大きなボケが得られるのもミラーレスのメリットの1つといえます。イメージセンサーが大きいほどボケの表現が豊かになりやすいので、同じシチュエーションで撮影してもスマホよりもミラーレスのほうが大きなボケのある撮影が楽しめます。

  • ミラーレスで撮影。奥のほうにあるフェンスや街灯、木々が自然にボケており、ピントを合わせた手前の街灯が引き立って見える

  • 同じシーンをスマホで撮影。ミラーレスで撮った写真と比べると、後方のボケが明らかに小さくなっており、主題としたい被写体が埋もれてしまう

近ごろのスマホは、画像処理で背景をぼかせる機種もありますが、輪郭の部分をよく見ると不自然で違和感のある描写になるケースが少なくありません。背景をぼかして被写体を浮き立たせたいポートレートなどの撮影は、まさにミラーレスの出番といえるでしょう。

  • ミラーレスで撮影した写真。カメラの前後がきれいにボケており、不自然さは感じない。ピントを合わせたカメラからの距離に応じてボケの大きさが変わってくるので、遠近感もちゃんと感じられる

  • アプリを使い、画像処理でカメラ以外をぼかしたスマホの写真。切り抜きの処理が甘く、カメラの周囲が不自然な表現になっている。また、ぼかす処理が均一にかけられるため、窓越しに見える隣家の壁は距離感が分かりづらくなっている

よく「近ごろのスマホは本当にきれいに撮れるようになった」という話を聞きます。しかし、それはあくまで従来のガラケー(フィーチャーフォン)や古いスマホと比べたときの感想だと私は思っています。スマホは撮影した写真を小さな画面で見ることが多いので、細かな部分が見えづらく、一見すると写りがよさそうに感じるのです。撮影した写真をパソコンに転送して大きな画面で見ると、ミラーレスの写真との違いが鮮明に現れてくるはずです。

次回は、画質以外について、ミラーレスカメラのメリットを見ていくことにしたいと思います。

著者:大浦タケシ
宮崎県都城市生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、雑誌カメラマンやデザイン企画会社を経てフォトグラファーとして独立。以後、カメラ誌および一般紙、Web媒体を中心に多方面で活動を行う。日本写真家協会(JPS)会員。