年々大型化しているスマートフォンの画面サイズですが、その大型化の先駆者といえるのがサムスンです。2011年に発売された「Galaxy Note」は、当時4インチ台の画面サイズが当たり前だった時代に5.3インチで登場。「こんな大きいスマホ、誰も使わない」などと揶揄されましたが、蓋を開けてみれば大ヒット。これ以降、各社の大画面化は一気に進んでいきました。そんな中、2019年には折り畳みスマートフォン「Galaxy Fold」を登場させ、開けば小型タブレットになるというスマートフォンのさらなる大画面化を実現しました。

ところがこのサムスンを越える大画面スマートフォンが4月に発表されたのです。vivoの「vivo X Note」は7インチのスマートフォン、そして「vivo X Find」は開くと8.03インチの折りたたみモデルです。

  • vivo X Foldとvivo X Noteが海外で発表された

スマートフォンの画面サイズは「iPhone 13 Pro Max」やサムスンの「Galaxy S22 Ultra」が6.8インチ、2020年登場の「Galaxy Note20 Ultra 5G」が6.9インチと、大画面といっても7インチ以下のものがほとんどでした。これは7インチを超えると本体の横幅が大きくなり、片手では持ちにくくなってしまうからです。

  • Galaxy S22 Ultraは6.8インチで横幅77.9mm。これくらいが片手で持てる限界サイズだ

過去にはファーウェイが2018年に7.2インチの「Mate 20 X」を発売し、海外で人気になりましたが、横幅は85.4mmもありました。iPhone 13 Pro Maxが78.1mmですから、かなり幅広です。ファーウェイはその後「Y MAX」「Honor 8X Max」「Honor X30 Max」「Honor X10 Max 5G」など多くの7インチ越えモデルを出していましたが、多くのメーカーは追従しませんでした。

  • 5Gモデルもあった7.2インチのMate 20 X

5Gの高速通信も本格的に始まった2022年、スマートフォンで動画を見ることはもはや当たり前になりました。しかもわざわざデータをダウンロードする必要はなく、ストリーミングサービスで映画やドラマも自在に視聴できます。動画を見るならばより大きい画面のスマートフォンが欲しい、と考える人の数は大幅に増えているでしょう。「大画面なら別にタブレットを買えばいい」という考えもありますが、身軽に出かけたいときにタブレットは大きすぎますし、混雑した電車の中でタブレットをカバンから取り出すのも面倒です。

vivo X Noteはそのような動画需要にマッチしたスマートフォンと言えるでしょう。片手で持つにはやや大きいかもしれませんが、一度7インチの大画面で動画を見始めたら、もうそれ未満の画面サイズのスマートフォンを使おうとは思わなくなるかもしれません。

  • 大きいサイズだが動画を見るには最適のvivo X Note

折り畳みスマートフォンが出てきた理由も、普段は普通のスマートフォンとして使い、動画などを見るときは大きい画面で楽しみたい、という人が増えているからでしょう。今は折りたたみスマートフォンはサムスン以外にもファーウェイ、シャオミ、OPPO、Honorなどが出しており、vivoはvivo X Noteと同時に自社初となる「vivo X Find」を発表しました。

  • ついにvivoからも登場した折り畳みスマートフォン、vivo X Find

vivo X Findの画面サイズは閉じたときが6.53インチ、開いたときが8.03インチとなります。他社の折り畳みスマートフォンの開いたときの画面サイズは、サムスンとOPPOが7インチ台、ファーウェイ、シャオミ、Honorが8インチ台。これまでの最大サイズはシャオミ「Mi MIX Fold」の8.02インチでしたが、vivo X Findは0.01インチとわずかながらもそれを越え「世界最大サイズ」の折り畳みスマートフォンとなりました。なお閉じた時の画面サイズでもvivo X FindはMi MIX Foldの6.52インチを超えています。

  • 閉じても開いてもvivo X Findの画面サイズは折りたたみスマートフォンの中で最大だ

vivo X Noteはストレート形状で最大級、vivo X Findは折りたたみ型で最大サイズと、vivoは現在発売されているスマートフォンの中で最も大きいサイズの製品を2つも揃えることになりました。vivoは日本に参入していないためどんなメーカーでどんな品揃えがあるのか日本ではあまり知られていませんが、グローバルではサムスン、Apple、シャオミに次ぐ4位の座を常にOPPOと争っている大メーカーです。

  • IDCのスマートフォン出荷量調査。vivoはOPPOと4位を争っている

vivoの現行ハイエンドモデル「X70」シリーズはソニーのXperiaと同様に、カールツアイスと提携したカメラを搭載していますし、上位モデルには独自に開発した画像処理チップ「V1」を搭載。また手ぶれを強力に防ぐマイクロジンバルを世界初搭載するなど、カメラ性能に優れた製品を展開しています。とはいえ他のメーカーも近年のカメラ性能は大きく高まっています。

  • ジンバルや独自チップなどvivoのカメラフォン最上位機種の性能は高い

カメラ以外で他社と差別化するにはどうするか、その答えの一つが今回の2つの新製品なのでしょう。そもそも新製品の「Note」「Fold」の名称は元々サムスンが使い始めたものです。vivo X Noteの背面をよく見ると革を縫い付けたような糸目が見えますが、これも元々はサムスンが過去のGalaxy Noteに採用したデザインです。

  • 背面の表面処理も過去のGalaxy Noteを思い出させる

今のところvivo X Noteとvivo X Findは中国国内のみの発売ですが、グローバル市場に投入されたら大きな話題になるでしょうね。日本ではあまり知られていないvivoですが、特徴的な製品を次々と発売しているのです。