「Sound Forge」シリーズの中でも手頃な価格の「Sound Forge Audio Studio 9」、前回に引き続き、今回はチュートリアル機能とエフェクトを紹介していこう。
操作手順を学べるチュートリアル機能
「Sound Forge Audio Studio 9」の編集機能は上位版の「Sound Forge 9」譲り、表示は時間単位だけでなくもちろんサンプル単位に切り替え、編集作業を行うことが出来る。基本的には波形をズームして編集ポイントを探し、編集ツールで波形上をドラッグして範囲選択を行い、不要部分のカットやエフェクトの反映といった作業を行っていく。またSony Creative Softwareの「ACID」シリーズはオーディオファイルを自由にループさせたり、テンポ変更に追従できるループシーケンスソフトの元祖だが、このSound Forge Audio StudioではそのACIDループを作成することも可能だ。
操作方法はシンプルで、他の波形編集ソフトを使ったことがある人ならばそれほど迷うところはない。しかしSound Forge Audio Studio 9には次の操作を具体的に指示してくれる「操作手順チュートリアル」という機能が用意されており、まったく初めて波形編集ソフトに触れるような初心者であっても、すぐに使うことが可能だ。
これはただのヘルプファイルとは異なり「オーディオを(部分)選択する方法」「オーディオをフェードイン/フェードアウトする方法」といった目的別のメニューを選ぶと、次に行うべき操作が画面上で赤線やマウスポインタで具体的に表示され、それに沿って操作することで波形編集ソフトの基本を学ぶことが出来る、というもの。さすがにSound Forge Audio Studio 9の機能すべてを網羅しているわけではないが、初めてこの手のソフトを使う人にとっては、紙のマニュアルよりもわかりやすいのではないだろうか。
豊富なエフェクト、ボーカル除去機能も新たに搭載
波形編集ソフトは録音、または読み込んだオーディオをカット編集するだけではない。録音レベルが低すぎればノーマライズをかける、EQで音を作り込む、また24bit/96kHzで録音したファイルをCDに書き出すためリサンプリングなどを行う、といったエフェクトが必須となる。
Sound Forge Audio Studio 9にはリバーブやコーラス、ディレイ、ディストーションを始めとして、サンプリングレート/ビット数を変換する「リサンプリング」や「ビット深度コンバータ」ももちろん搭載、30種類以上のエフェクトが用意されている。基本的なエフェクトは、ほとんどカバーされているといってよい充実度だ。
新たに搭載された、ちょっと変わったエフェクトがiZotope社の「ボーカル除去」プラグインだ。これはその名称の通り、オーディオファイルからボーカルのみを消去し、カラオケトラックが製作できるというもの。曲や声質によって異なってくるが効果はなかなか高く、多少全体的な音質が変わることもあるがボーカルパートがほぼ消える。もちろん音楽CDからSound Forge Audio Studioにリッピングすることも可能なので、手軽にカラオケ練習をしたり、また楽器練習用のバックトラックを作る、といったことが出来るだろう。
またエフェクトは市販品やフリーソフトをプラグインとして追加することも可能で、DirectX/VSTをサポートしている。
Sound Forge Audio Studioは旧バージョンでも波形編集ソフトとしての基本機能はしっかりとしていたが、それに加えて24bit/96kHzでの録音・編集に対応したことがやはりポイントだろう。もちろん音質を追求するならば24bit/192kHzにまで対応した上位版のSound Forge 9を選択するという手もあるのだが価格差が大きく、また特徴のマルチチャンネル対応はまだアマチュアレベルの音楽制作では活用する場面が少ない。2chステレオで手頃な価格の波形編集ソフトを求めているならば、このSound Forge Audio Studio 9に注目する価値があるはずだ。