ファーウェイから「P50 Pro」が海外で発売になりました。ファーウェイのスマートフォンといえば最強スペック・最高カメラを誇る製品として世界中から注目を集めてきました。P50 Proもそんな過去の評判をそのまま製品にしたような、完成度の高い製品として仕上がっています。筆者も中国で発売になった製品をすぐに入手して日々使っています。

  • ファーウェイ「P50 Pro」

P50 Proは6.6インチディスプレイを搭載しています。側面までディスプレイをカーブさせたエッジデザインと呼ばれる形状をしています。この手の製品は側面の誤タッチが心配だったり、手のひらにディスプレイが当たるため持ちにくいものも多くあります。P50 Proは側面の半分以上を背面側からのフレームが覆っているためホールド感が高く、また本体質量は195gと、200gを切ったため持ちやすくなっています。この「持ちやすさ」はスマートフォンのスペック表に見えない部分ですが、毎日使う上で重視したい部分でしょう。

  • カーブしたディスプレイが手のひらに触れない側面デザイン

購入したモデルの色はゴールド。背面は光沢のある仕上げです。大きな円形のカメラ台座が2つ並ぶデザインはiPhoneなど最近の正方形、または長方形のカメラデザインとは大きく異なる印象で、ちょっとした近未来感を味わえるかもしれません。片側にはトリプルカメラ、もう片側には1つのカメラの合計4つのカメラを搭載しています。

  • 2つの円を配置した特徴あるカメラ周りのデザイン

そのカメラはさすがファーウェイと思わせる高性能なものを搭載しています。

  • メイン:23mm、5,000万画素、F1.8、光学手振れ補正
  • 超広角:13mm、6,400万画素、F2.2
  • モノクロ:26mm、4,000万画素、F1.6
  • 望遠:90mm、6,400万画素、F3.5、光学手振れ補正
  • カメラ部分のアップ。ライカの名前も見える

メインは5,000万画素F1.8と明るく、超広角も6,400万画素と高画質。望遠カメラはペリスコープ方式で、メインカメラに対してデジタル最大100倍のズーム対応、しかも6,400万画素です。さらにモノクロカメラを搭載し色やシャープな表現を補佐しますがこれも4,000万画素。このように4つのカメラすべてが4,000万画素以上のものを搭載しているため、カメラに関してはもはや欠点は無いと言えるでしょう。加えて歴代Pシリーズ同様、ライカが監修しています。

以下は数枚の作例です。

  • 左上から時計回りに1倍 - 3.5倍 - 10倍 - 100倍で撮影

  • モノクロ写真も美しく撮影できる

  • ぐっと寄ってサラダをマクロ気味に撮影

  • 望遠カメラで夜の街中でやや離れた距離からネコを撮影

本体仕様はチップセットがハイシリコンのKirin 9000。昨年のチップセットですが今でも十分な性能を有します。OSはファーウェイ独自のHarmonyOS 2を搭載。この両者の組み合わせにより動作にストレスを感じることはありません。

HarmonyOS 2はAndroid OSがより進化したOSであり、さまざまな面で使い勝手が向上しています。例えば、アプリアイコンとウィジェットが融合されているため、ホーム画面でアプリアイコンを長くタップすると、そのままウィジェットとして貼り付けることができるのです。カメラのアイコンを長く押すと「スナップショット・写真・ビデオ・ポートレート」の4つのショートカットを持ったウィジェットにできます(カメラアプリのアイコンはそのまま残せる)。画面をすっきりさせたければアイコンだけにしておき、即座に様々な操作を行いたいときはウィジェットにして貼り付ける、といった使い分けができるわけです。

  • (右)アプリアイコン。(中)アイコンを長くタップ。(右)ウィジェットができる

またアプリアイコンをまとめたフォルダも拡大表示ができます。するとアイコンの形が見えるのでそのままタップでアプリを起動しやすくなります。アプリが増えすぎてフォルダだらけになっても、アイコンの形がわかるのでどこにどのアプリが入っているかも一目瞭然です。

  • (右)右上にある通常のフォルダ。(中)右上フォルダを拡大表示。(右)拡大フォルダは3x3のアイコンが表示できる

他にも複数のHarmonyOS 2端子間で、同じアプリを起動して簡単に切り替えるといったこともできます。HarmonyOS 2スマートフォン同士なら、お互いのカメラをシェアできます。筆者はファーウェイMate 40 Proも持っているのですが、P50 Pro側からMate 40 Proのカメラをコントロール可能なのです。なお動画を撮っていれば、両者のカメラを切り替えながらつなぎ目のない動画も撮影できます。

  • Mate 40 Pro(左)のカメラを、P50 Pro(右)のカメラアプリから直接利用できる

このように細かいところの使い勝手が高く、異機種間の連携を得意とするHarmonyOS 2ですが、残念ながらGoogleサービスには対応していません。そのためSNSアプリはブラウザで運用しなければならないなど、やや使いにくいところもあります。このあたりは政治的な決着が早くつくのを待つしかありません。ファーウェイのスマートフォン上でもメジャーアプリが使えるようになる日が来ることを切に願っています。

また通信面ではこれもアメリカ政府からの制裁の影響を受け、5Gに非対応で4Gのみという点がちょっと残念です。日本では5Gはまだまだという状況でしょうが、筆者の居住する香港では繁華街のみならず人の多く集まるところはほぼ5Gでカバーされており、日々高速な通信環境を使うことに慣れてしまっています。そのため普段は他の5Gスマートフォンのテザリングを使って高速通信することが多くなっています。

P50 Proの価格は中国で5,988元(約10万2,000円)から。品切れ状態も多くそれだけ中国でも人気製品ということなのでしょう。筆者も使い始めて3週間ほど経ちましたが、カメラ性能については不満が出ることはありません。ただしどうしても普段使っているアプリやサービスは他のスマートフォンに任せる必要があります。数年前のファーウェイのスマートフォンのように、P50 ProでもTwitterなどをそのまま使える日が来ることを祈りながら、今日もP50 Proのカメラで撮影を楽しんでいます。