高級家電を展開するバルミューダからスマートフォン「BALMUDA Phone」が発表されました。同社はスマートフォンなどIT製品を展開するブランドとして新たにバルミューダテクノロジーズを立ち上げ、スマートフォンだけではなくその先の製品展開も考えているとのことです。バルミューダと言えば2015年に3万円もするトースターを発売し世間を驚かせましたが、今では製品の種類も増やし多くのユーザーから支持を得ています。

  • バルミューダから登場した「BALMUDA Phone」

    バルミューダから登場した「BALMUDA Phone」

BALMUDA Phoneも10万円を超える価格ながら、ハードウェアスペックを見るとチップセットはSnapdragon 765、4.9インチディスプレイ、4,800万画素カメラと、ミドルレンジとエントリーモデルの間というレベル。価格性能比だけを見ると割高です。しかし手のひらで握りやすい本体形状は心地よく、あえて狭いディスプレイにしたことでついつい惰性でSNSを見てしまう習慣を減らすこともできます。余った時間は自分の時間として有意義に活用できるでしょう。

そしてその時間を有効活用できるようにと用意されているのがオリジナルのアプリ。スケジューラーは1年、月、1週間、1日を指先のピンチ操作でスムーズに表示変更できます。今日の予定を見ながら「来週の同じ日も予定を入れられるかな」と思ったら、カレンダーの表示を切り替えるのではなく、カレンダーの画面上で指先をスライドさせるだけでいいのです。また時計アプリもキッチンタイマーやストップウォッチのように視覚的にわかりやすく使いやすいUIになっています。

  • スケジューラーを使ってみた。ピンチ操作で予定を見ながら表示サイズを自在に変えられる

スマートフォンとしてみると価格の高さが気になるBALMUDA Phoneですが、生活の中で無駄な時間が減るのであれば相応の価値はあると言えるかもしれません。また「あのバルミューダのスマートフォンを使ってみたい」と思う人の中には、10万円どころか20万円出してもいい、という意見もあるかもしれませんね。BALMUDA Phoneの本体仕上げは樹脂製のため一見すると高級感に欠けている部分もありますが、これは使い込んでいくうちに味わいのある色に変わっていくとのこと。

つまりBALMUDA Phoneは本体デザインとユーザーエクスペリエンス、そして価格に価値があると考える人向けの製品であり、他のスマートフォンの「何でもできる」「あらゆる人向け」という製品とは一線を画しています。

  • 一般的なスマートフォンと異なるユーザー体験が得られるのがBALMUDA Phoneだ

さてこのBALMUDA Phoneはバルミューダ直販のSIMフリーモデルと、ソフトバンクからという2つのルートで販売されます。ソフトバンク向けの製品ということではなくバルミューダの製品ではありますが、日本全国の販路を考えるとキャリア経由での販売も有効と考えたのでしょう。ただしソフトバンクで買う場合は価格が異なるので注意が必要です。

日本でもBALMUDA Phoneは発表直後から大きく報道され注目を集めていますが、海外でも同様に高い注目を集めています。バルミューダは現在台湾、韓国、アメリカ、ドイツにも展開しており、BALMUDA Phoneの発売を望む声も上がっていることでしょう。日本メーカーのスマートフォンはこの10年でグローバルでの影響力を失ってしまいました。ところが新興のスマートフォンが日本で投入され、海外から羨望の眼差しを受けているのです。

  • バルミューダに続きバルミューダテクノロジーズも海外から注目を集める企業になるだろう

日本メーカーのスマートフォンではありませんが、BALMUDA Phone同様に日本のみで発売になり、海外から注目を集めた製品が2021年はもう1機種登場しました。7月に発売になったライカの「Leitz Phone 1」です。ベースはシャープのAQOUS R6ながらも本体デザインやカメラ回りはライカが手を加えており、手にしてみるとライカの製品と感じさせてくれるスマートフォンです。

Leitz Phone 1は1インチのカメラセンサーを搭載しておりカメラの性能も高く、ライカのスマートフォンにふさわしい性能を持った製品なのです。ライカのカメラを思わせる本体仕上げや、スマートフォンでは初といえるカメラ部分のレンズキャップ、さらにそのキャップに「LEICA」のロゴが入っているなど、モノとしての完成度も優れています。世界中のライカユーザーは日々のコミュニケーションツールとしてスマートフォンを使っているでしょうが、スマートフォンもライカでそろえたいと思う人も多いでしょう。

  • ライカがデザインしたLeitz Phone 1。ベースはAQUOS R6だ

筆者の居住する香港でもLeitz Phone 1は日本から輸入されたものが日本価格より高値で販売されているほどの人気。唯一残念なのはLeitz Phone 1は5Gに対応するものの、香港の5Gでは使えないこと。日本向けの製品とは言え将来は海外でも5Gローミングができる時代になるでしょうから、次のライカのスマートフォンでは世界各国の5Gに対応してほしいもの。そして海外でも販売してほしいものです。

  • 香港の輸入スマホショップで売られるLeitz Phone 1。価格は日本の2−3割増し

高級かつデザインに優れた家電メーカーのスマートフォンと、老舗のカメラメーカーのスマートフォン、ニッチなユーザー向けとはいえ面白い製品が日本から出てくるようになりました。特徴ある製品であれば性能だけではなくブランドやユーザー体験の部分を付加価値として価格に上乗せすることが可能になります。BALMUDA Phoneに続く新しい概念を持ったスマートフォンが来年以降も日本から出てくることに期待したいものです。