使用場所に応じて設定が変わる
統合セキュリティソフト【2009年4月号掲載】



スペック

[発売元] シマンテック [価格] オープンプライス(シマンテックストア・ダウンロード版価格:1万2,600円) [OS] Mac OS X 10.4.11以上、Mac OS X 10.5.5以上 [メモリ] 256MB以上(512MB以上を推奨) [備考] ノートン・コンフィデンシャルはFirefox 2.0.0.19以上、Safari 3.2.1以上に対応 [掲載号] 「Mac Fan」2009年4月号

OVERVIEW

ノートン・インターネットセキュリティMac版は、個人情報の漏洩を防ぐ「ファイアウォール」、フィッシング詐欺を防止する「コンフィデンシャル」、そしてアンチウイルスソフトの「アンチウイルス」の3本のソフトがセットになったものだ。

シマンテックのMac用ファイアウォール製品は、かつて「Norton Personal Firewall(ノートンパーソナルファイアウォール)」という製品がリリースされていたが、約5年ぶりにメジャーアップデートを果たし、統合製品の一部として復活した。コンフィデンシャルは、2006年にリリースされた単体製品と同じバージョン(ノートンコンフィデンシャルの単体製品は、現在販売を終了している)、アンチウイルスは、現在単体製品として発売されているものと同バージョンだ。

FOCUS ON

本バージョンのファイアウォールでは、いくつかの新機能が搭載されたが、中でも「ネットワーク検出」機能が便利だ。この機能では、あらかじめ個別の設定を行っておけば、ネットワーク環境が変わったときに自動で判別して切り替えてくれる。

(1) モバイルユーザのセキュリティを向上
ファイアウォールでもっとも便利な機能だと感じたのが、この「ネットワークの検出」だ。複数の異なるネットワーク環境を利用するノート型Macのユーザには、特に重宝するだろう

Mac標準のファイアウォール機能では、ノートパソコンなどを利用する場所に応じて、ファイル共有のオン/オフなどを切り替える必要があるが、本製品ならその手間が不要となる。自宅ではファイル共有を有効にしておき、公衆無線LAN利用時には無効にするといったことを自動的にやってくれるわけだ。

(2) アプリケーションごとに接続を監視
アプリケーションがインターネットへアクセスしようとすると、ファイアウォールが警告を発する。身に覚えのないアプリケーションが表示された場合は、遮断しておくのが無難だろう

(3) 一定時間で設定が回復
ファイアウォールでは、接続の遮断機能を一時的に無効にすることができる。指定された時間が経過すると、再びファイアウォールがオンになる仕組みだ

デスクトップ型Macにおいても、IPアドレスの範囲を指定して接続の許可、不許可を指定できるなど、システム標準のファイアウォールと比較して高機能なものとなっている。さらに、シマンテックが管理している攻撃者のIPアドレスリストを定期的に取得しブロックする機能も搭載しており、安心感が高い。

コンフィデンシャルは、フィッシングサイトを検知するブロック機能、重要な情報がインターネットに送信されるのを防ぐ情報ガード、指定ファイルを許可なく開けなくするファイルガード機能を搭載する。

(4) 一重要情報の流出をガード
コンフィデンシャルの「情報ガード」では、指定された情報の送信を自動的にブロックする。項目は日本向けにカスタマイズされており、基礎年金番号などの指定も可能だ

フィッシングサイトのブロック機能はOS標準のWEBブラウザ「Safari」にも搭載されているが、ブロック機能をすり抜けるサイトがないとはいい切れない。クレジットカード番号などの情報が送信される際に警告を発し、場合によってはブロックしてくれる情報ガードの重要性は、依然高いといえるだろう。

(5) 監視領域を任意に設定
アンチウイルスのスキャンは、システム全体と特定のファイルやフォルダのスキャンを選択することができる。普段は、自分の[ホーム]フォルダ以下、および[アプリケーション]フォルダを指定しておけばいいだろう

AFTER REVIEW

ウイルスからの保護だけでは、多様化するインターネット上の脅威は防ぎきれない。その点で、3つの機能がまとまった本製品は安心感が高い。しかし、アンチウイルスのスキャン速度は、まだ改善の余地があるはずだ。対応している脅威の数や定義ファイルの質など、単純な比較はできないものの、スキャン速度だけを見れば、フリーで利用できるオンラインソフト「ClamXav」や「iAntiVirus」のほうが高速だ。