シャープの100%子会社で、ECサイト「COCORO STORE」の運営などを行うSHARP COCORO LIFEは、新たにスキンケアアイテム「薬用Crystaliq(クリスタリーク)」シリーズを発売する。シャープにとっては、マスクやフェイスシールドに続くヘルスケア分野への展開となる。
同社では、これを第1弾として、薬用保湿クリーム、薬用保湿化粧水、薬用保湿乳液の3商品を発売し、「マスク着用の日常化に伴う肌の悩みに応える医薬部外品」と位置づけている。化粧品生産などを行うコスモビューティーとの協業により商品化。生産は国内の協力工場で行い、3月22日から順次出荷する。薬用保湿クリームについては3月15日から、COCORO STOREで先行受注を開始する。それぞれ月産5,000個からスタートする。
また、第2弾として、2022年夏以降、UVケアなどの季節やシーンにあわせたスキンケアアイテムの拡充を図り、医薬部外品や化粧品のラインアップを揃える。また、2023年以降は、理美容家電と連携したスキンケアやヘアケアの提案を行い、家電との親和性を図るという。
SHARP COCORO LIFEの大山貞社長は、「スキンケア商品は、いまか半年前から1年前に商品化の構想をスタートしている。アンケートによる市場調査や協業企業との検討などを通じて商品化につなげた。スキンケア事業のコンセプトは、『ニューノーマルなココロと肌へ』とした。まずはマスクとの親和性から開始し、マスクを使っている人に絞った展開になる。その反応を見ながら、2023年以降は、家電との親和性を目指す。当面は、COCORO STOREで販売することになるが、状況を見ながら販路拡大も検討したい」と述べた。
シャープの生産設備や技術などは活用していないという。
ヘルスケア分野の拡大の一環
シャープでは、2020年3月に、政府の要請により、液晶パネル生産の三重工場のクリーンルーム設備を利用し、不織布マスクの国内生産を開始。2021年11月に累計出荷は3億枚に到達している。また、2020年11月には、液晶パネル開発で培ったフィルム表面の特殊加工技術「モスアイ」を活用したフェイスシールドを発売している。
その一方で、ヘルスケア事業は、シャープが取り組む8つの事業領域のひとつに位置づけ、手術カンファレンスや手術映像記録、内視鏡モニターなどを対象にした「スマート医療ソリューション」、スマートフォンやタブレット端末のビデオ通話機能などを活用した「オンライン診療ソリューション」、自動搬送やデジタルピッキング、スマートグラス応用、コールベルシステム、暑熱対策などの「医療/介護従事者サポートソリューション」に取り組んできた経緯がある。
SHARP COCORO LIFEの大山社長は、「今回の製品は、シャープのヘルスケア分野の拡大の一環である」と位置づけている。
現在、同社では、中期経営計画の策定を見送っている状況にあるが、2022年4月からスタートする新経営体制のもとでも、ヘルスケア事業は引き続き、重点事業分野に位置づけられる可能性が高い。
一方、SHARP COCORO LIFEは、2019年10月に設立。シャープ直販サイトの運営のほか、AIoT家電向けサービスであるCOCORO+サービスの提供や、アフターサポートを提供するCOCOROカスタマーサポート、家電利用などにおいて役立つ情報を提供するCOCORO MEMBERSの運営などを行っている。
「COCORO MEMBERS会員のLTV(Life Time Value)による会員サービスの強化、HEALSIO DELIなどの新規事業の推進によるソリューションの強化、ヘルスケア商品の拡充によるEコマースの強化に取り組んでいる。今後も特徴的な商品やサービスで、スマートライフを提供し、ニューノーマル時代の暮らし方や、社会課題に対応していく」(SHARP COCORO LIFEの大山社長は)としており、Eコマースの独自商材のひとつとて、ヘルスケア商品の拡充に取り組む姿勢をみせる。
なお、Crystaliqのブランドは、「crystal(水晶)」と「liquid(水)」をかけ合わせた造語であり、「水晶が持つ清潔感や透明感を目指す肌のイメージになぞらえた。すでに販売しているシャープクリスタルマスクを着用する日常が、より快適になるようにという想いも継承している」という。
マスク生活の悩みを受けて
今回発売する薬用Crystaliqシリーズは、「マスク着用が日常化し、それによって発生する肌の乾燥や、肌あれ、ニキビを予防する商品になる」(SHARP COCORO LIFE COCOROストア推進部の森真世佳課長)とする。
シャープの調査によると、マスクを日常的に着用することで肌の悩みができたという人は、男性で31%、女性では43%に達しており、乾燥、ニキビ、かぶれ、擦れ、肌荒れなど、様々な悩みがあるという。
「マスクの肌悩みの原因は、乾燥と肌バリアにある。マスクの内側の水分で肌が潤っているように感じるが、マスクを外したときに、マスクの内側の水分が蒸発し、肌の表面にある角質層に含まれる水分まで一緒に奪い取ってしまう。また、マスクの着脱の繰り返しで、肌の表面温度の変化が繰り返され、肌本来の潤いが損なわれる。一方、マスクの着脱やずれを直したり、口を動かして話をしたりすることで、マスクと肌が摩擦を起こす。マスクの内側は高温多湿であるため、肌がふやけた状態となり、その結果、肌表面の角質層が備える外部刺激から守る機能が低下している。これらの肌の悩みに対応するために、2つの有効成分を配合している」という。
ひとつは、保水有効成分「ヘパリン類似物質」だ。人の体内に存在する「ヘパリン」に似た成分で、肌の水分保持に作用。肌の角質層を整え、乾燥を防ぎ、潤いのある健康な肌へと導くことができるという。
もうひとつは、抗炎症有効成分の「グリチルリチン酸ジカリウム」である。甘草(カンゾウ)という植物の根から抽出される成分由来のものであり、肌の炎症を抑えて、肌荒れやニキビを予防する。
「マスク生活をサポートするスキンケア商品になる。マスクと過ごす毎日も、クリアな肌で、キレイへと導くことができる」と語る。
薬用保湿クリーム「BE-Q100C」は、軽やかな潤いベールで肌を包み込み、重ね塗りをしてもベタつかないクリームであり、薬用保湿化粧水「BE-Q100T」は、まろやかなとろみで、肌を包み込み、潤いで満たす化粧水。また、薬用保湿乳液「BE-Q100L」は、スクワラン配合で柔らかく、塗り広げやすいなめらかな乳液になっているという。いずれも医薬部外品、無着色、無香料、国内生産となっている。
薬用保湿クリームは、3月22日から発売。内容量は30gで、COCORO STOREでの販売価格は1280円、薬用保湿化粧水は内容量が120ml、4月下旬以降に発売、価格は1,980円。薬用保湿乳液は内容量が75ml、4月下旬以降に発売し、価格は2,280円。いずれも税込み。送料は6,60円かかるが、他の製品との組み合わせを含めて、購入金額が合計5,500円以上で送料無料となる。なお、4月25日までは発売記念スクラッチキャンペーンを実施。参加者全員に5~20%オフのクーポンが当たるという。