暮らしの中でふと出てくるいろいろなお悩み、家電を利用して解決できることは多いもの。IT・家電ジャーナリストで家電製品総合アドバイザーの安蔵靖志さんに、おすすめ家電や使い方を紹介してもらいます。
今回のご相談
暑い日が続いたかと思ったら急に冷え込んできて、空気の乾燥も気になるようになりました。加湿器が欲しいのですが、以前から加湿機能付きの空気清浄機も気になっていました。加湿だけでなくほかの機能も搭載する、お得感のある家電ってありますか?(40代・男性)
シャープの除加湿空気清浄機「KI-PD50」(実勢価格:63,000円前後)をおすすめします
乾燥しやすい冬に人気なのが「加湿器」ですが、さらにおすすめなのが加湿機能と空気清浄機を一体化させた「加湿空気清浄機」です。年間を通して空気清浄機として使えるだけでなく、冬の乾燥しやすい時期には加湿器としても活躍します。
とはいえ、加湿機能が活躍するのは冬場だけ。今回紹介するシャープの「KI-PD50」は、加湿だけでなく「除湿」もできる、空気清浄機の全部入りともいえるモデルです。設置する部屋の広さとしては、約10畳がおすすめとされています。
- 最大400mL/hで加湿してくれる
- 生乾き臭を抑える衣類乾燥や、部屋の除湿に活用できる
- コンパクトで移動しやすく、お手入れもラク
【ポイント1】最大400mL/hで加湿してくれる
加湿量は最大400mL/hで、加湿器としての適用床面積はプレハブ洋室で11畳、木造和室で7畳です。加湿器としては決して大きな加湿量ではないため、広めのリビングルームで使う場合には物足りなさを感じるかもしれません。
一方で、タンク内の水をフィルターに通して気化させる「気化式」のため、水を超音波で破砕してミストにする「超音波式」のように床が濡れるようなことはないですし、水を沸騰させて湯気として出す「スチーム式」のように壁紙などをふやけさせるようなこともありません。加湿機能としては水蒸気の質と省エネ性のバランスが良好です。
水タンク(除湿/加湿一体型トレー)の容量は約2L。最大加湿量の場合で約5時間、弱モード(加湿量約100mL/h)で約20時間の連続加湿が可能です。
【ポイント2】生乾き臭を抑える衣類乾燥や、部屋の除湿に活用できる
除加湿空気清浄機の特徴は「衣類乾燥除湿」機能があること。加湿空気清浄機との大きな違いでもあります。
KI-PD50は、コンプレッサーで室内の空気を冷やして結露させ、水として取り出す「コンプレッサー方式」を採用。除湿能力は東日本(50Hz地域)で約5L/日、西日本(60Hz地域)で約5.6L/日です。消費電力は東日本(50Hz地域)で200W(1時間あたり約5.4円)、西日本(60Hz地域)で210W(同約5.7円)と、省エネ性能が高いのもコンプレッサー方式の魅力です。
本体には、前方に風を集中させて衣類をすばやく乾燥させるスイングルーバーを備え、角度は「下向き」「上向き」「広角」の3種類。広角を選ぶと、好みの角度にルーバーを設定できます。部屋干しで気になる生乾き臭を抑えるプラズマクラスター25000も搭載しているのも注目ポイントです。目安として、2kgの衣類を乾かす時間は約165分となっており、スタンダートな衣類乾燥除湿機レベルの除湿機能を備えています。
【ポイント3】コンパクトで移動しやすく、お手入れもラク
除加湿空気清浄機というと、以前は空気清浄機のさらに上のモデルといった位置付けでした。性能は高いものの、サイズもかなり大きかったものです。しかし、KI-PD50は幅350×奥行き285×高さ656mmと、空気清浄機としても比較的コンパクトなサイズ。リビングなどに常時設置して使うものなので、タワー型で省スペースなのは大きな魅力です。
空気清浄機や加湿器としてはあまり本体を移動する必要はありませんが、除湿機として使うときは、家の中で湿度の高い場所や部屋干しする場所に持っていって使うことが多いもの。その点でも、KI-PD50はキャスターを搭載しているため、持ち運びがしやすくなっています。
KI-PD50の加湿・除湿機能は、除湿と加湿が一体型のトレー。本体側面からさっと取り出して排水トレーから水を捨てたり、加湿トレーに水を入れたりできます。タンク式ではないため、本体を倒すと水がこぼれてしまう危険性はあるものの、ヤカンなどを使って簡単に給水できるのは魅力的なところです。
ちなみに集じん・脱臭一体型フィルターの交換目安は約2年、加湿フィルターは約5年、水トレーのヌメリやニオイを抑えるAg+イオンカートリッジは約1年となっています。「10年交換不要」をうたう空気清浄機などと比べると交換頻度は高めですが、通常のお手入れは背面パネルのプレフィルターを1カ月に1回掃除する程度。3枚同梱されている「使い捨てプレフィルター」ははがして捨てるだけなので、お手入れもしやすくなっています。
コロナ禍によって、加湿性能や空気清浄性能の高い上位モデルの空気清浄機が大ヒットしました。しかしそれらは5万円を優に超え、10万円前後のモデルもたくさんあります。そんな中で除湿機能も搭載しているKI-PD50はコスパもなかなかの1台です。
こんな「加湿+α」の家電もおすすめ
■部屋を暖めつつ加湿もしてくれるセラミックファンヒーター
パナソニック「DS-FKX1206」(実勢価格:25,000円前後)
エアコンのない部屋や脱衣所など、さまざまな場所で活躍するセラミックファンヒーターに加湿機能を搭載したモデル。温風「強」+加湿「連続」モードの場合、東日本(50Hz地域)で600mL/h(消費電力は1,200W)、西日本(60Hz地域)で580mL/h(同1,170W)と、パワフルな加湿量を実現しています。ただし消費電力が大きいので(強モード時の電気料金目安は1時間あたり約33.8円)、その点は注意が必要です。
人センサーと室温センサー、湿度センサーという3つのセンサーを搭載しており、人の動きを検知すると温風オン、いなくなるとオフにする機能、そして暖めすぎを防ぐ機能なども備えています。部屋全体を暖めるために常時使うのはおすすめできませんが、脱衣所などでスポット的に利用するには使い勝手の良いモデルです。また、除菌や脱臭効果が期待できるナノイーXを放出する機能も備えています。
■サーキュレーターが合体した加湿空気清浄機
アイリスオーヤマ「CHA-A55」(直販価格:49,280円)
タワー型の本体上部にサーキュレーターを搭載した加湿空気清浄機です。年間を通して空気清浄機能として使えるだけでなく、エアコンの風を循環させたり、部屋をすばやく換気したりするサーキュレーターとして活用できます。
除湿機能は搭載していませんが、空気清浄の運転モードは3段階(ターボ・標準・静音)、首振り機能は30・60・90度の設定が可能なので、簡易的な部屋干しにも役立ちます。加湿機能はターボモードで500mL/h(消費電力は91W)とパワフル。本体は少し背が高いのですが、設置面積が小さい点は魅力です。