットセキュリティ対策ソフトウェアを導入するにあたって、ユーザーの大多数が気になるのが快適性だろう。せっかくセキュリティソフトを導入してもマシンに過度の負荷を与えてしまい、アプリケーションを起動しようと思っても"もっさり"した動作にうんざり……。かく言う筆者も、一昔前まではそのように思っていた。悪意あるプログラムからの脅威に対して安心を得るということは、多かれ少なかれ快適性が損なわれるものなのだ、と。だが、「ノートン2010」は徹底的な動作パフォーマンスの改善が施され、安全性向上のために快適性をトレードオフしない。事実、第三者機関PassMark Software(2009年9月に実施。詳細PDFはこちら)の手によってセキュリティ対策ソフトウェアがもたらすPCのパフォーマンスへの影響調査でも、メモリ使用量の少なさ、スキャンに掛かる時間の短さなどが実証されている。

内容はすべて英文となるが、どのような環境・テスト方法で比較されたのか記述されている。写真はスキャンスピードの他社製品との比較結果をグラフにしたもの(PassMark Software実施)

また、快適性と同様に重要な要素となってくるのが、理解しやすいインタフェース、情報、ユーザーエクスペリエンスだろう。自分のPCを保護してもらっていてもどのようなカタチで保護されているのか、どんなリスクに晒されているのかがひと目でわかるインタフェース。その実装はもちろん、提供してくれる情報量が「ノートン2010」には豊富に用意されている。

例えば、ネット上からダウンロードしたファイルの安全性、信頼性を診断する[ダウンロードインサイト]において、どの程度のユーザーがダウンロードしているのか、ウイルスの類ではないという信憑性は本当にあるのかを示唆する適度な情報をユーザーに与えてくれるのだ。単に「このファイルは危険です!」と警告されても、何がどのように危険なのか知ることができないのでは意味がない。リスクのあるファイルすべてを「危険です!」と警告するのではなく、「安全であることがわかるまでこのファイルを使わないことを推奨します」とクールに通知する。お仕着せではないユーザーに促す注意喚起の方法にも好感を覚えた。

「Notron2010」は、そんな"おもてなし"の精神が盛り込まれたコンピュータソフトウェアらしからぬ"有機質"な点を持っているのだ。確かな安全性を確保しながらも不確定な部分はちゃんと「白か黒か判りません。グレーですよ!」とユーザーに最終的な判断を委ねてくれる。「ノートン2010」は、本当の意味で"コンピュータウイルスに対する意識改革"を促すツールであると言えるのではないだろうか。

単純に「危険」と警告するだけではなく、世界各国にいる「ノートン」ユーザーのなかで何名が同じファイルをダウンロードしたかをユーザーに知らせてくれることによって、ネット上で得たファイルが本当に安全・信頼できるのかを、自分自身で考える動機付けの役割を担ってくれる

[ファイルインサイト]の詳細画面では、[ダウンロードインサイト]同様に"どれだけのユーザー"が利用しているか、"ファイルの更新日"により最新の脅威の可能性の有無、"ノートンの判断"という異なる方向性でもファイルの安全性を確認することができる

「ノートン2010」の真髄は快適・安全性のみにあらず。悪意あるプログラムへ興味を持つという意識改革にあり!

ウイルスのパターンファイルを逐一更新する必要なく、クラウド上に蓄積されたデータを基に「評価=レピュテーション」するという技術を用いて迫り来る脅威を防ぐ。当然、PCの動作環境を損なうこともない。ファイルやアプリケーションの配布元や信頼性を確認できる[ファイルインサイト]、ダウンロードしたファイルのリスクを分析して警告する[ダウンロードインサイト]、PCとアプリケーションのパフォーマンスを維持・向上させる[システムインサイト]、日々誕生し続ける新たな脅威に対応する[インサイトネットワークスキャン]といった機能群は、ごく日常的なPC利用シーンでその恩恵を享受することだろう。

普段何気なくインターネットで検索し、自分が欲する情報を探す際にも「ノートン2010」はユーザーに降りかかるリスクを低減するよう工夫がなされている。写真のように[サイトの安全性]という評価軸を参考に本当にアクセスしてよいのかを判断する材料となってくれる

「ノートン2010」の特筆すべき点は、確かな安全性を確保しながらもその存在を感じさせずに、まさに"縁の下の力持ち"としてユーザーを支えてくれる部分にある。加えて、「今ダウンロードしてきたファイル、アクセスしたWebサイトは安全なのだろうか?」という「興味=アテンション」をユーザー自身に抱かせる仕組みが随所にちりばめられており、それに対する回答や情報がきちんと用意されている。

コンピュータウイルス対策ソフトウェアという範疇を超え、身に迫る脅威をユーザー自身の肌身に感じさせることによって、セキュリティへの意識をより一層高める効果も期待できるソフトウェアと呼べるだろう。