こんにちは、阿久津です。前回に引き続き、デスクトップ周りの解説を行なう予定でしたが、気になるポイントが見つかりましたので、今回はその検証結果を報告させてください。

Windows 7ベータ版を再インストールし、ダイアログからパーティション操作を行なっていますと、「すべてのWindowsの機能が正常に動作するように、Windowsがシステムファイルに追加のパーティションを作成することがあります」というメッセージに気づきました。そのまま操作を進めますと、200MBのパーティションがディスクの先頭に作成されます(図1~2)。

図1: Windows 7ベータ版のインストーラーでパーティション操作を行ないますと、パーティション操作に関するメッセージが表示されます

図2: ディスクの先頭に、200MBの領域を持つパーティションが自動的に作成されます

この200MBのパーティションは必ず作成されるものではなく、導入時に既存パーティションを削除し、ディスク全体に対して新規パーティションを作成すると生成されます。つまりクリーンインストール時に生成されるということです(図3~4)。

図3: 「ディスクの管理」で確認しますと、200MBのパーティションがディスクの先頭にあるのが確認できます

図4: パーティション操作を行なわずにWindows 7ベータ版を導入しますと、200MBのパーティションは作成されません

「ディスクの管理」で200MBのパーティション内容を確認しますと、使用されているのは約30MB。ファイルシステムはNTFSを使用しています。一時的にドライブ文字を割り当て、パーティションの中身を確認すると「Boot」フォルダや「bootmgr」ファイルなどがありました。これらはWindows Vistaから導入されたBCD(ブート構成データ)関連ファイル以外の何ものでもありません(図5~6)。

図5: パーティションのプロパティダイアログを確認しますと、使用されているのは200MB中30MB程度でした

図6: パーティションの中身を確認しますと、「Boot」フォルダなどが並ぶブート構成データが格納されています

つまり、Windows Vistaでは同一パーティション内で管理されていたブート領域とシステムファイル領域が、Windows 7では別々に管理されるようになり、謎のパーティションはブート領域専用パーティションとして用意された、ということです。また、ブート領域用ファイルはOSが起動してしまえば基本的に必要ないため、ドライブ文字も割り当てられません(設定すれば割り当て可能)。

一見するとムダな領域に思われるかも知れませんが、実はWindows OSのマルチブート環境を構築する方には便利な仕様変更なのです。図7はMicrosoftの開発者向けドキュメントに掲載されているBCDの階層ですが、そもそもBCDは複数のOSを導入できる構成になっています(図7)。

図7: Microsoftの「Boot Configuration Data in Windows Vista」から

もちろんBCDをサポートするWindows OS(Vista、Windows 7)に限定されますが、後から導入したOSのブート領域も、200MBのパーティション内に格納されるため、マルチブート環境を容易に構築できるのです。図8はWindows 7ベータ 32ビット版、および64ビット版、Windows Vista 32ビット版をそれぞれ異なるドライブに導入しましたが、これといったトラブルも発生しませんでした(図8)。

図8: 異なるドライブに各OSを導入してみました。ただしOS名はわかりやすくするため、EasyBCDで変更しています

確かに200MBも必要なのか、と問われれば首を傾げますが、Windows VistaのBitLock機能に必要とされる容量も最終的には改善されましたので、Windows 7 RC版やRTMで改善されるのではないか、と推測します。

ちなみに、OS起動時に[F8]キーを押すと表示される「詳細ブートオプション」には、「コンピューターの修復」が加わりました。ベータ版のせいかマルチブート環境では起動できませんでしたが、通常環境では自動リカバリが動作しました。Windows Vista時代はセットアップDVD-ROMから起動しないと実行できなかった機能が、コンピュータ起動時に選択できるようになり、トラブル発生時の操作も簡単になりそうです。

図9: 画面左はWindows Vistaの、画面右はWindows 7の詳細ブートオプション。ご覧のように「コンピューターの修復」が新たな項目として加わりました

誌面も尽きてきましたので今回はこの辺で。次回は当初予定していたデスクトップ周りの新機能をチェックしていきます。

阿久津良和(Cactus)