サンコーキワモノ……じゃなかった「サンコー 【レアモノ】ショップ」といえば、ちょっと変わったPC系アイテムを開発・販売していることでおなじみだ。そのサンコーのアイテムが本当に使えるのか、本当に便利なのかを、ライターの古田雄介氏が実際に試してみるのがこの連載。今回のアイテムは使える? 使えない? さあどっち!

手軽に出し入れできるノートPC用の防水&防塵パック

Netbookが大流行したことで、パソコンを屋外に持ち出して使うスタイルが以前に増してメジャーになった感がある。イー・モバイルやモバイルWiMAXなどと組み合わせれば、電車で移動中やLANケーブルのない部屋でもネットが利用できるうえ、外回りの休憩にわざわざ公衆無線LANサービスを導入したカフェを探さなくてよくなる。

このようにPC&ネット環境は数年前に比べて劇的にフリーダムな状況になっているが、忘れてはならないのは「パソコンにとって屋外は危険がいっぱい」ということである。室内ならば雨風が防げるのはもちろん、エアコンによって年中快適な温度や湿度が保てる。しかし、屋外では突然夕立に襲われたり、不安定な場所で使って落とすといったトラブルに見舞われる危険が常にある。微細なチリやホコリも精密機器の寿命を縮める原因となるだろう。パソコンが意志を持ったら、モバイル用途は真っ先に「3K職場」扱いするに違いない。

さて、そんな厳しい環境を助けてくれるのが、今回紹介する「雨ニモマケズ塵ニモマケズ」だ。ノートパソコン全体をすっぽり覆って2重ジッパーで止めるソフトビニールケースで、防水防塵効果が期待できる。簡単に言えば、ノートパソコン用のカッパだ。

主な仕様:A4サイズ[対応パソコン]開いた状態でW345×D540mm以内、B5サイズ[対応パソコン]開いた状態でW320×D485mm以内

着脱は簡単だけど、カバー上からタッチパッドが使えない!

雨ニモマケズ塵ニモマケズ(以下、雨ニモ~)は、A4とB5サイズの2タイプがラインナップされており、B5サイズでも12.1型ノートが余裕をもって入れられる。ジッパーを開いて液晶面からノートをすっぽり入れるだけなので、出し入れに手間取ることはない。雨が降りそうな気配がしたら、さっと取り出して使える。しかも、他に開閉部などのデリケートな部分がないので、不要になって片付ける際もある程度ぞんざいに扱えるのがうれしい。

12.1型のレッツノートW7を収納。短辺にある2列のジッパーを開閉するだけでいい

背面に通気口があるため水没した際の浸水は防げないが、雨に降られたりコップを倒したりした程度なら、パソコンを完璧に守れる。また、終日装着しておくと、カバーに付いたホコリから、普段気づかない屋外の脅威を目の当たりにできて楽しい。業界団体の防水防塵規格などは通していないものの、名称のとおりに雨も塵も怖くなるはずだ。

キーボード面に水をこぼしても、本体に浸水しない

晴天の日、雨ニモ~を24時間野ざらしにした。地域や環境に依るが、筆者自宅付近では表面にはティッシュがわずかに黒ずむ程度のホコリが付いていた

では装着時の実用面をみていこう。液晶とキーボード面に接する部分は透明になっているので、装着したままでも画面の視認性が十分に保てる。キートップの刻印も見やすいのでFキーなどの操作にも手間取らないだろう。

視認性は十分に高い。ヒンジ部の半透明エリアが液晶画面にかかっても、ある程度文字が読める

ただし、入力性が著しく落ちるのは否めない。キーボードはカバー越しでも実用レベルのタイプ感が確保されるが、入力時にカバーが引っ張られることで隣のキーまで入力されるミスを起こしやすくなる。そして決定的なのは、カバー越しではタッチパッドがほぼ使えなくなること。クリックボタンはキーボード同様に実用できるが、カーソル移動が必要な場面では苦労を強いられる。

