Squareは5月9日に決済プラットフォームのAPI開放を発表した。公開されたAPIは下記の6機能だ。
EコマースAPI
POS API
reporting API
items API
employees API
顧客情報管理・連携API
スモールビジネスの決済を手軽に、簡潔にしたいという目標からジャック・ドーシーとジム・マッケルビーが立ち上げたSquare。日本でも営業部隊を持たない中で着実に全国へSquareを採用している会社が増えている。そうした中でAPIを公開した理由、それぞれの活用例について、同社日本法人 ビジネスディベロップメント リードの伊佐山 礼文氏に話を聞いた。
Squareの本質は「POSレジ」ではない
これまでも同社は、部分競合するAirレジとの提携など、パートナーシップを通した決済システムの提供を行ってきた。一方で今回の発表はAPIを公開することで、より自由度の高いサードパーティによるSquareの各種APIを利用したサービス展開が可能となる。第一弾として、エスキュービズム「Orange Operation」とフォウカス「poscube」、ユビレジ「Ubiregi」がPOS APIと連携している。
2016年2月に米国で公開してから1年強、これまでのSquareのサービス成長、展開と同様に「アメリカで先行してサービス展開し、完成度を高めてから他国へ展開している」と伊佐山氏。例えば事業者がブラウザのみで決済が可能となる「ブラウザ決済」は半年で日本市場へ投入できた。
APIの公開は、同時に「Square」という名前を面と向かって見る機会が減る。営業部隊を持たないSquareにとって露出が減ることは、サービス導入の起点があいまいな中小企業が中心の同社にとって必ずしもプラスではないように映る。
しかし伊佐山氏は「私たちの目的は、Squareのミッションである商売の開業から運営、成長のサポートにあります。もちろん、私たちのツールを利用していただくことも目的の一つですが、APIを提供することでサポートできる顧客の選択肢は広がりますし、自由度も高まるはずです」と話す。
例えば、Squareはグローバルプロダクトとしてローカライズは基本的に言語の最適化のみ。もちろん、要望などは吸い上げられるものの、UI・UXの設計は統一されている。それが同社の強みであり、弱みでもあって、日本企業の細かいニーズに対応できないケースが出てくることもある。
「これまで私たちのフォーカスする中小企業ではない顧客、例えば大規模事業者のPOSの決済にAPIを利用していただいたり、あるいは業界特化型のPOSアプリもさまざまなベンダーさんが提供されています。そうした形でサポートできるのであれば、私たちの目標は達成できています。チョイスが広がるという事実が大切なんです」(伊佐山氏)
中小企業がビジネスに集中できる環境を、決済にとどまらないSquare
POS APIとEコマース APIについては、その名の通り、そのままSquareの決済機能をPOSやECサイトのバックエンドに組み込めるものだが、一般的なSquareのイメージからやや離れて、抽象的なネーミングの「reporting API」と「items API」「employees API」「顧客情報管理・連携API」については活用イメージが付きにくい。