新型コロナウィルスの影響で世界の経済活動も様々な制約を受けています。しかし中国では5G加入者数の増加が続いており、5Gスマートフォンも毎月新しい製品が次々と発表されています。その中でもファーウェイが6月に発表したサブブランド「Honor」シリーズのコスパ追及モデル、「Honor Play4」シリーズに体温を計れるモデルが登場し話題になっています。

体温計を搭載するモデル「Honor Play4 Pro体温計モデル」はチップセットにファーウェイのスマートフォンの最上位モデルと同じKirin 990を搭載した5G対応のハイスペックな製品です。しかし価格は2,899元(約4万4,000円)からと価格はかなり抑えられています。

  • 温度計搭載モデルもあるHonor Play4 Pro

ディスプレイは6.57インチ2,400×1,080ピクセル、カメラは4,000万画素+800万画素の2つと価格を抑えるために最小限のものを搭載、しかしフロントカメラは3,200万画素+800万画素と他社のスマートフォンより高性能。Honor Playシリーズは若い世代をターゲットにしているため、セルフィー機能を強化しているのです。

体温計を搭載するモデルは価格が100元高いだけの2,999元(約4万5,000円)。カメラの下に赤外線温度計を透視しており、対象物にかざすだけで1秒で温度を画面に表示してくれます。測定可能な温度は下がマイナス20度から上は100度まで。体温計として使うには十分ですし、日常的に温度を計りたいときでもこの範囲なら十分でしょう。夏空の下で駐車中の車の車内温度や真冬の外気温を計ったり、お茶を入れるときの熱湯の温度を計測できるわけです。

  • 背面カメラの下に赤外線の非接触温度計を内蔵している

Honor Play4 Proに温度計を搭載したのは、もちろん新型コロナウィルスの予防対策のため。簡易的でしょうが日常的にちょっと気分が悪いときなど、スマートフォンで体温を計ることができれば健康管理も可能になります。この機能が好評であればいずれは他の製品にも温度計が搭載されるようになるかもしれません。

体温計を搭載した携帯電話は過去にいくつかあったようですが、スマートフォンで温度を計れる製品も実は出ています。いずれもサーモグラフィー機能を搭載した本格的なもので、日本でも発売されているモデルとしてはキャタピラーの「CAT」ブランドのスマートフォンがよく知られています。

「CAT S60」「CAT S61」はどちらもIP68の防水防塵対応、MIL-STD-810G対応でタフなボディーのアクティブ系のスマートフォンです。S60はSoCにSnapdragon 617、4.7インチ1,280×720ピクセルディスプレイ、1,300万画素カメラ。CATS61はSnapdragon 630、5.2インチ1,920×1,080ピクセルディスプレイに1,600万画素カメラを搭載。どちらもスマートフォンの性能としてはミッドレンジクラスです。

  • キャタピラーブランドスマホの最上位モデル、S61

日本ではS60が2017年10月、S61が2020年2月に発売になりました。サーマルイメージングカメラ大手のフリアーシステムズ(FLIR)の赤外線カメラを搭載しており、画面を見ながら対象物の温度を表示してくれます。S60はマイナス20度から120度まで、S61はマイナス20度から400度まで測定できます。

  • スマホの画面がサーモグラフィーになる。温度を直接表示できる

ただしどちらのモデルもプロユースのため価格は高く、現行モデルのS61の価格は10万円を超えています。サーモグラフィー機能を個人で利用したいのならば、旧モデルであるS60の中古を買うのが現実的でしょう。S60の中古品はオークションで4万円程度で取引されています。

  • CAT S60は3年前のモデルなので中古なら入手しやすい

海外ではサーモグラフィー搭載で手ごろな価格のスマートフォンが販売されています。Blackviewの「BV9800 Pro」は499.99ドル(約5万3,000円)ながらCATのS60シリーズと同じFLIRのサーマルイメージングカメラを搭載しています。Blackviewは過去にプロジェクターを内蔵したスマートフォン「MAX1」を発売しましたが、ちょっと変わった機能を搭載した製品を得意とするようです。

スペックはSoCがHelio P70、6.3インチ2,340×1,080ピクセルディスプレイ、4,800万画素カメラ、6,580mAhの超大型バッテリーも搭載します。IP68に加え防塵対応となるIP69K、そしてMIL-STD-810Gに対応したタフな製品です。本体デザインもマイナーなメーカーの製品とは思えぬちょっとスタイリッシュな外観です。

  • 5万円台のサーモグラフィー搭載スマホ、BV9800 Pro

また最新モデルとして「BV9900 Pro」も発売。549.99ドル(約5万8,000円)でSoCをHelio P90に強化。ディスプレイは5.84インチ2,280×1,080、バッテリーも4,380mAhと若干小型化されていますが、BV9800 Proよりスリムなボディーなのでタウンユースにも使えるでしょう。

  • 上位モデルのBV9900 Pro

しかしこれらのスマートフォンは体温測定という日常的な利用に対して、温度計や本体の強さなどはオーバースペック。もう少し手軽に体温を計れるスマートフォンをどこかのメーカーが出してほしいもの。そういえば2013年に発売されたサムスンの「Galaxy S4」には気温を計る温度計が内蔵されていましたが、この1機種だけに搭載は終わっています。ぜひサムスンの最新Galaxyに体温計の搭載をお願いしたいものです。

  • 体温測定用にはオーバースペック。手軽に使えるスマホが欲しい