2026年1月1日付で、社名を変更した株式会社ゼネラル(旧・富士通ゼネラル)が、新たな体制での事業方針などについて説明した。
ゼネラルの増田幸司社長は、「新社名は原点回帰でもある。技術や強みを、より生かすことができるようになる。ワクワク感を持ってスタートしている」と前置きし、「パロマ・リームホールディングスの1社として、日本発のモノづくり革新により、新たなイノベーションに挑戦し、日本をより元気にしたいと語った。
また、「モジュラーデザインを採用し、主要部品を共通化しながら、それぞれの国の規制や要求などにあわせたモノづくりを行う。市場ニーズをいち早く汲み取り、設計し、提供することがサクセスファクターになる。ゼネラルが持つ空調技術と、パロマ、Rheem(リーム)が持つ給湯技術が融合することで、世の中にひとつしかないユニークな製品が提供できるだろう。人々の生活を、より快適に、より安全にすることができる製品を出せる」とした。
将来の製品像にも言及。「他社よりも熟睡できる機能が付いているエアコン、子どものテストの成績を5点プラスにできるエアコン、高齢の両親を8歳長生きさせる機能がついたエアコン――。研究所ではこうした研究が始まっている。単に空気を暖めたり、冷やしたりするだけでなく、人の生活や暮らしに寄与できるモノづくりをしたい。熱中症アラートが発令されたら、自治体から高齢者の自宅のエアコンを稼働させ、熱中症リスクを軽減するなど、日本が直面する高齢者社会に最適なエアコンも開発したい」などと語った。
パロマ・リームホールディングスでは、ゼネラル参画後の売上高は約1兆4000億円規模になり、そのうち、ゼネラルが約3600億円、約25%を占める。グループ全体として、事業は世界100カ国以上に展開し、研究開発拠点は25拠点、製造拠点は43拠点の体制となる。売上構成比は、北米および中南米が66%、日本が11%。事業別では、空調機器が59%、給湯機器が35%の構成比を見込んでいる。
パロマ・リームホールディングスの小林弘明社長は、「北米市場、欧州市場、日本を中心としたアジア市場が主要なターゲットとなる。ゼネラルが持つ製品も、これらの市場に展開をしていくことになる。これまでの課題は、空調機器における冷媒の変化などに追随し、未来に向けてどう展開していくかという点で、技術開発や製品開発に遅れがあった点。これは一朝一夕にできるものではない。この分野では、日本のメーカーが先行しており、ゼネラルはその1社である。パロマとRheemが持たない技術を持つ企業であり、これ以上にないパートナーである」とした。
パロマ・リームホールディングスは、2025年12月に、欧州市場において暖房、換気、空調、給湯事業を欧州で展開する仏アトランティックの株式の過半数を取得することを発表している。ゼネラルおよびアトランティックを含めて、2026年の売上高は約1兆7000億円を想定。2027年には売上高2兆円前後を目指し、10年以内に売上高3兆円を目指す考えを示した。
約40年ぶりの社名復活
ゼネラルは、1936年1月15日に設立。90周年の節目を迎えたところだ。八欧商店として、蓄音機やレコード、楽器などの仕入および販売事業でスタート。1938年に自社開発のラジオ受信機の製造を開始した。「ゼネラル」の商標を使用したのは1946年からであり、1966年に社名をゼネラルに変更した。家電事業には、1950年代から参入し、テレビや冷蔵庫、洗濯機などの家電製品を市場に投入。1960年にはゼネラル初となるウィンド形クーラー「EA-55A」を発売し、1964年からクーラーの量産を開始した。1974年にはエアコン用モーターの一貫生産を開始している。初めて中東向けに発売したエアコンは、50℃の砂漠環境でも稼働する点が評価されるなど、海外でも高い実績を持つ。
1984年には富士通が出資し、1985年に社名を富士通ゼネラルに変更。エアコン事業においては、1989年には業界初となる「1 / f ゆらぎ」機能の搭載、1992年にはラムダ形熱交換器の搭載、2013年には2種類の気流のデュアルブラスターを搭載、2018年には熱交換器の加熱除菌技術を搭載するなど、世界初や業界初となる技術や機能をエアコンに搭載してきた。2003年には、世界初となるフィルター自動清掃機能を搭載した「nocria(ノクリア)」ブランドの第1号機を発売。nocriaは、Aircon(エアコン)のスペルを逆さまにしている。