ブラウジングやフォトレタッチなどの操作ではカーソル操作が欠かせないので、ジッパーを開いたままにして片手を中に入れるのが現実的な使い方と思える。幸い、タッチパッドはジッパーのすぐ近くにあるため、カバーにギリギリ入るようなノートPCでない限りは、カーソル操作時だけ片手を入れる使い方にもそれほど無理を感じないはずだ。この使い方でも雨天でも上からの水滴は十分に防げる。手に水滴が付いた場合でも、カバー内の湿気は裏側の通気口から抜けていくので、長期間使い続けても内部の衛生は一定レベルが保てるだろう。

湯船の上や台所の流しの近くなど、水気の多い場所で使うなら、防水仕様の無線マウスを導入し、本体はジッパーを閉じて使うのが無難だ。また、キーボードのショートカットを使いこなしているなら、ジッパーを閉じたままでもWordやExcelが一部を除いてノーマウスで編集できる。どのみち、手放しで本来の機能が利用できないのは悔しい。

カバーの上からはタッチパッドが使えない場合が多い

防水性を多少犠牲にしてでも、ジッパーを開けて片手を入れるほうが便利に使える

拡張性を確保するためにA4サイズを選ぶ手もアリ

もうひとつ気になったのは、ジャストサイズのノートを入れると左右側面の入力端子の使い道が大きく制限される点だ。PCカードスロット型のデータ通信カードはノート本体から2cm程度飛び出すものが多い。8cm近く飛び出すUSBメモリやワンセグチューナーもザラにある。これらを装着した状態では、雨ニモ~も装着に手間取ったり断念しなくてはならない場合があるわけだ。たとえば、データカード経由でメールを送信中に雨が降ってきた際、データカードが引っかかって雨ニモ~に入れられないという悲しい事態に遭遇する可能性が高い。左右どちらか(あるいは両方)にジッパーを付ける設計なら、これらの入力端子を物理的な制約なく使えたと考ると、何とももったいない気持ちになる。

B5サイズに幅272mmのレッツノートW7を入れた。PCカード型の通信カードを装着したままでもどうにか収納できたが、ジッパー部が狭くなるため取り出しには手間取った

打開策のひとつとして、モバイルノートにもあえてA4サイズの雨ニモ~を使う手がある。上下左右の遊びが多くなるため、透明な部分を液晶画面に合わせるのがやや手間取るが、USBメモリやデータカードを余裕で装着できるメリットが得られるのだ。ノートに何かしらの周辺機器を接続して使うことが多い人には、選択肢のひとつとしてオススメしたい。

A4サイズに入れ直すと、上下左右に余裕が増え、PCカード型データカードを挿したままでも、楽に収納できた。ただし、USBメモリを装着したまま入れるほどの余裕はない

上記のように気になる点はあるものの、アバウトな仕様ながら防水できるうえ透明部の視認性が高いことから応用が効きやすい魅力は見逃せない。たとえば、携帯ゲーム機やケータイも両手をすっぽりなかに入れて操作できるので、雨天でもモバイルガジェットが安心して扱える。書籍も文庫本程度の大きさなら、B5サイズの雨ニモ~に入れて両手でページをめくりながら普段の感じで読むことができた。

直販価格は両サイズともに1980円から特価の980円にダウンしている。1000円以下で買えるなら、手元用のカッパとしてカバンに常備しておくのも悪くないだろう。晴天の多い季節でも、砂塵や花粉からモバイルガジェットを十分に守ってくれる。

B5サイズの雨ニモ~のなかで文庫本を読んでみたが、視認性が確保されているので、予想以上に便利だった

■仕様
製品名 雨ニモマケズ塵ニモマケズ(A4サイズ)WTRPRFA4、雨ニモマケズ塵ニモマケズ(B5サイズ)WTRPRFB5
直販価格 両サイズとも980円