スイスのPunkt.はシンプルなデザインを取り入れたIT系製品を展開するメーカーです。2015年には携帯電話「MP01」を発売。スマートフォン全盛の時代にあえて通話とSMS用という2G対応の携帯電話を投入したことで注目を集めました。とはいえ2G(GSM)のみ対応だったことから日本では使えず、あまり大きな話題にもなりませんでした。
しかし2018年、4Gに対応した「MP02」を発売。日本でも2019年になりプラススタイル(+Style)から正式に国内投入されました。ベーシックな機能はそのままに4G対応となった新モデル、ITジャーナリストの富永彩乃氏にその機能や魅力を解説してもらいます。
MP02は通話とメッセージ(SMS)に特化した携帯電話です。同様の機能を持ったシンプル機能の携帯電話は数社から販売されていますが、MP02はその外観や仕上げが大きく異なります。数字キーは円形で、数字や「Punkt.」のロゴは黒いボディーに白文字でいれられています。パッケージも本体写真が掲載されているスリーブに覆われているだけ。余計な説明書きなどはありません。
デザイナーのジャスパー・モリソン氏は、KDDIの「INFOBAR」などのデザインを手掛けてきた深澤直人氏と「スーパーノーマル」と呼ばれるシンプルなデザインを提唱。MP02は日々スマートフォンの通知に追われる人にひと時の安らぎの時間を与えつつ、テザリング機能を搭載するなどスマートフォンとの連携機能も搭載されています。SNSはスマートフォン、通話はMP02、そんな使い分けで日々の生活時間にメリハリをつけることもできるでしょう。
ディスプレイもあえてモノクロ表示で、写真や動画を利用することはできません。一方ではそのディスプレイに表示される書体にまでこだわっているので、文字も読みやすく頭の中にメッセージがダイレクトに伝わってくる、そんな印象を受けるかもしれません。なお日本発売品は日本語にも対応しています。
本体サイズは117×51.3×14.4mm、女性でも楽に片手で持てる大きさです。「最低限の機能のみに絞ったシンプルな作りながらも、UIが分かりやすくてUXデザインがよく考えられている」。触ってみると、そう感じさせてくれます。ジャスパー・モリソン氏は「人にやすらぎと使いやすさを両立させるツール」としてMP02を設計しているのでしょう。
重量はジャスト100g。背面は傾斜したデザインになっており、滑り止め加工もされているので軽く握るだけでしっかりと保持できます。軽く数字キーも押しやすいことから、電話をかけるならスマートフォンよりも使いやすいでしょう。
なかなか魅力的な携帯電話ですが、価格は税込みで44,800円。ミッドレンジのスマートフォンが1台買えてしまう値段です。機能だけを考えればスマートフォンに分が上がるでしょう。しかしMP02はそのデザインのみならず、使うことそのものが人生を快適なものにしてくれる、そう思わせてくれる製品です。
机の上のステーショナリーのデザインやブランドにもこだわっている人は、このMP02をぜひその仲間に入れてほしいもの。またiPhoneを使っている人が2台目の携帯電話として持つのにもいいでしょうね。
あらゆるものがつながる今の時代、デジタルデトックスしたくとも自分の周りの世界は24時間動き続けています。スマートフォンとMP02の2台を持ちながら、SIMカードはMP02に入れて置けば通話とメッセージだけに集中できます。しかしいざスマートフォンが必要のためにもMP02のテザリング機能をONにしておけばスマートフォンでの通信も可能です。MP02があればひとときのデジタルデトックス時間を手軽に取ることができると思いますよ。