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1964年に発売したカラーテレビ。世界初の単電子銃受像管であるカラーネトロンを採用。この時開発された回路技術は業界で広く採用されたという
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1993年に発売した21型プラズマカラーディスプレイ。奥行き45mmの薄型化を実現した
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1971年にクウェート向けに出荷して高い評価を得た。中東向けのウィンド型クーラー「AL-22」
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1971に発売した国内向けに発売したカセット型クーラー「ミンミン」。窓や壁に簡易取り付けができるのが特徴だった
また、2025年8月には、パロマ・リームホールディングスの傘下に入り、2026年1月1日付で、社名をゼネラルとした。ゼネラルの社名に戻るのは約40年ぶりで、あわせてゼネラルのコーポレートロゴも変更している。現時点で、世界120以上の国と地域で、「GENERAL(ゼネラル)」の商標登録が行われており、中国などでは「将軍」のブランドでも知られる。
増田社長は、「ゼネラルというブランドには、時代を超えて築き上げてきた革新的なモノづくりと、それを実現する誠実な気持ち、多くの人たちからの信頼が込められている。常識にとらわれない発想で、いままでになかったモノづくりを、製品に組み込んでいくDNAがある」とする一方、「新たな技術をビジネスにつなげていくという点には課題がある」とも指摘した。また、「富士通ゼネラルは、世の中から、『個社』として見られていなかった。ゼネラルという個社として評価を受けたい」とも述べた。
パロマ・リームホールディングスの小林弘明社長は、ゼネラルの買収の狙いについて、「パロマが目指す『世界をリードするエアー&ウォーターカンパニー』の実現において、必要な不可欠に会社であった」と語る。
パロマ・リームホールディングスは、日本を中心に家庭用ガス給湯器事業などを展開するパロマと、米国などでガス式およびタンク式給湯器事業、ダクト式空調機器事業を展開するRheem Manufacturingを100%子会社として傘下に持つ。1988年にRheemを買収。Rheemは、2020年に富士通ゼネラルと共同開発第一弾となるエアコンを発売した経緯がある。2023年4月からは、現在のホールディングス体制に移行している。ここに、新たにゼネラルが加わることになり、現在、パロマ、Rheem、ゼネラルの3社が100%子会社として、ホールディングスの傘下にある。
「エアーの分野では、北米で主流となっているダクト式エアコンで事業展開しているものの、北米以外では、室外機と室内機が分離している日本式と言われる壁かけエアコンが主力となっている。世界的な潮流は日本式エアコンであり、本当のエアコンメーカーになるには、日本のメーカーからその技術や神髄を学ぶ必要がある。開発や作り方、制御などに加え、冷媒規制の変化への対応も必要である。10年、15年という期間、悩んできた。できれば日本の企業とパートナーシップを結びながら、技術を底上げしたいと考えてきた」とする。
一方、ウォーター分野では、パロマが得意とするガス給湯器、水圧の問題などがある地域向けのタンク式電気給湯器に加えて、北米では、環境に配慮したヒートポンプ式給湯器の販売を行い、この分野ではRheemがナンバーワンシェアを持つが、世界展開には乗りだせていないのが実態だった。
「日本でエコキュートと呼ばれるヒートポンプ式給湯器は、すでに大きな市場を形成している。グループとして、給湯器に関する様々な技術を持つべきであると考えており、ゼネラルはここでも技術を有している」とする。
その上で、「ゼネラルは、先生であり、これらの分野を引っ張っていく企業である。ぜひ参加してほしいと考え、同じグループに入ってもらった」と位置づけた。
富士通側から打診があり、1年を経たずに、ゼネラルのグループ入りが完了したという。
パロマとゼネラル、4つのシナジー
ゼネラルとのシナジーとして、4点をあげた。
ひとつめは、「空調と給湯の技術融合によるイノベーションの加速」である。
小林社長は、「各国ごとに異なる普及ステージやエネルギー事情、社会的背景に対応するには、空調と給湯に関する様々な技術を持つ必要がある。エアコン、ヒートポンプ、ガス給湯器までをカバーする企業は存在していない。ここにこだわっていく」とした。
