最近は大手キャリアの国際ローミング料金が安くなったため、自分のスマートフォンをそのまま海外へもっていくことも楽にできるようになりました。とはいえ格安SIMと呼ばれるMVNOのSIMを使っている人は、従来通りモバイルWi-Fiルーターを借りたり、現地でプリペイドSIMを買う必要があります。

アメリカでも多くのプリペイドSIMが販売されていますが、料金はそれほど安いものではありませんでした。ところがここ1年ほどで料金がぐっと下がり、特にMVNOのプリペイドはデータ定額が登場するなど長期滞在にも適したプランが次々と登場しています。

  • スーパーで売られているアメリカのMVNOのプリペイドSIMとスマートフォン

筆者も数年前はAT&TのプリペイドSIMとモバイルルーターをセットで購入し、5GBで50ドルのプランを維持していました。しかし今では同じ金額でデータ定額を提供しているMVNOキャリアもあるほどで、実質的な料金は値下がっています。それに加えアメリカはプリペイドSIMとプリペイドスマートフォン(SIMロックあり)のセット販売が安く、SIMを買うくらいならついでにスマートフォンを買ってしまったほうがお得感もあります。

  • プリペイドスマートフォンの値引き販売も見かける

アメリカのキャリアの店に行っても、プリペイドスマートフォンはあまり大々的には扱われていません。キャリアは回線契約を行い、また高価なハイエンドスマートフォンを買う消費者が行くようで、プリペイドスマートフォンは家電量販店かドラッグストアに任せているという印象を受けます。

  • アメリカの家電量販店といえばBest Buy

プリペイドスマートフォンの品ぞろえがいいのはやはり大手家電量販店のBest Buy(ベストバイ)でしょう。MNO、MVNO含め各社のプリペイドスマートフォンを取り揃えています。また各社の料金も表示されているのでどれがお得かもわかりやすくなっています。

  • ずらりと並んだプリペイドスマートフォン

アメリカでプリペイドスマートフォンを買っても、今自分のスマートフォンで使っている環境を移行するのは面倒です。特にLINEなどのSNSサービスは同じアカウントを複数の端末に入れられません。アメリカで買った端末にアカウントを移行してしまうと、今使っているスマートフォンのタイムラインのログが消えてしまいます。そこで現地で買ったスマートフォンはGoogleアカウントを入れて地図やメール、検索くらいに使い、あとはテザリング機能をONにしてモバイルWi-Fiルーター代わりにするのがよいでしょう。

アメリカの各社のプリペイドSIMは、テザリングができるものの料金が別だったり、利用データ量に制限があるものもあります。一昔前ならテザリングそのものができないキャリアが多かったのですが、今では比較的自由に使えるようになりました。

  • Virgin Mobileの料金表。「Hotspot」がテザリングの意味

アメリカのMVNOはいくつかありますが、Boost Mobileはテザリングが別料金ではないため使いやすいと思われます。Boost Mobileは親回線がソフトバンクグループのSprint。ちなみに同じSprintを使うMVNOのVirgin Mobileは上の図にあるようにテザリングが1日3ドルかかるので、数日でもかなりの額になってしまいます。またAT&Tを親回線とするCricket Wirelessはテザリング料金が10ドル/月。また10GBを超えると128bpsに速度規制されます。

  • Cricket Wirelessの料金表。Hotspotは月額10ドル

ということで、あくまでも買ったプリペイドスマートフォンをテザリング用途にも使いたい観点から考えると、Boost Mobileがよさそうです。Boost Mobileを含め、アメリカのプリペイドプランは月額制で、数日の滞在でも1か月分の料金を払うことになります。また翌月以降は残高を追加しなければ利用できず、そのまま放置すると回線はキャンセルされます。月額だからと言って毎月払わないと残高がマイナスになって後から請求がくる、ということはありません。

  • 大手キャリアAT&Tの料金表。「/mo」はmonthly(月額)。どのキャリアも類似の課金体型

Boost Mobileの料金を見ると、50ドル/月でデータ定額をイチオシしているようです。このプランでテザリングも可能ですが、テザリングは12GBまで。60ドル/月プランにするとテザリングが30GBに増えますが、出張や旅行で来ているケースならそこまで使うこともないでしょう。一方低料金は35ドル/月で3GBのみ、テザリング利用もそこに含まれます。10日程度の滞在ならこのプランでもなんとかなるでしょう。

  • Boost Mobileの料金表。テザリングの利用可能量も明記

もちろんBoost MobileのプリペイドSIMだけを買って、日本から持ち込んだSIMフリーのスマートフォンに入れれば使うことが可能です。でも日本のスマートフォンはそのままにしておきたい時は、プリペイドスマートフォンのセットを買うのがお得です。SIMカード代金は10ドルしますが、プリペイドスマートフォンの安いものなら30ドルくらいで買えます。つまり実質20ドルで現地スマートフォンを買えるわけです。

  • 30ドルで買えるLGの「Tribe」

スマートフォンは割り切って使うなら30ドル程度の安いもので十分でしょうし、何度もアメリカに行くからちょっと本格的に使いたい、という場合なら100ドルくらいでそれなりの製品も販売されています。たとえば今回(2019年1月)日本でも販売されているLGのスタイラスペン付きスマートフォンとほぼ同じスペックの「LG Stylo 4」なら120ドルで販売されていました。

  • 100ドル程度出すとLGのペン付きスマホやGalaxyの中位モデルが買える

なお購入後の登録はWEBページからも行えます。案内は英語ですが、そもそもアメリカでプリペイドスマートフォンを買おうという人なら、ある程度の英語はできるでしょう。また必要事項を入力するくらいなので、難しいものではありません。アメリカに行く予定のある方はぜひ購入にチャレンジしてみてください。