具体的には、高効率インバーターユニタリーの開発や、ガス給湯とエアコンのハイブリッドシステムの開発などをあげた。
2つめは、「製品ラインアップの拡充と販売網の融合」であり、ゼネラルが持つ壁かけエアコンと、ヒートポンプ式給湯器のラインアップが加わることで、市場競争力を高めることができるという。
ゼネラルの増田社長は、「空調製品のラインアップを一気に揃えることができ、各地域に展開することができる。強いシナジーを発揮できる。両社の販売ルートを活用して、相互の製品を販売することも可能になる」とした。
デジタルマーケティング戦略や、CRMの相互活用も視野に入れている。
3つめは、「サプライチェーンの効率化」であり、スケールメリットによる効率化を実現。共同購買によるコストダウンやサプライヤーの集約のほか、コンプレッサーやモーター、基板などのコンポーネントを相互に供給できる体制も強みになるという。
そして、最後に、「保守・修繕サービス体制の共同運営」をあげ、すでに日本において体制構築を開始していることに言及。小林社長は、「パロマは冬場が忙しい会社。ゼネラルは夏場が忙しい会社。それぞれの会社が異なる期間に、取り付けや保守作業に追われることになる。一緒になることで、年間の作業が平準化できる。両社が連携してサービス品質の向上を図れる」と述べた。
サービスセンターやコールセンターの統合、アフターサービスの相互補完なども進める考えだ。
ゼネラルの増田社長は、同社の空調技術の強みとして、60年超の技術の蓄積と信頼性をベースに開発し、氷点下でも安定して暖を届けることができる寒冷地向けエアコンにも搭載した「空気中の熱を活用した地球環境に優しいヒートポンプ技術」、エアコン専用インバーター制御機構であるインテリジェントパワーモジュール(IPM)に代表される「より高効率な運転で省エネを実現するインバーター技術」、圧縮機やモーター、制御基板などの基幹デバイスの開発から生産までを自社で行う「技術革新アイデアを形にする一気通貫モノづくり」の3点をあげ、「少ないエネルギーで快適な空気をつくる空調のプロフェッショナル集団」と位置づけた。
また、ゼネラルでは、目指す姿として「Creating a Life Conditioner」を掲げており、それを実現するために、製品CO2排出量削減や省エネ監視、コンサルティングなどによる資源循環事業を進める「空調エコロジー」、空気質モニタリングシステムを提供をはじめ、健康につながる快適性を追求する製品を実現する「ウェルビーイングソリューション」、エネルギー管理プラットフォームや空調ライフサイクルサポートによる「空調サービスソリューション」のほか、クラウドやIoT、AIサービスによるDX化を通じて安心安全な社会を実現する「消防/防災ソリューション」を日本だけでなく、今後は海外にも展開。増田社長は、「未来の子供たちの笑顔や地球環境というすべてのLIFEを守り続けたい。Air Conditioner を作ることから、Life Conditioner を創造する企業を目指していく」とし、「Creating a Life Conditionerという言葉は、英文では少しおかしいところもあるが、世界中で共通の言葉になるまで言い続ける」と宣言した。
なお、ゼネラルの増田社長は、富士通出身であり、IT分野での経験が長い。1984年にシステムエンジニアとして富士通に入社。2014年10月には、富士通システムズ・ウエストの執行役員 ソリューションビジネスグループERPソリューション本部長に就任。2015年2月には、 富士通に戻り、アセアンビジネス推進室長に就き、2021年4月には理事 海外リージョンAsiaリージョン長に就いた。8年間に渡り、シンガポールを拠点に、アジア各国のビジネスを統括してきた。2024年4月に富士通ゼネラルの経営執行役副社長に就任。同年6月に代表取締役社長経営執行役社長 CEO兼CSuO(Chief Sustainability Officer)に就任した。
「コロナ禍のときに、駐在先で様々な業種の日系企業の人たちと話をして、共通していた意見が、『日本企業に元気がない』ということだった。私も『なんとかしないといけない』と思っていた。2024年に富士通ゼネラルへの社長就任のオファーがあり、日本を元気にしたいと考えて、この話を受けた。ゼネラルは、ひとひとで言えば、モノづくり屋である。モノづくりで日本をもう一度元気にしたい。日本発のモノづくり企業を成長させていくことが私の課題である」と語った。















